フォーラム事務局

香川大学瀬戸内圏研究センター

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お知らせ&イベント

「ヘルスケア・イノベーション・フォーラム」
第34回事例研究部会議事要旨

1.開催日時・場所

【日時】令和元年7月11日(木)13:00〜16:30
【場所】産総研臨海副都心センター 別館11F 第一会議室
【出席】40名

2.開会
3.議事概要
(1)事例研究

 

  • 1.「これからの周産期医療ネットワークのあり方」

    香川大学瀬戸内圏研究センター 特任教授 原 量宏氏より「これからの周産期医療ネットワークのあり方」についての発表があった。

    【質疑応答】
    Q.

    私自身助産師として病院で働いている。1800件お産があり院内助産が20%を占めているのだが、院内助産をするにあたって、助産師としては、正常から逸脱した時に相談する相手がいることがとても安心で、一般の助産院と呼ばれるところだと、嘱託医で先生はいらっしゃるが、なかなか相談するアクセスが遠い、ハードルが高いイメージがある。先生のご発表のように、常日頃、妊婦検診の頃から電子カルテによって、赤ちゃんの状態を共有していると院内助産があった時にも情報共有がしやすいと思った。香川大学の先生方とさぬき市民病院の助産師さんとの連携にITを使ってどんどん密にしていけるということがとてもいいなと思った。(岸畑氏)

    A.

    一気に始めるのは難しいが、始めの段階としてお産は引き受けるけれど、褥婦さんをどんどん外に出していく、あと、高松市内でたくさんお産を扱っている先生方もぜひこのシステムをやりたいとおっしゃっているので、香川県から全国に広げていければ。(原座長)

    Q.

    通常の院内助産で普段の助産師さんと産婦人科医とのコミュニケーションがどの程度あって、原先生の構想の中で、コミュニケーションが何もない場合はどのように考えられているのがお聞かせいただきたい。(大家副座長)

    Q.

    助産院と病院間での相互の連携がほとんど取られていない状況があり、助産院でのIT化が十分でないのではないだろうか。ほんとうにひどくなってから大学病院など赤ちゃんを送られてくることが多いので、そうならないようにするために、このシステムが普段からコミュニケーションがとれるようなきっかけになればよいと考えている。(原座長)

    Q.

    先ほどの質問で、何かあった時となかった時の対応の違いというのは、トラブルがあった時ということだろうか。(岸畑氏)

    A.

    普段何もない時というのは、助産師さんが対応して、問題なくすぎていくわけだが、そういった状態でお医者さんとどのようなコミュニケーションが取られているのか、経過の内容報告が行われて、リスポンスがあるのか、もしくは緊急事態に限って行われるのか、原先生の構想で、ネットワークの中でどのような情報が飛び交うのか、どの程度の頻度で先生がそれを見るのか、そのあたりについてコメントをいただければありがたい。(大家副座長)

    A.

    いずれ産婦人科医が足りなくなるので、助産師さんと一緒にやるしかない。その時の準備ということになるのではないか。(原座長)

    Q.

    私の勤める病院では、24週を超えてから助産師だけで管理するようになっていて、その中で妊婦検診のタイミングで何か気になった場合や、お産の時に、正常か逸脱しているのかという時点で先生に相談するようにしている。その点で言うと、何かあった時に状況が把握できるシステムを作っておかなければならないというのはとても理解できる。助産師と先生が密に情報交換できることが大切だと思う。(岸畑氏)

    Q.

    その点について、モバイルCTGによって生体情報が少なくとも先生には伝わっているというのは助産師さんにとっても安心感があるということになるだろうか。(大家副座長)

    A.

    モバイルCTGに関しては、私もとても興味があり、助産師コミュニティを作っているので、そこで共有させていただいた。助産院を開業されている方でも、助産院での赤ちゃんの状態を嘱託医にも把握してほしいという希望もあるし、嘱託医がいる大きな病院からしても、搬送途中の赤ちゃんの心音がどういう風に変動していっているのかによって、こちらとしてもどういう準備をしておけばよいかとても重要になってくるので、モバイルCTGは大変ありがたいと思う。(岸畑氏)

    Q.

    富士通さんから、異業種のカルテ情報のやりとりはちょっとやりづらいとか、あるいは電子母子手帳からの情報をいかに取り込んでいくか、見せるかといったお話しなど、何かコメントがあったらお聞かせいただきたい。(大家副座長)

    A.

