フォーラム事務局

香川大学瀬戸内圏研究センター

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お知らせ&イベント

「ヘルスケア・イノベーション・フォーラム」
第23回事例研究部会議事要旨

1.開催日時・場所

【日時】平成27年11月27日(金)13:20〜17:00
【場所】高松サンポート合同庁舎 アイホール
【出席】45名

2.情報共有

一般財団法人医療情報システム開発センター(MEDIS)
ICT 推進部 部長 矢野 喜代子様より、HPKI 福岡セミナーのご案内。

3 .開会
4 .議事概要
(1)新規参加団体の紹介

大家副座長よりシスメックス株式会社 技術開発本部 要素技術開発第三部
成定 憲志氏の紹介。 これを受けて成定氏より挨拶。

 

(2)事例研究

 

  • 1.「G7香川・高松情報通信大臣会合の開催について」

    香川県サミット閣僚会合推進室 室長 長尾 英司氏より
    「G7香川・高松情報通信大臣会合の開催について」の発表があった。


  • 2.「K-MIX・EHR連携多目的サーバーの再構築―電子母子健康手帳の実装

    香川大学瀬戸内圏研究センター 特任教授 原 量宏氏より「K-MIX・EHR連携多目的サーバー の再構築−電子母子健康手帳の実装−について」の発表があった。

    【質疑応答】
    Q.

    色々なサービス向けのサーバーのお話しがあったが、データとして繋がっているだけでは 意味がないので、繋がった時に何が起こりうるのか、そして、それぞれの企業が繋がることによって何を期待しているのかお聞かせいただけるとありがたい。(大家副座長)

    A.

    香川の一番の特徴は、K-MIXなど、医療機関のプロの集まりのデータをデータセンターに集約することができるということ。一般的に最近在宅は看護師が訪問するようになってきたが、その前は要するに、素人が集めるデータと一緒にするのはどうかなということで、K-MIXの本体の中のサーバーとの連携ではなくて、その中間的なサーバーとして多目的サーバーを使いたい。しかし、その中にはより医療側とより民間側がある。そういった場合はNPOで使うなど、その辺まだ完全な形になっていないが、最終的には落ち着く所に落ち着くと思っている。
    (原座長)

    Q.

    医療と非医療が重要なキーワードになっているが、特に非医療については、先ほどオムロンの話で出た歩数についてなど、歩数を知ってお医者さんが何をするかだが、逆にその歩数というものとお医者さんが持っている情報がつながると、歩数を基準にしたサービスができるかなど、逆の発想が出てくるのではないか。そういった活用がどこまで医療という極度に個人の情報と言われているものの中でできるのか。原先生の思いというものがあればお聞かせ願いたい。(大家副座長)

    A.

    まず、その前に、血圧も以前は病院あるいは外来で測った血圧の方が信頼性があるんだと医師会や医療関係者で考えている方がいたのだが、家庭でオムロンなどの民生品で測る血圧で十分だ、あるいは家庭で測る血圧の方が信頼性があるんだということで、高血圧学会では方針をがらっと変えて、高血圧手帳など家で測った方を信頼する、それに応じて薬を出すというようなことになっていっている。民間のデータ自身の精度が上がってきているからこそで、段々区別がつかなくなってくると思う。(原座長)

    Q.

    逆に医療の世界ではなく、産業界が中心になっているグループの方で、産業界が取っているような情報も含めたような標準がといった議論をされているわけだが、例えば、SS-MIXの中で表現できるものというのは医療に関係するものに限られている。そうではないものについても標準化をして記録しておき、将来活用していくという動きがあるのだが、SS-MIX、K-MIXの中での多少の情報の拡張は今後ありうるのか。(大家副座長)

    A.

    K-MIXや他の地域の電子カルテネットワークでも、そういった医療情報はSS-MIXで送る、在宅からの情報を送る際のプロトコルに関しては世界標準が出来つつあり、特にインテルやマイクロソフトが頑張っている。血圧等は数値情報として簡単であるので、摺合せはそう難しくないと思っている。どういう方法で測ったかということが一緒にデータについてくるというのが重要。(原座長)

     


  • 3.子母子健康手帳標準化委員会の検討を踏まえた、妊婦手帳の取り組みに
    ついて
    〜かがわ医療情報ネットワーク(K-MIX+)との連携〜」

    株式会社NTTドコモ ライフサポートビジネス推進部 メディカルビジネス担当課長 
    西口 孝広氏より、「電子母子健康手帳標準化委員会の検討を踏まえた、妊婦手帳の取り組みについて〜かがわ医療情報ネットワーク(K-MIX+)との連携〜」の発表があった。

    【質疑応答】
    Q.

