フォーラム事務局

香川大学瀬戸内圏研究センター

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お知らせ&イベント

「ヘルスケア・イノベーション・フォーラム」
第31回事例研究部会議事要旨

1.開催日時・場所

【日時】平成30年7月12日(木)13:00〜16:30
【場所】産業技術総合研究所 臨海副都心センター 別館11F 第2、3会議室
【出席】40名

2.開会
3.議事概要
(1)事例研究

 

  • 1.「オンライン診療の動向、国際遠隔診療開始(香港・ロンドン)」
    「ハイデルベルク大学校友会(京都大学開催)の報告 」

    香川大学瀬戸内圏研究センター 特任教授 原 量宏氏より「オンライン診療の動向、
    国際遠隔診療開始(香港・ロンドン)」および「ハイデルベルク大学校友会(京都大学開催)の報告」 について発表があった。

    【質疑応答】
    Q.

    胎児心拍の波形の解析をされていくということだが、医学というよりも波形を扱うので工学的な研究になるのだろうか。(大家副座長)

    A.

    胎児の心臓の速さというのは、(成人もそうだが)自律神経が常時働いていて、速くしたり遅くしたりするのが非常に素直に出るのでモデルとしてもいい。それを連続で切り取る技術がなかった。非常に複雑な波形の中から周期性を取り出すには超音波がよいだろうと。また、一人一人の妊婦さんを調べるより、いい方法を見つけて沢山の妊婦さんを調べる方がよいのではないかと考えた。(原座長)

    Q.

    東日本大震災も含め、今回の西日本豪雨もそうだが、避難所に1か月以上滞在しなければならない時に、遠隔医療の技術をもう少し普及させる手段はないのだろうか。例えば、初診の場合、遠隔医療は使えないということだが、そこのところをクリアする手段はあるのだろうか。

    A.

    日本医師会では、オンライン診療についてYESかNOかというための委員会が設置され、色々な指針、方針が出てきたわけだが、現在の横倉会長はオンライン診療に対して前向きに認めるということになった。ただし、オンライン診療が商業主義的になってはいけないと。それを防ぐために規制を厳しくしているところもある。離島などでやむを得ない場合は初診でのオンライン診療も認めてもいいのではないかと、まだ文書化されてはいないが、医師会側は言っている。また、離島での看取りについても遠隔で死亡診断書を書くことが認められる方向なので、初診については例外的にというところからはじめて、今後認められていくのでは。(原座長)


  • 2.「遠隔医療分野におけるブイキューブの取り組み」

    株式会社ブイキューブ メディカルヘルスケア推進グループ アカウントプラニングチーム
    大穂 照久氏より「遠隔医療分野におけるブイキューブの取り組み」についての発表があった。

    【質疑応答】
    Q.

    SDKサービスのキットだが、そんなに簡単に組み込めるものなのだろうか。(大家副座長)

    A.

    キットハブにサンプルコードが数千近くすでにあがっているので、そこから簡単に引っ張ってくることができる。簡単なものは1〜2日で作れてしまうというくらい簡単。(大穂氏)

    Q.

    ネットワークサービスを展開している上で、映像情報も個人情報とみなされると考えられるが、どのような対応をしているのかお聞かせいただきたい。(大家副座長)

    A.

    難しいところではあるが、リアルタイム性のある通信の場合、データをどこかにためているわけではないので、置き所をどうするかということ。ただ、遠隔会議の場合は最終的には入室のインターフェイスにYES、NOで合意を取るような形に作り変えていく、おそらくそのようになるのではと考えられる。(大穂氏)


  • 3.「プチCTG開発状況およびチェンマイの第二期周産期プロジェクトの進行状況」

    メロディ・インターナショナル株式会社 CEO 尾形 優子氏より、「プチCTG開発状況およびチェンマイの第二期周産期プロジェクトの進行状況」について発があった。

    【質疑応答】
    Q.

    タイにプチCTG24台を配るということは全妊婦さんが24人ということなのか。

    A.

    そうではなく、妊婦さんが通う公立の医療施設が24あり、そちらに設置して、毎週水曜日が妊婦さんが集まる日なので、そこで検診を行う。ただ、そこには産婦人科医はいない。(尾形氏)

    Q.

    日本の母子死亡率はゼロに近いと思うが、日本にプチCTGを入れるということは、妊婦さんとお医者さんの負荷軽減が目的なのだろうか。

    A.