    現在、地域医療ネットワークも徐々に普及はしてきているので、特にメーカーを問わずにSS-MIX2で連携できるようになってきている。(富士通 山田氏)

    A.

    最終的には香川大学の周産期電子カルテをさぬき市民病院で見られるようにしたとしても、ゆくゆくは母子手帳との連携もしなくてはならないので、まずは電子母子手帳をさぬき市民病院にも導入して、それを香川大学で見れるようにすると。そうなると、香川大学側の要求として自分のところの電子カルテも見れるようにしということになるので、ちょうどいい機会だから日母標準フォーマットでいこうと考えている。(原座長)


  • 2. 「心房細動早期検出クラウドシステムの開発〜産総研・香川大学との共同研究に関して〜」

    メロディ・インターナショナル株式会社 CEO 尾形 優子氏より「心房細動早期検出クラウドシステムの開発〜産総研・香川大学との共同研究に関して〜」についての発表があった。

    【質疑応答】
    Q.

    特に医者の負担を減らすという意味でとても大切な技術だと思った。例えばデバイスによって心房細動が診断されて、それによってサプリメントを出すということで、心房細動に対してサプリメントというのが、私にとってはしっくりこなかったのだが、診断と投薬ということに対して法律的にどうやってカバーしているのかお聞かせいただきたい。(JICA 神作氏)

    A.

    皆さんそのあたりは気になるところで、いい質問だと思う。実際に私たちは医療に携わってきたが、医療というものと、ヘルスケアというものの分岐点があると考えている。例えば、家で体温や血圧を測ったりするのはヘルスケアになるし、病院に行って病気を診断されたり、問題ありませんよと言われたりするのは医師が関わる部分を簡単に言えば医療と分かれている。ヘルスケアと医療では法律的なものは変わってくる。ヘルスケアの段階だと、まだちゃんとした診断を下すというところではなく、アドバイスが得られるという部分で、私たちも最初はヘルスケアから入って、医師と共に研究していくので、医師が使える部分も考慮しながら、ヘルスケアの分野でまずはいきたいなと考えている。切り分けは難しいが、具体的に診断をするのではなく、病院に行ったほうがいいですよというところまでになる。(尾形氏)

    Q.

    薬剤師さんが関わってくると医療従事者なので、例えば、心房細動でこれは医者に診せるべきだったのに、診せそびれたと、そういった時に責任は問われないのだろうか。(JICA 神作氏)

    A.

    難しい問題だと思う。まだそのあたりまで調べられていないのだが、実際、病気を診断するのは医師の責任に任されていて、薬剤師さんはお薬を間違いなく患者さんに提供すると いうところ。そのあたりで薬剤師、医師、看護師の役割が分かれているので、特に問題はないのかなと思っている。(尾形氏)

    Q.

    血圧などは一定のレベルを超えると高血圧となるが、家庭で測って、自分で判断されているかと思うが、判断を自動的にしてしまうとなると、かなり医師の世界に近づいてくるので、表示の仕方という点でも考えていく必要があると思う。(大家副座長)


  • 3.「妊産婦が健診結果やエコー画像をアプリで手軽に参照できる『妊婦健診 結果参照サービス』 の提供〜NTTドコモと富士通との共創の取り組み」

    富士通株式会社 第二ヘルスケアソリューション事業本部 新ビジネス推進室 マネージャー岩崎 照史氏より、「妊産婦が健診結果やエコー画像をアプリで手軽に参照できる『妊婦健診結果参照サービス』の提供〜NTTドコモと富士通との共創の取り組み」について発表があった。

    【質疑応答】
    Q.

    将来的なイメージとして、母子手帳とアプリを両方使うということになるのだろうか。それとも母子手帳をアプリと一体化して紙媒体は持たないということになるのだろうか。(岸畑氏)

    A.

    紙がなくなっていくのかということだが、私の聞いた範囲では、紙はなくならない。(岩崎氏)

    Q.

    大学病院だけではなく、中小の病院でもいかに紙をなくすかということに力を入れているので、なくなる方向になっていくと思う。厚労省が今後、妊娠分 娩に関するデータは電子母子手帳などに連携できるようにとすでに通知が出ている。例えば各県の母子保健課などに提出してそれを連携するようになりつつある。そこを電子化するかと思っていたところ、その部分はまず紙でやろうということのようだ。(原座長)

    A.

