フォーラム事務局

香川大学瀬戸内圏研究センター

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お知らせ&イベント

「ヘルスケア・イノベーション・フォーラム」
第21回事例研究部会議事要旨

1.開催日時・場所

【日時】平成27年2月27日(金)13:00〜17:00
【場所】高松サンポート合同庁舎 アイホール
【出席】50名

2.開会
3.議事概要
(1)ご報告

大家副座長より挨拶。
原座長より挨拶。

 

(2)K-MIX+ 啓発用DVD 上映

 

(3)事例研究
  • 1.「タイ王国チェンマイにおけるJICA草の根事業周産期医療情報ネットワークシステムと胎児心拍数計測器「モバイルCTG」の導入運用状況の報告

    株式会社ミトラ マーケティング企画室 室長 河野 弘就氏より「タイ王国チェンマイにおけるJICA草の根事業周産期医療情報ネットワークシステムと胎児心拍数計測器「モバイルCTG」の導入運用状況の報告」についての発表があった。

    【質疑応答】
    Q.

    モバイルCTG導入に際し、それぞれ文化性の違いがあると思われるが、日本とタイとではどのような違いがあったか。(大家副座長)

    A.

    CTGに関しては、中国、ヨーロッパなどの機器が導入されている。ただ、モバイルとして3Gでデータを飛ばすということはタイのカルチャーにはなく、やはり紙で出力したものが主流だったが、現在タイではインフラ整備がどんどん高度に進化してきているため、データとして受信できることは大変「使える」という印象を持たれている。そのため、タイにおいてモバイルCTGに対する抵抗感はなかった。(河野氏)

    Q.

    ネットワーク化されている個人情報についての問題はなかったか。(大家副座長)

    A.

    タイに関しては、保健省がソーシャル番号を元に医療情報を全部吸い上げている。国として実施していることなので、そちらに関しても抵抗感はなかった。(河野氏)

     

  • 2.「チェンマイ(タイ)在住ロングステイヤーへの遠隔健康相談の現状と展望」

    香川大学医学部細胞情報生理学 教授 徳田 雅明氏より「チェンマイ(タイ)在住ロングステイヤーへの遠隔健康相談の現状と展望」の発表があった。

    【質疑応答】
    Q.

    日本から国境を越えて医療システムを根付かせていくための一番大きな問題点、また、今後その問題をどのように解決していくのか構想などをお聞かせいただきたい。(大家副座長)

    A.

    その点が一番大事なところ。今回のJICA草の根事業は3年間だが、3年終わった時にしっかり地元に根付いているようにということが一番大きな宿題だと考えている。なぜチェンマイにしたのかというのは、我々が貢献していくところに、ちゃんと受け手があるということ、それはチェンマイ大学だということ、また、タイではナレスワン大学とも経験があるため、保健省もその点を理解している。そういった観点から、タイであれば根付いていき、継続性が確保できるであろうと考えた。実際に、チェンマイ大学の医師・看護師が一生懸命自分たちのものにしようとしてくれている。この調子でいけば3年間が終了して、我々の支援がなくても、彼らたちの中に入り込んでいき、継続していただけるものと思っている。また、同じようなシステムで周辺の国にも広げていきたい。(徳田氏)

    Q.

    ビジネスとして継続できたらということだが、例えばチェンマイ在留邦人の方が遠隔健康相談を受けるにあたり、1回の相談で1000円や2000円を出してもいいかなという感触はあるのか、もしくはそれは難しいかどうかお聞かせいただきたい。(上野氏)

    A.

    皆様方、1000円や2000円くらいだったら喜んで出しますとおっしゃっている。むしろ、遠隔健康相談を受けることで得られるそれだけの安心感が、無料では申し訳なく思っていらっしゃるくらいなので、そういう状況は十分考えられる。(徳田氏)

    Q.

    介護従事者を育成するというプロジェクトもよいのではないか。(原座長)

    A.