    その通り。今、本当に産婦人科医は24時間働いているような状況で、特にへき地の産婦人科医は緊急対応も迫られていて、しかも一人しかいない状態。こういった産婦人科医にまず使っていただき、在宅で測定したデータを毎日見ていただくことによって、緊急対応ではなく、早めの対応をしていただくことができる。また、緊急対応をしなければいけない妊婦さんに関しては、例えば奄美大島での例を挙げると、早めに鹿児島や沖縄などに搬送していただくようなイメージを持っている。(尾形氏)

    Q.

    現在のタイの母子死亡率がどれくらいで、3年後どれくらいにするという目標があるのか。

    A.

    子供は1000人のうち30人くらいなので、半分にしたいと考えている。(尾形氏)

    Q.

    JICAプロジェクト後のアフターケアの体制はどうなっているのだろうか。

    A.

    この機器を導入するのはJICAを使ってということなので、相手側にとっては「いただいた機器」という認識で、なかなか根付いていかないという例もあるのだが、私達はずっと使ってもらいたいという気持ちがある。ずっと使っていただくためには、サポートは現地でできる形、あるいは、こちらに頼める形というのを一緒に作っていきたい。日本でも岩手県遠野市や奄美大島において、最初は国の補助金を使って機器を導入していただいていたが、今もずっと使っていただいている遠野市では10年くらいになり、奄美大島も7〜8年になる。「いいな」と思っていただき、引き続き使ってもらえるということが大事で、そのための体制作りをしていきたいと思っている。(尾形氏)

    Q.

    CTGのデータは蓄積されているのだろうか。(大家副座長)

    A.

    蓄積されている。(尾形氏)


  • 4.「低出生体重児の保護者向けの母子手帳アプリについて」   

    株式会社NTTドコモ ライフサポートビジネス推進部 西口 孝広氏より、「低出生体重児の保護者向けの母子手帳アプリについて」の発表があった。

    【質疑応答】
    Q.

    費用についてはどのような仕組になっているのか。(大家副座長)

    A.

    ビジネス要素に関してだが、必要な情報シリーズの中で、企業からの情報については、その企業からお金をいただいている。算定の根拠については、広告価値としてどれくらいだったら企業が捻出していただけるかを考えている。マーケットサイズからの値段設定になる。先ほども申し上げたが、ここでの広告色は強くしたくないので、あくまでお役に立つ、学習、教育的な要素を必ずつけた状態で、企業の一製品だけを訴求するということのないような情報源にしていくことと、自治体からは情報発信に対する稼働削減という観点から少しお金をいただいている。(西口氏)

    Q.

    ドコモでは糖尿病についてはオンライン診療でMediTelというサービスも展開していると思うが、お母さんの糖尿病は意外と見えづらいという話を聞いていて、そうすると今回の母子手帳の話とMeditelのサービスはどこかで連携していくと考えられているのだろうか。

    A.

    Meditelはまだ試験的な状況なので、今の段階でサービス連携については考えていない。Meditelは糖尿病に特化しているというより、糖尿病の先生と一緒に考えてきた仕組みで、オンライン診療を一般ツール化することを目指している。且つ、糖尿病の管理が有用という意味では他にもっと有用なアプリがあったりするので、いわゆる妊娠糖尿病などをケアするのであればそれにマッチしたアプリと連動した方が良いのではないかというのが私の考え。妊娠糖尿病、高血圧症は問題があるというのは理解しているので、そこにどう対応すべきか、どういったアプリベンダーと連携していくのかということを模索している最中だとご理解いただければ。(西口氏)

    Q.

    自治体と病院がサポートしないと、その地域の人は使えないということだろうか。

    A.

    病院に関してはあらかじめ医師に監修いただいた情報がストックされているので、提携病院でなくても情報は一律飛んでいくことができる。提携病院であるメリットは私たちが元々用意した標準原稿を各医療機関で書き換えることができるということ。自治体からの情報に関しては、提携自治体ではないとその情報は飛んでこない仕組み。そのあたり苦労しているところでもあるが、ぜひ情報を掲載していただきたいので提携自治体になってほしいという働きかけを行っている。(西口氏)

    Q.

    産婦人科医会や学会、例えば中四国の医師会の中での質問事項などで、医療機関の意向と関係なく、自治体が勝手に決めてしまっていることがあり、なぜそうなっているのかという質問が私の方にもきているのだが、自治体というのは地区ごとの産婦人科医会と相談して、公式な委員会を立ち上げてやるべきだと思う。全国的に地域の産婦人科医の意見などを聞かずに自治体が勝手に決めているようなので、企業からも意見をぜひ出していってほしい。(原座長)

    A.

