フォーラム事務局

香川大学瀬戸内圏研究センター

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お知らせ&イベント

「ヘルスケア・イノベーション・フォーラム」
第29回事例研究部会議事要旨

1.開催日時・場所

【日時】平成29年11月24日(金) 13:45〜17:30
【場所】高松サンポート合同庁舎 南館101大会議室
【出席】40名

2.開会
3.議事概要
(1)事例研究

 

  • 1.「ロンドン・香港の診療所でのK-MIX参加について」

    R-Vision SHIP株式会社 代表取締役 寒川 誠仁氏より「ロンドン・香港の診療所でのK-MIX参加について」の発表があった。

    【質疑応答】
    Q.

    ロンドンや香港からはテレビ会議システムの要望はなかったのだろうか。(BHN榑松氏)

    A.

    香港は時差が2時間くらいだが、ロンドンは9時間あり、昼夜逆転しているため、時差が課題になってくると考えている。(寒川氏)

    Q.

    ロンドンに7年ほど滞在していたが、お医者さんにかかるのが一番大変だった。駐在員の皆さんも苦労している。もしテレビ会議システムがあると、日本語でK-MIX等を通じて相談でき、かなり助かると思う。駐在員の立場からすると日本のお医者さんに相談したいという要望が私の経験上からはある。(BHN榑松氏)

    A.

    原先生、せっかくなので、やりましょうか。(寒川氏)

    A.

    K-MIXへの参加医療機関はブイキューブ社のテレビ会議システムを基本的に使えるようになったので、欧州日本人医師会の伊原先生とご相談したのは画像診断支援だけではなく、テレビ会議システムを使っての遠隔健康相談による専門医の相談ということで、循環器の疾患や糖尿病等、ゆくゆくはやろうとしているので、次々回くらいには事例を発表できるのではないか。心電図の伝送についてもdurantaを用いての遠隔診療についてすでに伊原先生とお話しをしている。また、今日の読売新聞に、テレビ会議システムを使った遠隔診療に診療報酬拡充という記事が出ている。これは前から話題になっており、閣議決定もされている。K-MIXの利用に関して、これまでは年間の使用回数が6〜7000だったのが、今年度は1万を超える見込み。(原座長)

    Q.

    毎月700件の読影依頼があるということだが、その時の画像情報と読影された結果は、いずれかの場所に蓄積されているのだろうか。それとも、情報としては蓄積されないようになっているのだろうか。もしデータが蓄積されているとすると、この先に画像の自動診断が見えてくるのだが、システム上の構成はどうなっているのか。(大家副座長)

    A.

    K-MIXでは、画像情報と読影レポートはSTNetのサーバで一定期間保管されるが、蓄積される仕組みにはなっていない。当社ではK-MIXとは別の遠隔読影システムも併用しており、そちらは自社サーバを設けて画像やレポートを蓄積できるため、同じ患者さんの過去画像がある場合は標準で比較読影を実施している。(寒川氏)

    Q.

    人工知能の画像のディープラーニングについて、今のスタンダードは人間が診断しているが、次世代で新しく読影できる人を育てる時に、どこを基準にきちんと診断をするか、知識として蓄積されていると非常に有意義なので、よろしくお願いします。(大家副座長)


  • 2.「JICA課題別研修 妊産婦の健康改善(母子保健のための遠隔医療を含む)(C)についてのご報告〜その1〜」

    香川大学瀬戸内圏研究センター 特任教授 原 量宏氏より「JICA課題別研修 妊産婦の健康改善(母子保健のための遠隔医療を含む)(C)についてのご報告〜その1〜」の発表があった。


  • 3.「JICA課題別研修 妊産婦の健康改善(母子保健のための遠隔医療を含む)(C)についてのご報告〜その2〜」

    認定NPO法人BHNテレコム支援協議会 理事 榑松 八平氏より「JICA課題別研修 妊産婦の健康改善(母子保健のための遠隔医療を含む)(C)についてのご報告〜その2〜」についての発表があった。

    【2・3への質疑応答】
    Q.