    医療機関側の情報入力や医療機関とデータを直接電子的に結ぶという話ではなかったと聞いている。(岩崎氏)

    Q.

    他の周産期電子カルテでも標準フォーマットでやり取りできるように、先ほどの発表の通り、さぬき市民病院で実施していこうと思っている。一番いいのはクラウドに入れて、標準フォーマットで出しますよということ。ドコモの方の問題点は、NTTの病院が一切データを外に出さないと言っているが、その辺はどう調整しているのか。(原座長)

    A.

    現時点ではNTTの病院とは連携できていない。以前、ドコモ単独でそういったサービスをされていた時に非常にハードルが高かったと聞いている。(岩崎氏)

    Q.

    私たちはいかに紙をなくしていくかということに尽力しているのでよろしくお願いしたいが、助産師さんたちは紙があった方がいいのだろうか。(原座長)

    A.

    はい、私たち助産師からすれば、母子手帳のコメント欄の記録を残しているかを見たり、他から搬送されて来た時に、個人端末で情報が見れてしまうというのは病院としてはあまり嬉しくない。母子手帳は預かることができるが、個人の携帯を貸してもらってデータをさかのぼって見るというのはなかなか難しいと思うので、そのあたりのハードルをどうするのか・・・。(岸畑氏)

    Q.

    若い妊婦さんは紙より、アプリなどで入力する方が早いと思うし、いずれ紙はなくなると私は思うのだが。(原座長)

    A.

    外部から転院などがあった時に私たちもアクセスしやすいような形だと嬉しい。(岸畑氏)

    A.

    助産師さんも電子カルテに直接入力されている方もいると思うが、そういった情報もクラウドに集約されて妊婦さんも見ることができる。ただ、今のサービスでは妊婦さんまでなので、ここに集まってきた情報を医療機関同士で参照しあう、その時には普段業務で使っているパソコンで見ることができるように目指していきたい。(岩崎氏)


  • 4.「つながる力で医療を支える『Antaa』に関して」   

    アンタ−株式会社 取締役/COO 西山 知恵子氏より、「つながる力で医療を支える『Antaa』に 関して」の発表があった。

    【質疑応答】
    Q.

    2点質問があるのだが、まず、「地域」に聞いてオープンに聞いていくということだが、その地域のカバレッジはどれくらいになるのか、また全国をカバーしているのかということと、相談を受ける際のイメージを教えていただきたい。(四経局 椿原氏)

    A.

    例えば、島根県の海士町だと、隣にいくつか島があるので、その範囲だったり、二次医療圏で区切られている範囲など、今お使いいただいている所だと範囲はばらばら。小さいところから大きいところまで様々となっている。2つ目の質問について、一番始めに質問をする時に、「質問する」というボタンがあって、画像や電子カルテであれば、データなど何を相談したいかを入力してもらうのだが、その際に3つまで科を選択することができるようになっており、例えば、整形外科の先生がする質問だったりすると、女性の患者さんで腰が痛いという方が来たと。診てみても他には異常がなさそうだ、しかし、おなかを触ったらおなかが痛い、実は熱もあるとなると、これは整形外科ではないのではないかと思う瞬間があり、そうするとその症状に対して、産婦人科じゃないか、内科じゃないかという感じで科を選択する。そして投稿ボタンを押すと、このサービスに登録している先生方は必ず自分は何科です、もしくは自分は何科に対して答えることができますと登録されているので、登録されている先生にプッシュ通知が届くような仕組みになっている。(西山氏)

    Q.

    高松から来ているのだが、四国でも登録されているお医者さんは多いのだろうか。(四経局 椿原氏)

    A.

    自治体や病院単位がいくつかあるが、四国ではサービスを使ってくださっているお医者様が何名かいらっしゃる。(西山氏)

    Q.

    質問をする時、基本的に情報は開示しなければならないのだろうか。(JICA 神作氏)

    A.

    回答してもらいたい内容がわかるものは開示してもらっている。例えば、性別がわからない、年齢がわからない、既往歴がないと回答が得られないという場合は、情報を入れてもらうようにしている。(西山氏)

    Q.

    20年目のドクター等だと、聞くことに躊躇してしまうような場合があるのではないかと思うのだが、答える側は信頼性を問うために、どこの誰かというのはわかるが、質問をする側は必ずしもどこの誰かがわかる必要がないのかなとも思うのだが、そのあたりいかがだろうか。(JICA 神作氏)

    A.