    うまくいっている例としては、千葉県の房総半島の方では医会の先生と行政サイドが密に意見交換されて、その結果、最終的に我々が教えていただき、4つか5つの市がまとめて入って、それらの地域の産婦人科と連携することにつながった事例もある。皆さんのご賛同を得ることができ非常に良い仕組みであると考えており、そういうやり方が望ましいと理解している。(西口氏)

    Q.

    自治体間でのサービスの違い、ばらつきはあるのだろうか。(大家副座長)

    A.

    助成制度の枠組みそのものは違ってくるので、その案内の仕方は変わってくる。(西口氏)


  • 5.「APT資金による遠隔医療アジア展開〜インドネシア;救急診療のための実質的な遠隔病理・遠隔画像診断システムを中心に〜 」

    BHNテレコム支援協議会/日本遠隔医療学会国際交流委員会 榑松 八平氏より、「APT資金による遠隔医療アジア展開〜インドネシア;救急診療のための実質的な遠隔病理・遠隔画像診断システムを中心に〜」についての発表があった。

    【質疑応答】
    Q.

    遠隔医療の末端部分に存在する機器というのはどのようなものが想定されるのだろうか。(大家副座長)

    A.

    今、地方に置く生体センター などは心電計や血圧計など、そういったものしかない。インドネシアで遠隔病理で実施しようとしているのは、ドクターがどこにいても自分の病院と連携することで遠隔でモニタリングし、アドバイスすることができるというような事例。Doctor to Patient的に見て、Patient側から言うと、モバイルCTGや血圧計などの機器になると思う。(榑松氏)

    Q.

    取ったデータがどこまで信用できるのかと、たまったデータを解析する際に問題が出てくる。その点はどうお考えだろうか。(大家副座長)

    A.

    現地に行くと背に腹かえられない状況。要するに何もない。そのため、そういう機器、そういうようなアクセスがあれば非常に助かると。もちろん、いずれ地方の病院にも立派な機器が入ってくれたらいいなと思うが、それを待っている暇はないというのが実態。そのあたりが現場のニーズと我々のシーズの提供というところのギャップであって、遠隔医療がそういった状況を少し埋めてくれると考えている。(榑松氏)

    Q.

    日本ではオンライン診療は病院とPatient、病院と病院をつなぐということが許されているが、病院から出たDoctorとPatientをつなぐことはまだ許されていない。インドネシアの場合は、どうなのだろうか。

    A.

    インドネシアでは、まだそういうルールは全くない。今のところは自由にいいものは取り入れているというのが実態で、少しでも住民の方にサービスが提供できればありがたいという段階。いい事例をたくさん作っていってあげるというのが彼らにとって、助けになるのではないかと考えている。(榑松氏)

    A.

    今の質問の件で、オンライン診療の規制緩和にあたり、医師会側の委員会では患者さんのメリットばかりでは困るということで、Doctorは基本的には自分のいる医療機関から診断するが、車で外に出ていたりする時には車の中からでも良いということ、また、画像診断については放射線科医が自宅で診断しても良いという風に変わっている。Doctor側にもメリットがないとだめじゃないかという医師会側からの意見でそうなっている。あまり明確にされていないが、厚労省もOKだということになっている。(原座長)

    Q.

    それはいつ頃から変わったのかお聞かせいただきたい。

    A.

    厚労省が研究班を作り、案を出し、一方で規制緩和のグループ、要するに企業が入った委員会でも案をまとめて、それらを医師会に提出している。厚労省としては医師会がいいと言わないとよろしくないということで、うまく調整している。最終的には委員会で医師会もOKになった。ただ、文書であまり明確化されていない。(原座長)


  • 6.「プライマリ・ケアでの循環器系情報収集のご紹介」

    株式会社イメージワン 営業企画グループ 統括マネージャー 岡庭 貴志氏より、「プライマリ・ケアでの循環器系情報収集のご紹介」についての発表があった。

    【質疑応答】
    Q.

    亡くなった方の情報というのはどこかに蓄積されていないのだろうか。(大家副座長)

    A.

    臨床研究法が4月に改正されてから、例え大学のデータとはいっても、そのデータを使うのは結構大変。ところが、最初からそういったことを利用してやっていこうという大学がある。東の方で一か所、あとは原先生の香川大学で一か所、もう一か所くらい出てくるかなという気がしている。研究したい人は学内に呼べばいいという考えもあって、それは確かにうまくいくと考えている。(岡庭氏)

    Q.