    話しの中心が日本とそれぞれの国との違いだったが、来日された方々同士で各国の現状への認識は高まったのだろうか。(大家副座長)

    A.

    研修員同士の情報共有、議論というものが研修員にとって一番成果が大きかったことの一つ。それぞれの国で宗教的な問題等色々あり、妊娠したお母さんがなかなか病院に行けな いというようなこともあるようだ。各国の問題点をそれぞれの国で情報共有できたという ことは今回の研修で良かった点としても挙げられていた。(BHN榑松氏)

    Q.

    日本と比べて、自分たちの国に改善点が多いというのは分かるが、同じような状態にある国がこういうことを考えているんだと発言することによって、うちもやらなければという意識になるだろうし、そういった意味では仲間意識と同時にライバルとして一日も早く良い医療状況を実現しようという気持ちが生まれると思う。(大家副座長)

    A.

    今回の研修のカリキュラム終盤で、お互いにディスカッションをするセッションがあり、こういうカリキュラムが組まれたというのが非常に良かった。日本の技術を日本目線で提供するだけではなく、お互いの国で困っていることをお互いに共有できた。(BHN榑松氏)

    Q.

    より健康な状態を維持していくということ以外に病気、感染症対策についての情報蓄積というのは議論としてあったのだろうか。(大家副座長)

    A.

    あまりなかったと思う。ただ、母子健康という意味で考えると性教育の問題等の議論はあった。感染症の話などは今回は出ていなかったと理解している。(BHN榑松氏)

    Q.

    産総研でマラリアの研究を実施している。ウガンダやケニアでは雨季の後で流行ってしまい、妊婦さん、生まれたばかりの赤ちゃんなど弱者に被害が及ぶ。どう対策するのかといった時に早期診断といった情報と2次感染の予防をうまくリンクしていくということが効果的になるのでは。(大家副座長)

    A.

    それは非常に重要だと思う。マラリアやデング熱、最近さらに怖い感染症も出てきていると聞く。今スマホが広がっているので、スマホを利用して地域の方々が、この地域で何が起きているのかという情報を保健省に上げるようなシステムを広めていくと良いと思う。フィリピンの保健省ではすでにこういったシステムが構築されている。(BHN榑松氏)

    Q.

    感染症とワクチンの関係性は非常に高く、研修内でテクノアスカさんから講義があった、ワクチンの自動登録システムについても研修員に関心を持っていただいた。また、シスメックスの感染症登録システムについて、現在は院内で行われているということだが、ぜひ地域、ひいては国内だけではなく世界に広めて医療機関と連携できるシステムが重要だと考えているのでよろしくお願いします。(原座長)


  • 4.「飛び出せJAPAN【南アフリカの周産期医療に向けて】中間報告」   

    メロディ・インターナショナル株式会社 CEO 尾形 優子氏より、「飛び出せJAPAN【南アフリカの周産期医療に向けて】中間報告」についての発表があった。

    【質疑応答】
    Q.

    フリーステート州の周産期死亡率が南アフリカ全体に比べて高いというのは何か理由があるのだろうか。また、チェンマイの話を7月のHCIFで聞かせていただいたが、実証研究を通じて地域社会に貢献をし、その地域にアプリを導入してもらって普及させていくことが目的とのことだが、それはビジネスとして、導入先としては病院なのか、国なのかお聞かせいただきたい。(アスクレップ細野氏)

    A.