    とてもいい質問をいただいた。1か月だけ匿名で質問ができるという実証をしているところ。匿名で質問をすると回答がなかなかつかないところがある。実名、自分の名前をちゃんと出してでも質問をしているという本気度があるから回答がくるというところがある。おっしゃる通り、匿名だと質問は出るのだが、それに対して回答がつくかというと、すごく時間がかかったり、もしくはつかなかったりする。実験をしてみて、やはり実名の方がいいのかなと。ただ、質問がしづらいのではないかとは思っているので、今4000名がオープンな状態になっているが、誰が登録しているだろうと少し不安を抱くところがあるかもしれないので、例えば、エリアを区切るとか科を区切るといったグルーピング化してあげると、先生の特徴が少しずつ見えてくるのではないかと考えている。(西山氏)

    Q.

    相談の過程で全部実名で医師がやり取りをしていると説明があったが、万が一事故が起こった場合、例えば、イメージされているような初期研修医や10年以内の医師がこう判断しましたという場合に実際に病院の中では私が判断したと言えばいいかもしれないが、当然その経緯についてどうしてそういう判断をしたのかと厳しく問われた時に、A病院、B病院、C病院、D病院の医師から意見を聞いたとわかった場合どうなるのか気になったのだが。(富士通 山田氏)

    A.

    責任の所在について、利用規約の中で日本医師会の倫理規範にのっとっているということでサービスを使っていただいている。まずは主治医が責任を持つということ。一方で日本医師会の言っていることは、自分だけではなくしっかり相談しましょうという倫理規範にのっとっている。例えば、やり取りの中で、他の病院に聞いた、他の先生に聞いたとなったとしても自分で意思決定して、全てを理解しているのは主治医であるということが前提となっている。判断を間違えてしまう瞬間があるかもしれないが、責任は主治医にあると考えている。(西山氏)

    Q.

    搬送された後の結果というのはわからないのだろうか。(大家副座長)

    A.

    全てが仕組みになっているわけではないが、相談した先生が回答してくれた先生にお礼を言いたいと、その後の経過を書いてくれる先生が少しずつ増えてきている。今、メルマガの配信をしているのだが、そのように促していった方が回答した先生も自分の意見がちゃんと反映されたんだなとか、もしくはこれは違ったからこちらの方がよかったのかなとお互いの学びになる。経過については今は先生の好意で書いてくださっているので、さらに促していければと考えている。(西山氏)

    Q.

    どう判断したかというのは貴重な情報だと思うが、経過等が大量に蓄積されてくるとその後、先生方の同意があれば使えるのだろうか。(大家副座長)

    A.

    私たちが目指す未来は、一人のお医者さんでも患者さんを一人で診ることができるという世界を作っていきたいと思っているので、今はわからない時には相談するというようにしているが、データが溜まっていくと、例えば営業ツールだったり自分が営業に行こうと思うと、「こっちの課よりもこっちの課に行った方が確率が高い」とか「こういうやり取りをするといいかもしれない」といったアドバイスをくれるような仕組みが技術的にはあるので、それが医療でできるようにならないかなと思っている。未来的には一人の医師が患者さんに向き合っている時に今のQ&Aで何か質問したら回答する、何か疑問に思うことがあれば、これまでのQ&Aのやり取りのもので回答がでてきたり、すぐにガイドラインを引っ張ってこられたりできればいいと思う。また優秀な先生はEvernoteなどに自分の学んだことをたくさん溜め込んでいる。そのように溜め込んでいるものを私たちのサイトの中に信頼性があればそこに自分の情報を提供したり、入ってくると思っているので、そのような情報が引っ張ってこられるようになれば医師一人で複数の疾患を持っている患者さんに対しても診ることができるのではないか、そういう未来を作りたいと考えており、そこはAI化につなげていきたい。(西山氏)


  • 5.「インテルのヘルスケアへの取り組み」

    インテル株式会社 インダストリー事業本部 清水 由香氏より、「インテルのヘルスケアへの取り組み」についての発表があった。

    【質疑応答】
    Q.

    AIがどのように役立つかというところで、医師のサポートに対して臨床需要の20%に対応できるという話だが、私の印象としては結構少ないなと思ったのだが、これはいつぐらいまでの話なのかということと、逆に対応できるものは何で、対応できないものは何か教えていただきたい。(JICA 神作氏)

    A.