    実はすでに始まっており、5年前からのチェンマイとの交流の中で、チェンマイにはまだ介護施設等が充実していないということで、日本に勉強に来られて、実際に我々が色々なところをお見せしたり、先生方がお教えしたものがチェンマイで始まっている。まだ介護士の方たちが日本人を対象にしたケアの方法について十分な教育を受けていないため、チェンマイから香川県に3か月、ないし6か月、人材を派遣するので教育をお願いしたいという要請もある。(徳田氏)

     

  • 3.「岩手県周産期医療情報システム「いーはとーぶ」による地域連携」

    岩手県立大船渡病院 副院長 小笠原 敏浩氏より、「岩手県周産期医療情報システム「いーはとーぶ」による地域連携」について発表があった。(TV会議)

     

  • 4.「医療ICTのアジア展開について(インドネシアを中心に)

    BHNテレコム支援協議会 副理事長 榑松 八平氏より、「医療ICTのアジア展開について(インドネシアを中心に)」の発表があった。

    【質疑応答】
    Q.

    モバイルCTG以外にこれぞというセンサーの候補は現地ニーズとして何か掴んでいるのかお聞かせいただきたい。(大家副座長)

    A.

    これはセンサーではないのだが、糖尿病のモニタリングとしてデータ蓄積は非常にニーズが高い。モバイルCTGは価格面が問題になっており、世界的にみると実際安い製品もある。安い物も高級な物も両方を視野に入れビジネスをしていくのが非常に重要。またセンサーとしては、インドネシアの場合、体重や血圧のセンサーなどかなり種類豊富に取り揃えている。日本から持っていくことだけを考えるのではなく、(インドネシア、タイ、インドなど)彼らの持っているノウハウを日本に輸入するといったビジネスモデルの展開が成功の鍵と考えている。(榑松氏)

    Q.

    モバイルCTGの価格面について日本での事業展開としての戦略をミトラ尾形社長にお聞かせいただきたい。(大家副座長)

    A.

    日本では赤ちゃんの死亡率は一桁台であり、CTG自体がさらに高性能化している。例えば、赤ちゃんがおなかの中で低酸素状態がどれだけ続いたかといったことや生まれてからの状態などがわかり、高度な分析ができるようになっているが、海外ではまだその技術まで到達しておらず、まず赤ちゃんの死亡率を下げるという面から、もう少し安価で機能を小さくしたものが必要とされる。そういった点で日本と海外で分化されていくと感じている。(尾形氏)

    Q.

    ホームケアシステム展開についての明確な目的を教えていただきたい。(大家副座長)

    A.

    インドネシアのバンドン地区では妊婦さんと子どもの死亡率がインドネシアで一番高い。インドネシアの地域の保健省がICTを使って、何とか死亡率を減らしたいという狙いがある。先生がなかなかケアできそうにない地域に住む、特に重症患者とみられる方にセンサーを提供することで遠隔でモニタリングしてあげようということが最初のステップ。これが効果があった場合、インドネシア全土に広まっていくだろうと考えているが、まだ、種を蒔いたところで、先方も試行錯誤しているといった状況。(榑松氏)

    Q.

    日本では医療システムが充実しているので、十分ケアできるが、現地の場合、ケアできないところがあるので、センサーが出してくる情報で何かできるかもしれないと実例を作ろうということか。(大家副座長)

    A.