    まず一つ目の質問について、地域的、病院の問題があると考えているが、まだ詳しくは 調べられていない。また次回そのあたりお答えできればと思う。(尾形氏)

    一つの要因として、まずアパルトヘイトの時期で黒人街が多いエリアで、その後、解放されてお金をもっている人々はヨハネスブルグなどハウテン州へ移って行った。フリーステート州は貧困がある地域がかなり残っているエリアであるため妊産婦死亡率も高く、居住している人数も多い分、行き届いていないと聞いている。(メロディ二ノ宮氏)

    もう一つの質問について、私どもの会社のビジネスモデルに係るようなことになるかもしれないが、私たちとしては地域の問題を解決したいと思っている。日本から母子手帳を持って行くことによって、妊産婦死亡率が減ったという話を聞いている。日本では妊産婦死亡率が低い理由として健診が行き届いているということ、母子手帳などで妊婦さんも自分の健康に興味を持っているということが考えられる。そういったことを普及させてからビジネスに繋げるという形をとっていきたいので、最初はODAのような事業を行い実証した上で、そのデータを基にビジネス化していく。そうすることによって、見た方が「買いたい」というところも出てくるのではないか。日本では逆で、周産期死亡率は減っており、 医療もハイレベルになっているので、赤ちゃんもお母さんも亡くなっていないが、でも、医師不足や健診を受けられないなど、地域格差の問題が出てきているので、こういったところに遠隔医療を活用できればと思っており、そちらはできれば病院に買ってもらって…というところからスタートしたいと考えている。(尾形氏)

    Q.

    アフリカでは母体死亡が日本の数百倍となっている。我々は過去の日本の統計が分かっており、例えば、妊婦さんの血圧が急に上がったなど、死亡のパターンを把握し、どうすれば防げるかというイメージを持っている。それらのノウハウをフリーステート州に入れて、3年から5年で他の州よりも妊産婦死亡率が下げていけば、世界にとってもいいモデルになると思う。香川県もかつて周産期死亡率はワーストだったのが、現在では周産期死亡率が一番低いということで、どういう筋書きでどうすればよいか分かると思うので、ぜひ成果をあげてほしい。(原座長)

    A.

    先生のご指導にも従いながら、妊産婦・周産期死亡率を下げていきたいと思っている。(尾形氏)

    Q.

    先ほどの死亡率の話の続きで、地域によって高次医療施設への搬送距離がかなりあると思うのだが。(大家副座長)

    A.

    日本と比べると移動距離は長いと思う。原先生のご指導によると、これから何か異常が出てくる可能性のある妊婦さんについて、モバイルCTGで測っていると割と早い段階から、産科医さんはその異常に気付くことが多いそうだ。今は妊婦さんの訴えや、ひどくなってから搬送するということになっているが、「この妊婦さんは行かなくてもいいのでは」とか「この妊婦さんは早くから病院へ行っておいた方がいい」といった振り分けができてくれば、助かる妊婦さんが多くなると考えている。(尾形氏)

    Q.

    運用について、今回は測定した結果を飛ばすインフラとして3Gを用いたとのことだが、3Gが飛んでいく先はどこになるのか。直接産科医さんにデータがいってその時点でチェックして終了するのか、もしくは元々の電子母子手帳などデータがどこかのサーバに蓄積されているシステムがある場合、その運用を誰がするのかという問題に行き着くと思うのだが、そのあたりまで議論が進んだ際は、どのような話を想定されているのかお聞かせいただきたい。(大家副座長)

    A.

    データは医療データとしてサーバに蓄積し、後から履歴も見ることができるようにしている。特に南アは例えば紙で蓄積しているデータは訴訟などの際に弁護士さんが抜いていって無くなることもあって、医師に不利になってしまうという話を聞いたことがある。そうすると、医師にとってはデータが蓄積されている方がいいということになる。(尾形氏)

    Q.

    その際、システムそのものを誰が運用するのか、どこに蓄積するのか問題になってくる。そのあたりはいかがだろうか。(大家副座長)

    A.

    専門医がCTGのデータを読めるような状況が基本で、次に測定している助産師さんがある程度、データを読めるようになって、振り分けできるようになってくるとデータを読む人が増えて忙しさも減ってくると思う。データは国の中か、あるいはデータセンターにおいてもいいかということは日本の規制と違っていると思うので、調べていく必要があると思う。(尾形氏)


  • 5.「小豆島、豊島における遠隔医療の取り組み」

    香川大学医学部地域医療再生医学講座 客員教授/小豆島中央病院 循環器科 岩藤 泰慶氏より、「小豆島、豊島における遠隔医療の取り組み」についての発表があった。

    【質疑応答】
    Q.

