フォーラム事務局

香川大学瀬戸内圏研究センター

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お知らせ&イベント

「ヘルスケア・イノベーション・フォーラム」
第33回事例研究部会議事要旨

1.開催日時・場所

【日時】平成31年2月22日(金)13:00〜16:00
【場所】高松サンポート合同庁舎 アイホール
【出席】40名

2.開会
3.議事概要
(1)事例研究

 

  • 1.「首相官邸で開催された『まち・ひと・しごと創生会議』に招かれて」
    「バンコクでの総務省・NBTC(タイ国家放送通信委員会)共催『Future of ICT Application/Broadcasting-5G and Beyond-』招待講演、ミャンマー ネピドー・
    ヤンゴン第一医科大学学長訪問」 「NHKニュースおはよう日本『まちかど情報室』
    全国放送〜プチCTG紹介〜」

    香川大学瀬戸内圏研究センター 特任教授 原 量宏氏より「首相官邸で開催された『まち・ひと・しごと創生会議』に招かれて」「バンコクでの総務省・NBTC(タイ国家放送通信委員会)共催 『Future of ICT Application/Broadcasting-5G and Beyond-』招待講演、ミャンマー
    ネピドー・ヤンゴン第一医科大学学長訪問」「NHKニュースおはよう日本『まちかど情報室』
    全国放送〜プチCTG紹介〜」の発表があった。

    【質疑応答】
    Q.

    プチCTG運用に関して、今後はどのような展開を考えているのかお聞かせいただきたい。
    (大家副座長)

    A.

    昨年4月にオンライン診療が認められたが、妊婦健診の遠隔医療診療に関してはリストに入っていない。プチCTGを使えばコストが抑えられる。そこで、産婦人科医会では、現在許可されているオンライン診療に代わり、はるかに重要なデータがリアルタイムで得られるため点数を高めてほしいということを要望しようとしていて、総務省などにも話しをしている。実際、もっともっとエビデンス、実例を出すようにしていくことが求められると思う。(原座長)

    Q.

    法整備が今後の課題となっていきそうだと理解した。(大家副座長)

    Q.

    海外展開に関するお話しで、タイでの草の根技術協力についてもご説明いただき、タイではチェンマイ県のチェンマイ大学を中心に最初の3年間のあと、チェンマイ県全体に広げ るというお話しに併せて、ミャンマーでの取り組みについてのお話しもあったが、タイとミャンマーの比較、原先生が現場で見られたり、タイやミャンマーの先生方とお話しされての感触を教えていただきたい。タイは発展途上国の中でも比較的、ICT、インターネット環境も含めて進んでおり、東南アジアの中でも発展してきている国で、ミャンマーは軍事政権だったこともあり、インフラ整備や人材育成もタイと比べると遅れている部分もあると思うのだが、今回プチCTGといったツールをミャンマーで導入しようとする時に、ミャンマーでも十分可能性があるのか、あるいはタイとの比較でどんな課題があるのか、他の途上国に展開する時もそういったところがポイントになってくると考えている。そういっ た観点で原先生の現場で感じた課題やご意見をお聞かせいただきたい。 (JICA四国センター 波多野氏)

    A.

    現在、総務省の外郭団体で海外のモバイルシステムを支援しているAPT(アジア・太平洋電気通信共同体)の予算で、ミャンマーのカレン州での取り組みについてもうすぐ報告書が出る予定だが、モバイルシステムは急速に普及しつつあるということで、ヤンゴン市内、あるいはカレン州の主だった町ではこのシステムが使えるのではないかと考えている。私の発表の後にザンビアでのお話しがあるが、途上国のモバイルシステムに力を入れているということがあるので、地域を選べば十分使えると思う。ミャンマーの産婦人科の状況を見てきたが、タイよりだいぶ遅れていた。取り組んでいる方たちは非常に熱心なので、ぜひタイ以外の国々でもご支援いただければ。(原座長)

    A.