    2点あるのだが、まず1点目、こういう取り組みはかなり地域連携が必要とされるのではないかということ。NTT東日本関東病院で実証実験をされているのは非常に良いことだと思うのだが、地域ICT利活用事業というのも総務省など色々とされており、そういうような所でのアプリの展開というのは今どういうような状況になっているのか。2点目として、電子母子健康手帳の海外バージョンへの取り組みの計画はどうなっているのか。特に海外関連について興味があるのでご意見をお伺いしたい。(BHN榑松氏)

    A.

    1点目の地域行政との関わりについてだが、地域全体として関わるということが非常に有益なのではないかと考えており、いくつかの行政機関と話をさせていただいたこともあるのだが、まだ具体的なところまでは至っていないというのが現状。ただ、ニーズが高いというのは話をしていて良く理解できている。どこかのタイミングでそういった仕掛けというか、スコープを広げていくように進めていければと思っている。2点目の海外に関しても、色々な所と話をさせていただいているが、そういうニーズが海外でも高いと聞いている。ただ、現状まだ国内の中でも、やっとこの健診のデータを取り込もうかというところに至った段階であるので、国内で実力、有益性が評価された段階で、売り込みや展開をしていきたいと考えているが、まだ現状はできていない。(西口氏)

    Q.

    今すでに18万ダウンロードと、かなりユーザーが多いと思うが、こういったシステムは最低どれくらいのユーザー数から動かしうるものなのかどうか。また、18万ダウンロードで妊婦1割くらいの方が利用しているということだが、どのくらいまで増えると考えているか、お聞かせいただきたい。(大家副座長)

    A.

    1点目の質問は難しいと思われる。というのは、元々見込む規模によって、作る器の大きさを変えれば、それに適切なものができようかと思う。我々の事業としてやっていくということで考えれば、もう少し高い数字を狙っていかないといけないというのが事実だが、規模の小さいもので、地域に投じたものにカスタマイズすれば、それでも運用できると考えている。数字の絶対値のしきい値があるというものではないと思っている。2点目について、妊婦さんという世代を考えれば、スマートフォンとのリテラシーというのは非常に親和性が高い年齢層であるが、1割というのはまだまだ少なく、もっと高い数字を狙っていかなければならないと思っている。ただ妊婦さんの中でもアプリというものに関しての好みも分かれるので全てが全てどこかに集中することはない世界。色々な好みの中である程度の人数の方が参加していただけばと考えている。(西口氏)

    Q.

    日数なり、月数なり経つと何らかのイベントが通常起こってという、そういった履歴のあるものは色々なことが世の中にあると思うのだが、このフレームを利用して、例えば違うところに展開していくということは何かお考えかどうかお聞かせいただきたい。(大家副座長)

    A.

    この延長戦上で育児手帳というサービスを博報堂の主体でやっていただいている。育児の中で、例えば「何かができました」というタイミングでイベント通知をするなり、そういったサービスに応用はされている。ただ、まだそれ以上の広がり感はないが、タイミングに応じた、自分のライフステージの中で使っていけるツールというのは存在しうると思うので、今後何か考えていきたい。(西口氏)


  • 4.「ワクチンの自動登録システム マイナンバーとの連携に関して

    インテル株式会社 法人営業推進本部 清水 由香氏、株式会社テクノアスカ ITシステム部 可児 忠夫氏より、「ワクチンの自動登録システム マイナンバーとの連携に関して」に
    ついて発表があった。

    【質疑応答】
    Q.

    現在はマイナンバーを使っての日本でのアプローチだと思うが、似たようなシステムは世界的に見て進んでいるのかどうか。もしくはまだまだ先進的であって、これから日本のシステムを使って世界のリーダー役として展開できる可能性があるのか。現状をお聞かせいただきたい。(BHN榑松氏)

    A.

    以前、原先生には弊社のヘルスケアを担当しているグローバルのディレクターに面談いただいたのだが、ディレクターの彼女に言わせると、例えば母子手帳のようなものは日本発であり、他の国にまだ広がっていないということもあり、ワクチン接種の記録や赤ちゃんの成長の記録というのはまだほとんどデータ化されていない。そのため、こういった取り組みというのは非常に素晴らしいものであると。また、これを電子化することによって色々な情報を共用することができたり、将来的にはビッグデータという形に活用していけるというのは非常に新しい取り組み。弊社としても先生方と組ませていただくことによって、日本以外のアジア、ヨーロッパなど、そういった国々にもご紹介できるようなソリューションやプラットフォームを一緒に作らせていただいて、将来的には普及させていきたいと思い活動させていただいている。皆様との活動をうまくプロモーションできることも将来的にやっていければと考えている。
    (インテル清水氏)

    A.