    心拍測定に現在durantaを使われているということだが、実際に使用感はどうだろうか。(大家副座長)

    A.

    機能として、あとほしいのは血圧や酸素飽和度、そういったデータも一元管理できると良いかもしれない。durantaだけでもオプションとしてiPhoneに飛ばせるシステムが作ることができればそれでいいのだが、当然、酸素飽和度というのが重要な指標となる。心電図波形だけでは診断できないので、血圧などのデータも含め、様々な他のデータも簡単に測定でき、そのまま電子カルテに反映できればさらに良いと思う。(岩藤氏)

    Q.

    別々のデータを集約するために、ハード側のメーカーが対応するのか、ソフトウェア会社がそういったデータを集めてくるようにするのか、要望としてはどんな形のものが望ましいかお聞かせいただきたい。(大家副座長)

    A.

    シームレスに、簡単に、一つの画面の操作でできるのが望ましい。K-MIX+などで情報の定義を共有化して、各社がデータを名寄せして情報を送るなど、大元の病院情報の共通化さえされれば、あとはデータを送れば自動的にその患者さんのデータにリンクするようなシステムになるのが良いと考えている。(岩藤氏)

    Q.

    コメントだが、亡くなる直前にこういうシステムを使うだけよりは、状態の悪い患者さんで入退院を繰り返しているような方々の在宅での健康管理には心電図とspoなどが同時に送れるシステムを気軽に使えるようにすることが重要で、そのため我々は多目的サーバを設置し、色々な企業がデータを送ってきても一体化して電子カルテで見えるようにするということをやりつつあるので、関心のある企業の皆さんはぜひこのHCIFの中でご相談いただければ。

    毎週月曜日、粟島の診療所で患者さんを診ているが、クラウド型の電子カルテが非常に便利。今、香川大学瀬戸内圏研究センターと済生会病院が中心となって、離島医療福祉研究会という会が設立されており、ぜひ離島でのクラウドがとても便利だということをそちらの研究会の方でも先生にお話しをいただきたい。(原座長)

    Q.

    今の話に関係して、答えにくい質問かもしれないが、香川県だとK-MIX+があるが、離島でクラウド型のシステムという、あえて別のものを使われているというのは何か理由があるのだろうか。(大家副座長)

    A.

    電子カルテは病院によって色々な会社のものを使っているが、現在使っているのは富士通で、最近クラウド型ができてきて、たまたま導入したという形。電子カルテも様々なものが混在している。逆に言うと、K-MIX+があるから香川県はその情報を全て名寄せしてやり取りができている。国の方で、電子カルテの仕様書というものを確定してもらわないと、病院を変わるごとに電子カルテの使い方を覚えなくてはならないという非効率的なことが生じている。仕様の共通化が望まれる。(岩藤氏)


  • 6.「遠隔医療におけるドローンの活用」

    株式会社かもめや 代表取締役 小野 正人氏より、「遠隔医療におけるドローンの活用」についての発表があった。

    【質疑応答】
    Q.

    ドローンの夜間飛行はどうなるのか。(岩藤氏)

    A.

    改正航空法において目視外や夜間飛行に関する規制が強化されたが、国としては離島や山間部における利用に限っては、緩和されていく方向になっている。(小野氏)

    Q.

    船すら出航できないような悪天候の日はドローン飛行は難しいと思うのだが、例えば潜水艦型とか何か考えておられるだろうか。(岩藤氏)

    A.

    おっしゃる通り、一般的なドローン(中小型の無人航空機)に関しては風速15mくらいが運用限界。実は船に関してはかなり有望視しており、いわゆる大きな旅客船についている、転覆しない形状をしている救命艇のような形状の船体であれば、瀬戸内海で例えば風速25mを超えるような台風の時、船も出航できずヘリも飛べないという状況でも、シミュレーター上ではマリンジェットのエンジンくらいの出力の推進器があればおそらく運用できるものが作れるのではないかと考えている。モノだけを運ぶということで無人の輸送船が活用できるのではないかと考え、研究を進めている。(小野氏)

    Q.