    お医者様の最終決定というものはお医者様が最終的にされるが、一番身近な例で言うと、画像解析などのデータを集めて分析をしたり、機械は疲れないのでそういったテクノロジーを広く使うことによって、先生方の負担やサポートのために私共は考えており、テクノロジーをいち早く提供し、納得いただけるような環境ができればと考えている。(清水氏)

    Q.

    逆に、実際、医療現場で「こんなことができませんか」と投げかけがもしあったらお聞きしたい。(大家副座長)

    Q.

    今言われているのが、手術そのものをAIができるのではないかとか、それは夢物語なのか、実際にできるのか、そのあたりはどうなのだろうか。(JICA 神作氏)

    A.

    現在、手術現場でダヴィンチなどのロボットが使われていることにより、先生方の手のぶれがなくなるなど、機械の得意とするところがあるので、そういったところに使っていただいたり、手術に使う工具や多数の機器をどれくらい早く準備できるかということも大事で、手術時間の短縮にもつながる。手術室で先生方の負担を減らすことが、手術時間の短縮につながり、ひいては患者さんの負担を減らすことになる。技術をうまく利用していくことが大切。また、先生方の手術の予習にもご利用いただけると考えている。(清水氏)

    Q.

    世の中で人のゲノム解析がどんどん進んでいて、データベースができていると思うが、インテルもヘルスケアに絡めて、データベースとして何か活用するというビジネスはされているのだろうか。(産総研 国分氏)

    A.

    弊社としては遺伝子のデータなどを集めることは今はしていないが、少し前だが、弊社の創業者の一人、アンディ・グローブが晩年パーキンソン病になった。現在ちゃんとした治療法はないが、少しでも患者さんの苦痛を減らすために、同じくパーキンソン病を患っているマイケル・J・フォックスの財団と一緒に組み、弊社の中にもパーキンソン病の患者がいたので、その人のデータも細かく取ったものを分析して治療に役立てていくという活動はさせていただいている。また、オバマ政権の時から遺伝子をもっと集めて、電子データを取っていこうということをやっているが、そちらの取り組みのアドバイザーとして弊社の担当者がそちらに転職し、担当者が年に数回の会合をして参加させていただいている。また、フランスやオーストラリアにおいて、ゲノム解析の基盤をどのようにしていくかという相談を受け、どのようなプラットフォームにするのか、ご提案等もさせていただいている。ご要望があれば、情報を提供することも可能なのでお声がけいただければ。(清水氏)

    Q.

    最近は医療にAIをと言われているが、AIに入れる前のデータの加工が一番難しいのではないかといつも思っている。色々な発表で、とにかくAI、AI、研究申請もAIを入れた方が通りやすいなど聞くが、その前のデータをきっちり加工して入れることが重要。(原座長)

    A.

    先生のおっしゃる通りで、医療のデータというのは、構造化されたものばかりではなく非構造化されているものもあるので、それぞれのデータをどのように入れていくかが課題。普通のデータをそのまま入れても使えないものも多い。最初にどのようなデータを入れるかということが重要になってくる。厚労省などプロジェクトを進める政府機関の方と一緒に協議させていただき、データの準備段階から提言できれば。また、医療現場だけではなく、他の現場でもAIは使われており、他の現場で使われている理論やアルゴリズム等が医療の現場にも使えるのではないかと考えている。例えば、今よく言われているフィンテックをデータヘルスに使えないかとか、ブロックチェーンという考え方もヘルスケアのデータをそれぞれまとめていくのに使えるのではないかと。他の業種で使っている技術を医療の中で医療として使える形ですすめていければ。AIが先生方のお仕事にとって代わるという風には考えているわけではなく、あくまでもAIを使っていただいて医療現場をよりよくしていただく、患者様へのサービスを良くしていただくようにと思っているので、うまく共存できるようなテクノロジーとして育てていけばと考えている。(清水氏)

    Q.

    AIが一度間違えるとバッシングを受けるが、実は人間よりもはるかに間違えていない。そういった部分がAIの妨げになっているような気がする。つまり人間が事故を起こしても仕方がないと、しかし、AIが一回事故を起こすとAI使えないとなるが、現状を改善していく、そのためにはAIはまだ不完全なんだと、さらに進歩していくんだという部分を皆さんが共通意識を持たないと普及しないのでは。(大家副座長)

    A.