    ありがとうございます。確かにミャンマーをはじめ、開発途上国、アフリカ諸国でもスマートフォンを持っているということでモバイル環境が非常に広がってきていると感じる。そういったところで、遠隔医療の取り組みの可能性が出てくる。JICAとしても、ユニバーサル・ヘルス・カバレッジと呼ばれている、世界の人々に医療アクセスを届けることや、SDGs、持続可能な開発目標として、妊産婦・乳幼児の健康が非常に大事であると思うので、日本の技術等は、日本の企業や大学の海外展開につながると考えている。ぜひJICAとしても連携できる部分があれば産学官で協力して実現させていきたい。(JICA四国センター 波多野氏)


  • 2. 「アフリカ諸国における胎児心拍数モニタリングの課題〜ハイリスクのトリアージとしてのプチCTG活用の可能性〜」

    和歌山県立医科大学 保健看護学部 講師 藤田 和佳子氏より「アフリカ諸国における胎児心拍数モニタリングの課題〜ハイリスクのトリアージとしてのプチCTG活用の可能性〜」の発表があった。

    【質疑応答】
    Q.

    モバイルCTGは現状、医療機器として使われている大型のもの等いろいろとタイプがあり、一番使いやすい状況はそれぞれ違うと思うが、病院内の場合はどうなるのだろうか。(大家副座長)

    A.

    モバイルCTGができたのは、遠隔医療のためということがあるので、本来自宅で妊婦さんが自分で着けるといったようことがはじまりで、アフリカでも非常に大事なことだと思うのだが、医療機関の中で質を上げるということをまず取り組みたいと思っている。サブサハラアフリカでは、施設分娩を推奨しており、自宅で産まないようにといった政策をとっている。それにもかかわらず、モニタリングの質が悪いというのは良くないので、そのあたりをポータビリティのよい、しかも、ドクターにデータを送れるというようなものを使って改善ができないものかと考えている。(藤田先生)

    Q.

    もちろん、モバイルCTGは患者さんの現場でも使えるし、同じように病院内でも使えるということになるが、逆にモバイルということを最大のメリットにしている関係上、若干センサーが大きめになっているかなと。そのあたり医療現場の方たちのとってどのように受け取られたのだろうか。(大家副座長)

    A.

    インド製のCTGよりも、すごく良いという評価だった。(藤田先生)

    Q.

    CTGが小さければ扱いやすいので、できるだけ小さい方がいいと思うのだが、反対にヘルスセンターや一次病院では、管理の問題が出てくるのではないか。小さいと、パッとポケットに入れて持って帰ったらわからないといった恐れはないのだろうか。(上野氏)

    A.

    一次病院にCTGを入れるのは難しいと思う。一次病院はトラウベ、あるいはドップラーでよいと。途上国では妊婦健診は4回しかないのだが、その4回目、後期には必ず着けるというのが望ましいと思うが、それも道のりはまだまだ長い。ただ、リスクがある搬送ケースを受け入れた病院がCTGを着けないというところに疑問があるので、まずは二次病院での導入を考えている。(藤田先生)

    Q.

    二次病院以上になると、管理はしっかりしているのだろうか。(上野氏)

    A.

    帝王切開ができるといった施設が二次病院と呼ばれるので、ある程度の管理は可能かと思う。(藤田先生)

    Q.

    二次病院では比較的通信環境もよいのだろうか。(上野氏)

    A.

    院内にWi-Fiはなかったが、モバイルWi-Fiを使用するなど、可能性はある。(藤田先生)

    Q.

    インド製のCTGはどういう風にどれくらい性能が悪いのだろうか。(竹内先生)

    A.

    悪いというよりも、使っていない。CTGが有用だという認識がスタッフの中にないと言える。その一つとしては、WHOパルトグラムさえプロットしていればいいという教育をしているからだと私は考えている。(藤田先生)

    Q.

    それならばまずインド製の方を使うというのは。(竹内先生)

    A.

    もちろんインド製でもいいのだが、CTGをきちんと導入するということが必要だと思っている。ただ、それには現状のものだと、ペーパーであるし、データをタイムリーにドクターに伝えることも難しいので、プチCTGの方が便利だと思う。(藤田先生)


  • 3.「T-ICU事業の海外展開事例報告」

    株式会社T-ICU 取締役 COO 小倉 大氏より「T-ICU事業の海外展開事例報告」についての発表があった。

    【質疑応答】
    Q.

    ICUの実態というのはイメージしづらいと思うのだが、医師の方々はどの程度の情報を把握してICUの面倒をみられているのだろうか。先ほど、何人かの医師の方の写真があったが、あの人数だと、1か所か、せいぜい2か所のサポートがいっぱいいっぱい、その1か 所だけをサポートする時に何人分くらいのサポートが可能なのか教えていただきたい。(大家副座長)

    A.