    コストの面で、片道で船だと300円、航空機を利用した場合5000円かかるということだが、これほどまで値段に差が出る要因は何かお聞かせいただきたい。(四国総通 吉松氏)

    A.

    ズバリ、開発費の違い。航空機を一から開発すると億単位でお金がかかる。ビジネス的なことを考えると、それだけ船と航空機では開発費用に差があり、制御装置や通信装置に関しても、航空機は二重化しなくてはならないが船はそこまでしなくてもよかったり、地上走行はもっと簡単で良いなど、航空機と船、地上走行との要件に差がありすぎて、装置がとにかく高い。その点がコストに直接跳ね返ってきているところが現状。(小野氏)

    Q.

    同じくコストの話だが、Kazamidoriに関して、基地局の維持費や通信費など、現状だと億を超えるようなプロジェクトになると思うのだが、新しいシステムのコスト面は感覚的にはどのようになるのだろうか。(メロディ二ノ宮氏)

    A.

    今、使い分けをしているのだが、リアルタイム性を要求するもの、通信がどうしても切れてはいけない、航空機と地上走行とセンターをつなぐ通信回線は自営の専用通信装置や、LTEを二重化するなど、信頼性のある回線を使っている。気象観測装置に関しては、非常に安価なものを使っている。実はさくらインターネットさんのIoTプラットフォームを使うと、気象観測データだけであれば、1基地局あたり、通信のランニングコストが1ヶ月約100円くらい。航空機等に関しては1機あたり搭載するLTE等、独自のテレメトリー装置については数千円くらいかかってくる。適材適所で使い分けて、安くできるところは安くして、通信装置に関してもどんどん値段が下がってきているので、ドローンが普及してくれば、そのあたりのコストも下がってくるのかなと考えている。見込みとしては何億もかかるとは思っておらず、何千万単位くらいかなと今のところ予想している。(小野氏)

    Q.

    通信の話に関して、類似のサービスでの共通基盤的に扱わなければならない部分と、独自で持たなければならないものと上下分離があると思うが、コストダウンという点でも、ここから先は独自で持つ、ここから下は類似のことをしようとしている人がいたら協力しませんかといったことになるのだろうか。(大家副座長)

    A.

    世の中にないものは作らないとしょうがないかなと。なるべく私たちはあるものは既存の会社さんのものを使い、実際、色々な企業さんとコラボレーションしてこのプロジェクトを進めている。具体的なところで言うと、無人航空機のバックアップ回線は作らなくてはいけない。その他の回線に関しては、民間のキャリアを数社、マルチキャリアで使い分けていくやり方。運用基盤に関しても、独自でサーバをたてるというのは、私たちのような小さな会社では難しいので、amazonやgoogleのサーバ基盤を使って構築する方向になると思う。(小野氏)

    Q.

    システムを自律的に動かす部分と、外部での制御という点で自律型の方にバランスが寄っていくと思うのだが、自律型に寄っていくことによってコストダウンできる部分、どのあたりまでコストダウンできるのか、そのあたりの見通しはどうだろうか。(大家副座長)

    A.

    私たちは当初から、どれだけ人手を介さずにシステムを動かせるかというところにかなり注力して作っている。例えば、とある地点からとある地点に何かモノを運ぶ時に、様々なルート、ここからここは空を飛ばして、ここからここは地上走行で行かせて、ここは海で行こうという、気象観測装置からあがってくるデータを基に、裏で簡単なディープラーニングや、AIの仕組みを使ってルートを判断させるという仕組みを作り込んでいる。運航管理に関しては監視が一人、二人いればいいようにしたいと思っているが、船に関しては、少し時間がかかるかなと思っている。航空機と地上走行については割と時間はかからない。海の自動走行というのは今、世の中であまりない。そのあたり、何社かとコラボレーションできないか模索中。なるべく人の手を介さない方法でやりたいと思っている。(小野氏)

    Q.