    例えば、南アフリカ、アフリカ全土でODA、JICAの支援によりワクチンをなるべくたくさんの子供に接種するということになっていくわけだが、おそらく今の状態では、どの子にどのワクチンを打ったかとお母さんも憶えていない場合もあり、電子母子健康手帳の海外展開という中で、ワクチンというのは非常に重要であると思っている。インテル社、テクノアスカ社のご支援もあり、我々のグループと一緒にやっていく。そして、そのモデルを多目的サーバーでまずはやってみる。関心のある医療機関の方々にはぜひ申し出ていただき、使っていただいたらと考えている。ベストプラクティス賞 最優秀賞を受賞されたということで、小児科学会もかなり高い関心を持っていると思う。また、治験の方では、K-MIX+を使って香川大学は遠隔で治験のデータを集めるプロジェクトを始める予定。実際には15の医療機関が加入しているので、大学でやってみてうまくいったら地域全体に広げたい。ワクチンもその中でぜひやってみたいと思っている。(原座長)


    原座長よりNHK中川記者紹介。これを受けて中川記者挨拶。
    NHK ケアラクスル全国放送DVD上映。

  • 5.「Careluxlとポータブル電子カルテシステムとの連携」

    福島県立医科大学 事務局研究推進課 ふくしま医療-産業連携推進室 併任研究員 
    山川 俊浩氏より、「Careluxlとポータブル電子カルテシステムとの連携」についてデモ、
    および発表があった。

    【質疑応答】
    Q.

    単純に考えると本来はケアラクスル自身の中に裏機能を持たせる方がいいのではないかと思われる方も多いかもしれないが、色々なシステムと相互に連携できるにはこのようにバイタルのデータや他の情報も標準フォーマットで信頼できるサーバーに送って、他のシステムで見に行く。これにより、あといくらでも増やせるため様々な会社のシステムと連携できる。今後K-MIX+、あるいはK-MIXで集めたデータを持ってくると、先月は大学病院、今月は県立中央病院、去年は日赤、三豊総合病院などのデータを、CT、MRIの画像等も含め集めてくることができる。15病院だけであれば、今のK-MIX+で対応できるが、それを介護までどう持っていくかというところの第一歩ということである。簡単そうに見えるが、実はかなり大変。香川の強みとしてはワクチン、あるいは生まれる前から全部のデータをフルセットで少しずつ整備していって、グローバル展開もという流れ。次回のHCIFでは在宅のデータを集めるシステムを色々な会社が手掛けているので、そういったところのデモをやりつつ、今回のシステムもお見せして一緒にやっていきましょうといった雰囲気で開催したいと考えている。(原座長)

    Q.

    最後に一言何かあれば。今回取材された際の感想などお聞かせいただきたい。
    (大家副座長)

    A.

    取材をした段階ではケアラクスル単体で、こんな風に色々なシステムと連携が進んでいるのは知らなかった。まさに、K-MIX、K-MIX+と一緒になることができたら、病院と在宅が結ばれるということで、ぜひ取材させていただきたく、今後も注目していきたいと思っている。
    (NHK中川記者)


  • 6.「お腹の上から全世界への接続を目指したモバイル・クラウド型胎児監視装置の開発」

    香川大学瀬戸内圏研究センター 客員教授 竹内 康人氏より、「お腹の上から全世界への接続を目指したモバイル・クラウド型胎児監視装置の開発」について発表があった。

    【質疑応答】
    Q.

    今のアナログの部分とデジタルの部分、独立して動いているというお話だったが、統一して動かないという課題はどこにあるのか。(大家副座長)

    A.

    単純に技術系の問題。お互い独立したものを繋いだだけで電源の連携などまだ問題が残っている。アナログを作ったのが私で、デジタルを作ったのが若い技術者。お互い場所が離れているために、なかなか一度に連携して動かすことができなかった。今、両方とも動いているので、これで電源やノイズの問題が解決すれば動くようになる。それは来年サミットの時にお見せしたいと思っている。(竹内氏)

    Q.

    デジタル回路とアナログ回路のドップラ系のようなセンシティブなものというのは相性が良くないと思う。またさらにその横にBluetoothという送信系が入ってくるとなおのことデジタル同士の緩衝もあると思うのだが。(大家副座長)

    A.