    あくまでも先ほど述べたアメリカのadvanced ICU careの運用事例だが、1人の医師が一次受けであるナースを4人ぶら下げて、そこで、1人のナースが約30〜50ベッド担当できると。そうなってくると、ドクター1人に対してナース4人だと結果的に120〜200ベッド、日本のICUが平均6ベッドあると言われているので、だいたい50病院くらいは1人の医師で診ることができる。医師の時給は高いので、病院数が倍になったら、いつまでたっても黒字にならないのではないかとよく聞かれるが、すぐに倍になるわけではない。大きい目で見ると1000ベッド、2000ベッドは倍になると思うが、それが10、20、30となったところで、2倍、3倍となるわけではない。(小倉氏)

    Q.

    今のお話しからすると、医師がずっと情報を見ているわけではなく、基本的にナースの方が面倒を見ていて、何かあった時にICUの問題事の解決を医師がするという形になるということだろうか。(大家副座長)

    A.

    おっしゃる通り。例えば、昭和大学で行っているモデルは、コントロールセンターに全ての患者の情報をディーリングルームのようにずらっと並べて、そこで監視している。そちらは監視型だが、我々はあくまでも現場の方が「この患者に対してどうしたらよいか分からない」とか、「このような処置でよいのだろうか」ということを相談する際に、「では、心電図を見せてください」といったシステムで、監視型ではない。(小倉氏)

    Q.

    海外展開の事例、バングラデシュ、ネパール、カンボジアといった、いわゆる開発途上国の方でも具体的な話があるということで、遠隔の集中治療のモニタリングシステム自体はインターネット環境や、ある程度電気が確保できれば導入は可能だと思うが、それを実際、専門医の方がデータを読み込んで適切なアドバイスをするという観点において、いわゆる途上国の医療体制、医師のレベル等、十分対応できるのだろうか。またどういった課題があるのか、それを克服するためにどんな可能性があるのか教えていただきたい。
    (JICA四国センター 波多野氏)

    A.

    我々のシステムそのものが、通して監視はしていないので、現場のナースあるいはドクターの方が異変に全く気づかない場合、我々の相談が遅れてしまうというリスクがある。また、特に当社が行うサービスは例えば日本国内においても、そこの病院ではどのような医薬品を使っているのかとか、業務フロー上、何かあった時、誰が誰に指示を出すのかということが病院ごとに違っている。その点も含めて、いきなりシステムを導入するのではなく、対象となる病院一つ一つと摺り合わせをして、事前に交流会や勉強会も行った上で導入をしていく。やはり仲良くなっていかないとこのシステムは回らないと考えており、人の部分での交流をまずやっていこうと考えている。そこで、病院ごとの違いを知っていこうということなので、それが海外でもできるのではないかと思うが、大きな壁としては我々のサポートのドクターに英語を頑張っていただきたいというところ。(小倉氏)

    Q.

    重症の患者さんを診る時に、看護師と医師とが常にコミュニケーションをとりながら、チーム医療をやっていく必要があると思うのだが、離れた場所で初めての患者さんを遠隔で診るとすると、いつ医師と看護師が密なコミュニケーションをとるのだろうか。(上野氏)

    A.

    最初にお断りしておくが、私は医師ではないので、あくまでも中西やサポートの医師から聞いた話をお伝えすることになる。まず、先ほどの質問でもお答えしたが、いきなり全く知らない状態からどこかの病院をサポートするということは当社では現状やっていない。勉強会や検討会などを3回〜4回行って、コアとなる方と我々の担当医師が顔をつき合わせて、その方々の個性も含めて、ある程度知った上でシステムを導入しているので、なるべく、全て知らない方という状況を作らないようにしている。ただ、どうしても人の入れ替わりはあるので、その際、どのようにしていけばよいのかだが、例えば、今度新しく来られた医師と事前に簡単なビデオチャットでお話しをしておくといったことで、ある程度仲良くなっておくということが根底にあり、それを心がけている。(小倉氏)

    Q.

    一人の医師が何人もの患者さんを診るわけで、それぞれの患者さんの病状について遠隔の医師が詳しく知っておかなければならないのかなと思ったのだが、それはその都度、看護師さんと医師が仲良くなって気楽に話せるようにしておくということでカバーするのだろうか。(上野氏)

    A.