    日本中の自治体がドローンを危機管理や農業の効率化などで研究、支援されていると思うが、直感的には瀬戸内海、香川県は離島もありモデルになりやすい地域ではないか。日本全体のスモールベンチャーの中ではどのように受け取られているのだろうか。(原座長)

    A.

    無人機を取り扱う業者の集まりに参加して意見交換している。海の上は現状の航空法では規制対象外となっており、香川県の離島はそもそも密集地も外れているし、一つの区間が実験をする上で8km〜10kmと非常に適している。日本だけではなく世界的にも大変良い場所だと思う。(小野氏)

    Q.

    日本中の自治体がドローンを危機管理や農業の効率化などで研究、支援されていると思うが、直感的には瀬戸内海、香川県は離島もありモデルになりやすい地域ではないか。日本全体のスモールベンチャーの中ではどのように受け取られているのだろうか。(原座長)

    A.

    ドローンに特化した窓口はないと思う。ドローンの安全協議会に加入しているが、協議会経由でやり取りはあるようだ。私自身は徳島や愛媛、熊本の天草など県外に呼ばれることが多く、実験しませんかとの誘いを受けている。ぜひ地元で機会があれば。(小野氏)

    Q.

    この会議室は経済産業局との関係で使わせていただいているが、経済産業局は中央政府直轄なので、ぜひお願いできれば。(原座長)

    A.

    小さな会社で、宣伝などする余裕がないのだが、これまで3年間ほど基礎的な研究や実験を重ねてきていて、今年から目に見える形で航空機も出来上がって来年の4月にはお披露目できるかと思う。ぜひ遠隔医療や島の方の不便を解消するということに活用していきたいと思っている。(小野氏)


  • 7.「香川における危機管理体制の状況と展望」

    香川大学 四国危機管理教育・研究・地域連携推進機構 副機構長 副学長(産官学連携・特命担当) 特任教授 白木渡氏より、「香川における危機管理体制の状況と展望」についての発表があった。

    【質疑応答】
    Q.

    ドローンの話で小野社長には「医療で」とお願いしたが、本来は危機管理として、例えば輸血や輸液など、大急ぎで運ばなければいけない時があると思うが、危機管理の勉強会でぜひ香川のドローンをアピールしていただければ。(原座長)

    A.

    我々もドローンについては注目している。危機管理の立場からすると、災害の状況を早く把握して効果的な対策を取るということが求められている。(白木氏)



  • 8.「2眼顕微鏡カメラ映像高画質リアルタイム3D表示Heads-up Surgery等
    最新3D技術に関して」

    FAシステムエンジニアリング株式会社 代表取締役 中村 康則氏より、「2眼顕微鏡カメラ映像高画質リアルタイム3D表示Heads-up Surgery等最新3D技術に関して」について発表があった。

    【質疑応答】
    Q.

    3Dになったことによって情報量が増えるわけだが、情報量が増えることに関して、画像情報の取り扱いについて原先生からのコメントをお願いしたい。(大家副座長)

    Q.

    おそらく皆さんが一番関心があるのは2Dから3Dのカメラになったその理屈と、円偏光と従来の縦横の偏光の違いについて、そのあたり簡単にご説明いただけるだろうか。(原座長)

    A.

    裸眼に関しては弊社で特許を5つほど取得しており、今国際特許もということで進めている。メガネは単眼しかない。人間の目は必ず立体で見ている、これは二眼だから見ているわけで、ここが難しいが、乱視があったり、斜視があったり、視力が違うということは見え方が違う。右目、左目、2つあることで立体に見える。一つでは立体に見えない。3Dの映像を片目で見ると見えないが、両目を開けてみると立体になって見える。これは個人差があって、みんな見え方が違う。R (右目)分しかないので、科学的にL (左目)分をソフトウェアで作る。ここに全く同期したRとLとSを2枚重ねても立体には見えない。ここにちょっとした視差をつける。視差をつければつけるほど立体の奥行は大きく出る。小さければ小さいほど、立体は小さい。ということで、RとLをソフトウェア的に、画像処理的に作って、立体映像を単眼から3Dに変換している。それが先ほどご説明した装置になる。(中村氏)

    Q.