    心電図のデータがまとまったらすごいと思うのだが、そのあたりはどうだろうか。(大家副座長)

    A.

    AMEDクラスのファンドで、そこをまとめていかないと、まとめるメリットが各大学になくなってしまうので難しいと思う。(岡庭氏)

    Q.

    RR間隔からどれくらい心房細動が検出できるかということにつきると思うが、いかがだろうか。(原座長)

    A.

    心房細動に関して言うと、RR間隔でまず見るというのが一つと、P波がないか、細動があるかというのも一応見る。ところが、脈波の方だと難しい。特にリズムがよく変わる心房細動がそちらの方。ただ、心房細動の中にはリズムが変わらないものもあり、心房粗動だと、結構変わらなかったりするので、本当はそれらを取っておきたいところ。(岡庭氏)

    Q.

    最初に胎児心拍の発表をしたが、我々は変動するデータを検出するのが得意。血圧計や心電計などから我々のシステムを入れるとかなりきれいなデータが取れるのでできそうだと思う。P波が見えなくてもできるだろうという感じはあるのだろうか。(原座長)

    A.

    それは間違いないと思う。心房細動、特に国立循環器医療センターの草野教授とSEIKOが作った腕時計型の機器があり、こちらだと検出率も90何%を超えたということなので、できると思う。(岡庭氏)

    Q.

    循環器の専門家は心電図でP波があるかないかで決めるという。RR間隔から診断できてしまえば、非常に価値があると思う。また不思議なのは、血圧計で不整脈があると血圧がうまく測れないとなっているが、不整脈の時の本当の血圧が出ていると思うのだが。なぜ測れないと言われているのだろうか。(原座長)

    A.

    PVCとかだと、そこで血圧が出ないのだが、その点だろうか。申し訳ないがそれに関する知識は持ち合わせていない。(岡庭氏)


  • 7.「クラウド型電子カルテとテレビ会議システムを連携させた医療・看護・介護連携情報共有システムについて」

    株式会社カナミックネットワーク 取締役 営業統括部長 澤 勇治氏より、「クラウド型電子カルテとテレビ会議システムを連携させた医療・看護・介護連携情報共有システムについて」の発表があった。

    【質疑応答】
    Q.

    サービス間のデータの紐付が肝になっていると思うのだが、次のサービスに紐付した時もやはりクラウドの形を取るのだろうか。(大家副座長)

    A.

    おっしゃる通り、クラウドの環境の中で連携をすることになる。(澤氏)

    Q.

    その場合、了承の取り方というのはどのようになっているのだろうか。(大家副座長)

    A.

    基本的には患者さんにクラウドのサービスの中で、こういった情報を共有しますよと最初に同意をいただいて、書面も印鑑もいただくような運用が多い。(澤氏)

    Q.

    包括的に同意を取ったあと、やはりこの部分はだめだという場合、その部分を消していくような形だろうか。(大家副座長)

    A.

    部屋の管理者が参加者を招待する、しないといった権限を持っているのだが、連携すべき方々とだけ連携するような設定を個別にしていくことになっている。(澤氏)


  • 8.「ヘルスケア・サービス効果計測コンソーシアム 活動報告」

    国立研究開発法人 産業技術総合研究所 臨海副都心センターイノベーションコーディネータ 三宅 正人氏より、「ヘルスケア・サービス効果計測コンソーシアム 活動報告」についての発表があった。

    「産総研四国センターをプラットフォームとする、『産総研―香川大連携』と香川県、企業を加えた『4者連携』による橋渡しについてのご紹介」

    国立研究開発法人 産業技術総合研究所 四国センター所長代理(兼)生命工学領域研究戦略部 イノベーションコーディネータ 大家 利彦氏より、「産総研四国センターをプラットフォームとする、『産総研―香川大連携』と香川県、企業を加えた『4者連携』による橋渡しについてのご紹介」についての発表があった。

  • 9.【遠隔講演】「K-MIX+を用いた脳卒中遠隔医療支援について
    −香川県小豆島中央病院の事例−」

    香川大学医学部医学教育学講座 教授 岡田 宏基氏より、「K-MIX+を用いた脳卒中遠隔医療支援について−香川県小豆島中央病院の事例−」の発表があった。

    【質疑応答】
    Q.

    小豆島中央病院での入院患者が減っているという資料があったが。(大家副座長)

    A.

    患者さんによっては島を離れて、高松市内の病院に通われているのかもしれない。(岡田氏)

    A.

    これから症例を増やして、どんどん進めていただきたい。ありがとうございました。(原座長)

4.閉会

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