    あと、電子カルテの記載情報も見させていただくので、これまでにどのような処置をしたかということは我々も知った上で、レスポンスができるようにしている。ただ、どうしても説明される方のスキルに依存してしまうことは事実。例えば夜間で、それほど経験のない看護師さんが聞いてきた時に、聞き方が適切であるか、十分な情報を伝えているかどうか、そのあたりは依然、問題点として残ると考えているので、それに対して何らかの対策を取るべきだと考えている。(小倉氏)

    Q.

    それでは、異常が起こった時に常に看護師と医師が会話して対処するので、かなりカバーできるということだろうか。(上野氏)

    A.

    我々が全て解決するのではなく、場合によっては適切な集中治療専門医、ジェネラリスト
    カテゴリーなので、例えば循環器の先生につないだ方がよいとか、それも含めてアドバイスだと考えている。(小倉氏)


  • 4.「服薬支援について〜残薬の解消とアドヒアランス向上〜」   

    株式会社タカゾノテクノロジー 主任 永野 貴裕氏より「服薬支援について〜残薬の解消とアドヒアランス向上〜」についての発表があった。

    【質疑応答】
    Q.

    調剤薬局にはたくさんの優秀な薬剤師さんが全国に勤めておられて、今は人の力でピッキングしてるが、それを自動化していけば、薬剤師として地域の住民の健康管理に役立てることができる。国がようやくその方向に法律化を進めつつある。ITの方としては、病院の中ではピッキングシステムと電子カルテシステムが連携している所が多い。調剤薬局との連携が次のテーマで、電子処方箋プロジェクトとしては、ご存知かもしれないが、5年以上前に5年くらいかけて香川大学で行った。テスト的にはHL7でデータを調剤レセコンにそのまま入るというところまでやったがなかなか現実には追いついてこなかった。今日の治験IT化部会の発表で、第一三共の鏑木氏からお話があると思うが、今回、K-MIX+を使って、DOACの薬を使って処方情報などを見ている。香川大学では横井先生と富士通が頑張って、SS-MIXのデータをそのまま取り出せて、SDVのシステムまで取り込むということまでできているので、それをもう少し拡張していけば、調剤薬局で、即調剤レセコンに取り込めるのではないか。それで、岡田先生の話しが、香川大学、病院、高松から西の調剤薬局の有志などの施設で行って、現在15施設くらいの調剤薬局がK-MIXに加入して、すでに稼働している。患者さんの評判としては、すぐに同意書に記入してくれているので好感触。4月以降は、県全体で実施していく方向。今週火曜日、K-MIXを使っている三豊総合病院の院長とも会い、すぐにでもやりましょうという話しになった。とすると、三豊総合病院の周囲の調剤薬局の方々もおそらくすぐに加入してくれるような気がするが、そのあたりの感触は調剤薬局側から見るとどうだろうか。(原座長)

    A.

    生々しい話しになるが、実は薬局自体はお金に厳しいところが結構多い。例えば、服薬指導を行う際の薬剤情報の提供に関してもサービスで行うという薬局は昔は少なかった。それが、診療報酬にのってきたので、やり出した。色々な地域連携はあると思うが、薬局の参加が少ないのは、個人的な意見としては、診療報酬にかかっていない部分があるためだと思っている。ただし、今後は法律が改正されることで、診療報酬ではなく、薬剤師さんの仕事のあり方としての問題点になってくるので、薬剤師さんが自ら進んでやっていかなければならない、というところが出てくると思う。したがって、地域連携に関して言えば、薬局は今後は積極的に進んでいくだろうなと考えている。(永野氏)

    Q.

    調剤薬局は非常に狭く、患者さんの病気に関することやお薬のことなども周りに聞こえてしまうことがあるが、K-MIXだと、ドクターが何を考えていることなどが分かるので、患者さんとのやり取りも楽になるのではないか。そうすると、大手の薬局ではなく、慎ましくやっている薬局でも患者さんが来る。また、患者さんを一か所に集めれば点数を多くするということはこれから行政で指導しなければならないと思うが、来年度以降、一気に香川県で調剤薬局との連携が進んでいくと思うので、ぜひその業界の方にも宣伝していただきたい。その中で、SS-MIXやHL7で、直接連携していくということになるが、開業の先生方は、それはできないと仰るかもしれないが、レセコンからもデータが出るのでそのあたりも工夫していきたいと考えている。(原座長)

    A.