    2次元の情報しかないところから、立体の情報、つまり奥行の情報を作り出すということ、情報がないところから情報が出てくるということに関して何か特殊なことをしているのか。(大家副座長)

    A.

    人間の目というのは、明るい情報の方を早くキャッチする。その明暗の要素で奥行、depthをとっているという理論がある。(中村氏)

    Q.

    右と左を見たら角度が違うということを視差や、単にずらすということではなく、大きさを変えるという考え方もあるだろうか。(原座長)

    A.

    視差だけでは取れないので、その中に明暗の情報量を時間差で入れる。また、本物のステレオでした方が奥行は10倍大きい。その奥行分だけ目にストレスがくる。(中村氏)


  • 9.「介護現場での気づき暗黙知を集める構造化知識データベース」

    国立研究開発法人産業技術総合研究所 人工知能研究センター サービスインテリジェンス研究チーム長 西村 拓一氏より、「介護現場での気づき暗黙知を集める構造化知識データベース」について発表があった。

    【質疑応答】
    Q.

    こういった構造化マニュアルを作るのにどれくらいのデータを分析されたのか、お聞かせいただきたい。(アスクレップ細野氏)

    A.

    介護の現場は教科書みたいなものが既にあるので、3〜4冊の教科書とあと介護現場をいくつか回ったこと、あと我々のチームで介護の現場で5年間、施設長をしていたスタッフがいるので、監修して共通の知識として作成した。これはなぜ作ったかというと、この通りにやりなさいというわけではなく、あくまでも元ネタというか、いきなり最初から知識を作りましょうと言っても難しいので、参考として作った。これを基に色々な事業者さんの知識を作るのをお手伝いしているが、このようなデータがたくさん集まってくると、全国共通、80%の事業者さんはこういうやり方をやっているよとか、グループホームはこう、老健はこうという風に見えてくる。また、こんなリスクを心配している、こんな装置を作 るといいのではと現場の状況が手に取るように分かってくるのではないかと考えている。時間としては3か月くらいかけて、かなり労力はかかっている。これを人工知能で自動的に作れるようにと今画策しているところ。(西村氏)

    Q.

    大変な努力を積み重ねていると思うが、これは介護をする方の意見や学習だけだろうか。介護される側の要望というのは入らないのだろうか。(白木氏)

    A.

    現在は介助者が何かをする時に、どうすれば良い介助になるのかというデータであり、それを知識として作ったものになる。これ以外にどういう風に介助をされたいのかといった利用者の希望を含めたケアプランが個別に完全にある。これは個別の情報というよりも、事業者さんの中では皆さんこれを標準としてやっていきましょうといった共通のものになる。利用者一人一人の要望をしっかり聞いたケアプランはこれとは別途にあり、それとこの知識がリンクされているという形になる。(西村氏)

    Q.

    もう一つ要望だが、危機管理的に言うと、トラブルがリアルタイムであった時に現場で様々なことが起こった際の対処能力と次に起こる予見と、そのためのモニタリングといった、レジリエントな対応ができてくるとなお良いのではないか。学習能力はあったとしても、予見とモニタリングなどの状況を見た時に、マニュアル的にやると固定されてしまうので、対応能力がこれで獲得できたら素晴らしいと思う。(白木氏)

    A.

    応用力が身につくようにはなっているのだが、おっしゃる方向までにはまだ対応できていない。災害の時についてはまだ作ったことはない。ぜひご指導いただければ。(西村氏)

    Q.

    一番の問題は対応する人が少ないということ。夜、介護する人が少ない時、色々としなくてはいけないので、ルールを決めていてもなかなか難しいこともあるかもしれない。

    A.

    訓練などで、応用力や対応力をいかに学べるようにできるかどうか、今後検討していきたいと思う。(西村氏)

4.閉会

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