    その通り。あともう一つ、インドネシアの場合、妊婦さんがなかなか保健所に健診に来ないらしい。そのためネットを使って保健所に来るようにといった情報を提供するシステムを構築している。こういったシステムは日本でも導入できるのではないか。現地の技術を日本に持って来ることができるのではないかと考えている。(榑松氏)

     

    原座長よりグローバル展開を踏まえ、鈴木助産師紹介。
    *これを受け、香川大学医学部保健管理センター 鈴木助産師より挨拶。 (3月インドネシア派遣)

     

    *JICA 南アフリカの案件化調査事業が採択されたことを受け、株式会社ミトラ 代表取締役 尾形 優子氏より挨拶。

     

  • 5.「国交省プロジェクト「広域的地域間共助推進事業」の進展状況

    福島県立医科大学 研究推進課 医療-産業連携推進室 併任研究員 山川 俊浩氏より、「国交省プロジェクト「広域的地域間共助推進事業」の進展状況」について発表があった。

    【質疑応答】
    Q.

    福島県は浜通り・中通り・会津若松地域と3つ文化圏があるが、会津若松地域の個々の村を中心として岩手県の「いーはとーぶ」のような形で横展開できる可能性やこれからの見通しはあるのか。(榑松氏)

    A.

    このシステムを横展開というよりも、今福島県が中心になってK-MIXのような医療情報福祉ネットワークを作ろうという話で協議会ができている。どのようなシステムになるかは現在検討中だが、実現すると患者の同意を得た上で、中核病院のデータが地域の医療機関で見られるようになる。ただ、県のネットワークはできているが、病院を中心に各地域での医療圏をどうまとめていくかということが議論されている。(山川氏)

    Q.

    データの相互バックアップの話が出ているが、互いに情報が流れているのだからうまく使っていけるのではないかという発想についてと、データのバックアップが元の形で見ることができるのか(表示側の問題もあると思うが)、現状どういったシステムを考えているのかという点についてお聞かせいただきたい。(大家副座長)

    A.

    高知県は南海トラフ地震で大きな被害が心配されているが、香川県のK-MIX+のようなシステムが全くないということで、15の基幹病院の電子カルテを丸ごとコピーするというプロジェクトを行った。今後高知県はその丸ごとコピーしたデータを相互にSS-MIXで連携することを逆にやっていこうと。国交省のプロジェクトで香川県とうまくやっていきましょうというのが現時点の状況。K-MIX+は機能的に全国のシステムの中でも一番安定稼働している。(原座長)

     

  • 6.「訪問看護・介護業務支援システム(Careluxl:ケアラクスル)と医療情報システム等との連携について」

    社会福祉法人 敬世会 総看護師長 福田 美枝子氏、新日鉄住金ソリューションズ株式会社 社会公共ソリューション事業部 自治体・医療ソリューション推進部 倉岡 信之氏より、「訪問看護・介護業務支援システム(Careluxl:ケアラクスル)と医療情報システム等との連携について」の発表があった。

    【質疑応答】
    Q.

    K-MIXとの連携という話があったが、介護の情報と医療の情報はあまり重なりがないように感じるのだが、どのような形での連携を考えているのか、例えばK-MIX+を医療介護用に拡張してそちらに入れていくような形になるのか。(大家副座長)

    A.

    まず、訪問看護をする場合には必ず医師の指示が必要となる。いわゆるかかりつけ医だが、今は紙文書の処理となっているが、ネットワークを使うことで簡易にできるということ。やはり現場で状態は変わるので、私たちからの報告はもちろんだが、看護師が気づかないことや、ちょっとしたバイタルであるとか状態を診ることで医師がそのデータを毎日見て、いち早く治療にもつなげることができるといったところでの連携がなされていると考えている。(福田氏)

     

  • 7.「医療分野における3Dソリューション

    FAシステムエンジニアリング株式会社 代表取締役 中村 康則氏より、「医療分野における3Dソリューション」についての発表があった。

    【質疑応答】
    Q.

    3D裸眼の一番の特徴、ここは他ではできない事といった点をお聞かせいただきたい。(大家副座長)

    A.

    それは、我々の目と同じで立体感があり、「自然に見える」ということ。目にストレスを与えないということと、取り組んでいる一つの要素としては、特許申請中なのだが、より自然に見える、大きくモニターできるということ、リアルタイム性が最大の特徴。(中村氏)

    Q.