    テクノロジーは毎日のように進化していき、そこから学んでいくことも多いと思う。弊社としても、AIを使っても実はこういうところはうまくいかなかった、こういうところはダメなんだというLesson&Learnで学んでいくことも重要だと思う。そういうことをすることによって現場の方に使っていただけるようになるのではと考えている。(清水氏)

    Q.

    ハードウェアのメーカーとしてのIntelなので、データが大量にあるということも大事だが、データそのものの質と意味するところ、本当にそれが原因なのかどうかということ、例えば、全然関係のない、他の影響を受けているデータを集めて解析の対象にしてしまうと全く別の結果になってしまうので、そのあたりのことについても意識されているとは思うが、さらに意識を持っていたただければ。(大家副座長)

    A.

    今、クラウドが全盛になっているが、クラウドに全てをあげるのがいいと思っているわけではなく、クラウドにあげる前にそのデータがクラウドにあげて二次活用できるかどうかということを事前に選別することが大切。それをエッジコンピューティングとか弊社ではボブコンピューティングと呼んでいるが、そのような形で必要なデータだけをクラウドにあげて、それを活用、分析したりということが今後重要になってくるのではないか。また機会があればこれらのご紹介もできればと考えている。(清水氏)


  • 6.「最近の3D市場と海外展開に関して」

    FAシステムエンジニアリング株式会社 代表取締役 中村 康則氏より、「最近の3D市場と海外展開に関して」の発表があった。

    【質疑応答】
    Q.

    元々カメラで撮影した単眼の場合、カメラに入ってくるのは機能情報と医療情報の2つだけということだが、その2つの情報から推定画像が作り出せるものなのだろうか。(大家副座長)

    A.

    単眼の1枚の映像をリアルに作る。そこに視差をつけるというのが第一段階。先ほどのイスラエルの要素も同じ。単眼のカメラしかない。我々は映像を作るが、彼らは安全運転でということになっているので、レンズを2台置き、それを一つにする。そして対象物だけ三角法で見て、それをソフト的に処理する。医療では鮮明な映像が必要となってくるが、車の場合は対象物を何mの距離でということだけ見ればいいのでそれは三角法が必要で、それをレンズで作っていると新聞で見た。3Dにするには視差をうまく活用して立体を作っている。(中村社長)

    Q.

    感動して拝聴したのだが、例えば胃カメラなどの内視鏡のコードを単眼で3Dにして手術することはすでにされていると思うがどうなのだろうか。(産総研 国分氏)

    A.

    おっしゃる通り。我々は外科で腹腔鏡と言うが、ある先生は内視鏡と言っている。そうなると内科の分野の先生で我々のコンバータにかけたいという方もいたが、今始めたばかりで、現在はほとんど外科で行っている。内科部門の内視鏡に対して3Dで問診をしたい、またスマートグラスをかけて立体で見せたいという声は出ている。3Dの設定が微妙なところがあり、内科の方については技術的に対応できていないというのが正直なところ。(中村氏)


  • 7.「歩行情報のヘルスケア活用に向けて」

    国立研究開発法人 産業技術総合研究所 四国センター所長代理(兼)生命工学領域研究戦略部 イノベーションコーディネータ 大家 利彦氏より、「歩行情報のヘルスケア活用に向けて」の 発表があった。

    【質疑応答】
    Q.

    福祉靴というのは耳慣れない言葉だが、健康サンダルとかそういう類のものなのか、普通の靴と福祉靴の違いは何か教えていただきたい。

    A.

    福祉靴というのは、香川県にある徳武産業という企業が作った言葉。高齢者になって歩きにくくなってきたという方が履いて外出できるようにという中で、転倒リスクを避けたいとか、疲れないようにしたいということで出てきた靴になっている。実際、開発段階で行ったことというのは、転倒しにくくするために、つま先をちょっと上げるとか、ひっかかりにくくするという工夫がされ、開発されてきている。ただ、それだけだと、疲れにくいとか、転倒リスクが本当に下がったのかがわからない。そのあたりをきちんと評価して、最近どうやらコピー品がでてきて、シェアが下がってきたらしいのだが、自分たちのものがちゃんとしたエビデンスベースで作っているんだということを示したいということもあり、共同研究が始まっている。形だけ見ると、単に前にマジックファスナーで開くところがあって、足を入れてペタッとつければ履けるので同じような靴はたくさんある。そういった中で、本当に転倒防止効果があるのか、ないのか、そちらを測定した例になる。(大家副座長)

4.閉会

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