    レセコンから出た調剤記録というのは、あくまでも保険診療上の記録でしかなく、例えば、患者さんの意見を聞いたデータなどは調剤側にしか残っていない場合がある。診療報酬では係っていないけれど、サービスでやっているというようなことで、もちろん疑義紹介をした上での話しだが、その記録を地域連携システムに返すとなった時に、今だとレセコンからおそらく情報の違いが出てくる可能性はあると思っている。(永野氏)

    Q.

    国全体のことを考えて、標準的なやり方を特に香川では考えているのでご支援いただきたい。(原座長)


  • 5.「心拍変動測定に基づいた自律神経バランス推定−迅速測定の実現に向けて−」

    国立研究開発法人産業技術総合研究所 電子光技術研究部門 光センシンググループ 
    主任研究員 有本 英伸氏より、「心拍変動測定に基づいた自律神経バランス推定−迅速測定の実現に向けて−」についての発表があった。

    【質疑応答】
    Q.

    心電図と同時に取ったデータもあるだろうか。(原座長)

    A.

    両腕に着けるタイプで、指を置いて全く同時に測り、RRIがぴったり一致することを行った。(有本氏)

    Q.

    その場合、先ほどの3分目も同じようになるのかどうかということで、容積脈波のデータの安定性と、心電図の方がもっと正確だと思うので、そのあたりの比較ができそうな気がするのだが。(原座長)

    A.

    基本的に心電図と容積脈波は形的には違うが、ピークを検出してRRIにした時点で全く一致する。そうすると、心電図を撮ってもやはりLF/HFが1分くらいの時定数だと、不安定になる。
    (有本氏)

    Q.

    これから人間に適応してデータを取られていくと思うが、例えば、私自身LF/HF比のバランスが取れている日と、そうでない日のばらつきがあるのではないかと想像するのと、一人の人間でも、その日の気分や気圧、血圧の状態などによって、比が変わってくると思うのだが、そのあたりはいかがだろうか。(上野氏)

    A.

    個人差はかなり大きい。絶対的な指標を作って、「この間にあてはまっていればあなたはリラックスしている」とかは単純には言えない。そのため、予備的な計測をいくつかして、まず個人個人の基準を作ってからでないとできないと思う。質問二点目の外部環境への依存についても当然あると思う。ただし、例えば、「寒い」とか、そういう状態でLF/HFなどのデータが変わった時に、それが自律神経と関係ないものなのか、それとも当然、外部環境が変われば自律神経も変わるというのもリーズナブルではあるので、本当に変わっているのか、その時に自律神経の状態も変わるというのと、メンタルの状態が変わるというのは別問題。実際に自分が感じている心の状態と自律神経のバランスとLF/HFの関係がどうなっているのかということをある程度データを集めて解析していきたいと思っている。(有本氏)

    Q.

    少し別の話しになるが、副交感神経は迷走神経が主なので、心臓の動き以外にも消化管など、そちらの方に関係してくるが、一般的にこういった研究だと、消化管よりもデータを取りやすい心臓の方に注目されている。なぜこのような話しをするかと言うと、むちうちなどで首の筋肉をやられてしまうと、迷走神経が圧迫されて色々な症状が出てくる場合に、そういう患者さんをたくさん診ているが、やはりそういう方は結果、交感神経が優位だったりする。こういうシステムをもっと使わせていただけたらと思っている。(原座長)

    A.

    心電の場合、通常動いている環境だと、他の筋肉の状態を拾ってしまって難しいかと思うのだが、通常の生活環境の中で、心電と脈波とどちらがしやすいのだろうか。(大家副座長)

    Q.

    しやすさで言えば、容積脈波の方がやはり圧倒的にやりやすい。ただ、どちらの場合も運動によって心拍が速くなるというものを、今回RRIの解析では想定していないので、静かにしていて、普段70とか65とかといった心拍の状態でRRIが変わるかなので、今の課題としては、よくスポーツメーカーなどから、運転中や自転車に乗っている時に測れないかと相談をされるのでそのあたり何とかしたいと考えている。(有本氏)


4.閉会

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