    このCPUで何をするかという問題がある。エッジコンピューティングとクラウドコンピューティングという概念があると思うが、それがお互いどちらで処理をするかと衝突している。どちらで処理するかという時に今、スマホでデータを、つまり心拍総数を全部作ってしまってスマホおよびクラウドに渡すという概念の方が先に立っているのだが、そうするとデータの品質管理がとても難しくなってくる。元の信号そのものをネットワークに送るという方法も考えなくてはいけないと思っている。どちらが本命かまだ分からない。スマホ、スマホと言っている方たちにはエッジコンピューティングの方がなじみやすいと思うが、私はそうは思っていない。またそのあたりは整理したいと考えている。(竹内先生)

    Q.

    オムロンをはじめ、「歩数計」という形の部分で、専用の歩数をカウントして出してしまったものと、「歩く」というものを加速度として捉えて、その中に情報処理しようとした時に、前者の場合では使えない、そういった部分を思い出してしまったのだが、今後、あらゆるセンサーが処理結果を出すのか、生データを出しておいて汎用で処理していく形をとるのか大きな別れ道と考えてよろしいかご意見をお聞かせいただきたい。(大家副座長)

    A.

    哲学上の別れ道であると思う。私は生データをクラウドに送る方が正解だと思う。それはなぜかと言えば、トラブルになった時の対策がそれでなければできない。現場で処理をしているというのは蟹工船だと言われる。船の中で缶詰を作ってしまう。そうすると獲れた魚が何かよくわからない。それは、最初はビジネス上はいいかもしれないが、いずれトラブルを起こすのではないかと思っている。そのため、エッジコンピューティングよりもクラウドコンピューティングの方が私は好ましく、支持したいと思っている。

    私と原先生のミッションのカスタマーは誰なのか、それは「胎児」である。胎児がこのシステムを使って何とか安全に生まれてくれて、30年経ってハッピーならいい、そう考えている。
    (竹内氏)


  • 7.「簡単・便利な遠隔診断を目指した、低コスト分析チップの研究開発
    ―なじみの深い紙やテープを利用して―」

    国立研究開発法人産業技術総合研究所 生命工学領域 健康工学研究部門生体ナノ計測研究グループ 主任研究員 渕脇 雄介氏より、「簡単・便利な遠隔診断を目指した、低コスト分析チップの研究開発―なじみの深い紙やテープを利用して―」について発表があった。

    【質疑応答】
    Q.

    先ほどの竹内先生のご講演もそうだが、従来だとヘルスケア・イノベーション・フォーラムでは情報系がメインだったが、今回のような、もの作り系の話が出てきている。と言うのも従来存在するものを使ってとるだけではなく、とれなかったものをとっていくとか、あるいは従来とれなかった場所、とれなかった状態から使えるものを作っていこうということ。今回のこの話についてはまた新しい動きの可能性が出てくると思う。(大家副座長)

    Q.

    血液のデータをとる時に、血漿だけがとれているということだが、それは血球が重たいからなのか。

    A.

    簡単に言うと濾過している。紙の中で血球をトラップし血漿を濾すことによって、液で薄 めて血漿だけを取り出すというやり方をしている。(渕脇氏)


  • 8.「インドネシア APT-J3プロジェクト最終報告
    −インドネシア母子健康管理システムのデジタル化―

    BHNテレコム支援協議会 副理事長 榑松 八平氏より、「インドネシア APT-J3プロジェクト 最終報告−インドネシア母子健康管理システムのデジタル化−」について発表があった。

    【質疑応答】
    Q.

    最後にフィリピンでのマラリアの話があったが、情報をあげていく際に、マラリアかどうか診断しなくてはいけないと思う。そのあたりはどういったシステムになっているのかお聞かせいただきたい。(大家副座長)

    A.

    細かいことはまだ分からないが、少なくとも現地の地域で活動している助産師さんや看護師さん、また病院の先生がいれば具体的にどういう症状か診断しているかもしれない。あるいは診断機能のセンサーみたいなものがあれば、もっと素晴らしいと思う。要するに情報ネットワークとして組織というか仕掛けがもうできているということが非常にいいことかなと思っている。特に今回フィリピンへ行ってびっくりしたのが、日本の川では考えられないほど、まるで津波のように15m、20mの高さまであっという間に川の水位が上がり氾濫して、穀倉地帯が大洪水になるということ。そうなると子供たちは高い所に避難して学校に行くことができない。そのため、情報をいち早く伝えるということが重要になってくる。(榑松氏)

5.閉会

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