    リアルタイム性に関して、3Dの情報としていかに2次元的なものを3次元的に拡張していくかということがあると思うが、その部分でもやはり技術的な特徴はあるのか。(大家副座長)

    A.

    最大の3Dにする際、ステレオから入るため、多視差変換で立体に見せる。多視差が多ければ多いほどより自然に見える、立体感が増すという議論がある。他社、色々な方法で行っているが、弊社はリアルタイムであるため、小さい視差できれいな映像を作るということが最大のノウハウ。(中村氏)

     

  • 8.「ウェルネス情報デバイスとサービス その戦略と考え方のヒント〜高まるデザイン志向とプロデュースワークの必要性〜(柏の葉スマートシティ健康見える化事業の実践と30万DLアプリ事例)」

    株式会社メディシンク 代表取締役社長 八村 大輔氏より、「ウェルネス情報デバイスとサービス その戦略と考え方のヒント〜高まるデザイン志向とプロデュースワークの必要性〜(柏の葉スマートシティ健康見える化事業の実践と30万DLアプリ事例)」について発表があった。

    【質疑応答】
    Q.

    原先生、医療の世界からK-MIXは様々なデータを取り込んでいこうというお話が出ているが、例えばこういったデバイスから取り組んでいきたいというものがあるかお聞かせいただきたい。(大家副座長)

    A.

    我々はプロが扱うデータをいかにきっちり間違いなく相互に送り合うか、あるいはデータを保存しておくかということを行っているのだが、やはりこれからは介護、在宅訪問看護といった場面で、患者さん自身がチェックできるようなデータを、信頼できるような制度で集めるということが重要。(原座長)

    Q.

    医療関係のデータとしては、例えば血糖値センサーといった、患者さんが自宅で測定できるものだが、そういった簡易な機器でも、単純に測るだけでは長く続けてもらえず途中でやめてしまう人が多いそうだが、新たな魅力を追加することで患者さんが楽しんで測定してもらえるような仕組みができると重なる部分も出てくると思うのだが。(大家副座長)

    A.

    今、ずっと離れすぎていると感じる。マイクロソフトやインテルの方が香川県と一緒にやりたいと仰るのは、離れすぎているところをどう近づけるかという部分があろうかと思う。このHCIFもそういったところに力を入れていきたいと思っている。(原座長)

     

  • 9.「高分子アクチュエータが実現するモバイル点字インターフェース」

    独立行政法人産業技術総合研究所 健康工学研究部門 人工細胞研究グループ 研究グループ長 安積 欣志氏より、「高分子アクチュエータが実現するモバイル点字インターフェース」についての発表があった。

    【質疑応答】
    Q.

    八村さん、こういったデバイスの使い道として考えられることは。(大家副座長)

    Q.

    用途としては、日常生活でいつでも使えるモバイルのような持たせ方を考えているかどうかお聞かせいただきたい。(八村氏)

    A.

    当初は携帯電話につけることができるということを考えていたのだが、そうではなく、特に家電製品の液晶表示が使いづらいので、それを点字で置き換えてほしいという提案があった。通常、音声機能はあるが、点字の方が使いやすいのではということ。視覚障害の方は30万人くらいおり、点字を読める方がその中の10%くらいと言われている。(3万人くらい)例えば家電製品の場合は、数字だけ読むことができればいいので、少し訓練すれば点字を読むことができようになると思う。家電メーカーとの協力が必要となってくる。(安積氏)

    Q.

    以前ITU(国際電気通信連合)の方たちから、こういった障害を持った方向けのテクノロジーを情報提供してほしいと何度も聞いており、例えば携帯電話の骨伝導を用いた技術などについても紹介しているが、技術を紹介し情報発信していくことで新しい世界が見えてくるのでは。(榑松氏)

    A.

    海外は点字が普及していると聞いているので、非常に重要なことだと思う。(安積氏)

     

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