
【日時】平成28年7月21日(木)13:00〜17:30
【場所】産業技術総合研究所 臨海副都心センター 別館11F第1会議室
【出席】40名
大家副座長より挨拶。
原座長より挨拶。
香川大学瀬戸内圏研究センター 特任教授 原 量宏氏より「G7香川・高松情報通信大臣会合
開催記念 K-MIX+利活用推進フェアを開催して」および「診療報酬改定に関する話題提供」に
ついての発表があった。
NPO法人医療福祉クラウド協会 事務局 戸倉 一氏より「医療福祉クラウドとPHRシステム によるデータ連携」についての発表があった。
MeWCAでの勉強会で、実際のデータのやり取りのテストは行われているのか。(原座長)
今のところはまだ大々的にはやっていないが、新潟県長岡市と連携して一部お薬手帳等を行っている。(戸倉氏)
香川県は始めからなるべく標準的な方法が良いとやってきたのだが、そうでないグループとテスト的にでも行うことができればと思う。ぜひ連携をお願いしたい。(原座長)
ぜひやらせていただきたい。(戸倉氏)
個人のヘルスケア関係、例えば歩数計等になってくるとどんな情報が入ってくるか分から ない。そういった場合、プラットフォームの汎用性というのはどのように考えたらよいの だろうか。(大家副座長)
プラットフォームは今までのリリースのデータベースだとテーブルというのがあるので、 入るデータが決まってくる。新しいものが入ってきた時にデータベース化できないのだが、 今ここで提案しているのは、マルチバリューデータベースというものを考えており、そち らには色々なデータの形式でも入れることができ、例えば画像等もデータベースとしてデ ータを入れることができるので柔軟に取り込んでいこうという形で動いている。(戸倉氏)
データの検索に時間がかかったりすると思うのだが問題点はないのだろうか。(大家副座長)
弊社では数十万件のデータから、パターンマッチするデータをリアルタイムで選び出す業 務アプリ開発実績のノウハウを元に、改良・改善して行く。(戸倉氏)
情報と情報を繋ぐと観点から言うと変換はこちらでやるからとにかく繋いていきましょう というのがコンセプトになるのだろうか。(大家副座長)
その通り。もちろん原先生がされているように標準化されているデータはそのまま入れて いただければよいし、それも一つのパターンとして対応できるようにしたい。(戸倉氏)
電子カルテに対応できないような個人開業医等、環境の違いによってそれぞれのビジネス モデルや考え方の違いをご紹介いただきたい。(大家副座長)
そのあたりは法律的な問題点もあるが、このクラウド自体をセキュアな形で認定していた だくことによって、医療情報を扱っていても構わないような形で対応している。もちろん データの暗号化等、匿名化は十分した上での話になる。今回も公募があったようにPHRが 国でもだいぶ動いているので、それをやっていけるためのクラウドの基盤をこちらで提供 させていただければと考えている。(戸倉氏)
今、産総研ではヘルスケアの中でも非医療の分野で、ヘルスケアの効果というものを消費 者の方々に示していきたいと思っている。その時になかなか効果を示すということが難し い状況がある中で、パーソナルヘルスレコードを有効に活用することによって、そういっ た効果をこれまでのRcpに代わる何か新しい方法のためにそういったデータが使えるよ うになるといいなと思い進展を期待している。(産総研 三宅氏)
血圧など毎日家庭で測るデータの方が、月に一回病院で測るデータよりも有用だったという話は原先生もよくされているが、そういうことを考えれば、そういったデータも役に立つのではないかと考えている。(戸倉氏)
特に病院の外でのデータを管理する場合にどういった対応をされているのかお聞かせいただきたい。(大家副座長)
病院の中ではICTの組織があり、そこでマニュアル化されており、感染が広がりかけた時にどういった対策を行うか決まっているのだが、地域に広げる時には機関同士の連携が必要になってくるため、ルール作りが大切になってくる。規模の違う医療機関、あるいは施設同士で同じ考え方に基づいたルールを作りながら運用していくというところが、活用のひとつのポイントかと思う。病院の中でのルールは作るのだが、それを運用するところがなかなか形骸化しがちである。ルールと運用のバランス、地域に広げた時の運用方法、そこが一つの考え方かと思う。(有野氏)
香川県では一つのシステムで動いていると原先生がお話しされたが、あるエリアが統一的な形で持っていきやすいということになるのだろうか。(大家副座長)
どうしても色々な立場の方が広がってくると、色々な意見が出てくるので、一つの方向性で運用していくというのがよいが、実際やっていくと非常に難しさもあるので、そのあたりがポイントになると考えている。(有野氏)
K-MIX、K-MIX+という話が出たが、逆にK-MIX+から見た時の考え方というのはどうか、原先生のご意見をお聞かせいただきたい。(大家副座長)
院内の感染対策システムは、だいたい大きい病院では委員会までできているが、感染についても接触して感染するのか、あるいは間接的な飛沫感染なのか、感染の仕方が違う。細菌が特定された場合にMRSAという菌が、院内か院外からきたものなのか、感染症の種類によって分析の仕方が違う。いわゆる飛沫感染、空気感染といったものの方が地域全体ではあり得る可能性がある。また、今すでに医療機関に入っているシステムもあり、企業によって多少違いはあるが、病名を合わせることはできると思うが。(原座長)
今の院内感染システムは、コントロールしている対象は耐性菌であり、今回の提案は菌ではなくイジェクションの方なので、そこのコントロールの仕方はもちろん考えていく必要があり、それぞれのノウハウが活用できると考えている。(有野氏)
ワクチン登録システムは特に小児科領域で使われているが、これが重なっていくともっともっと素晴らしいシステムになると思う。糖尿病の方は感染しやすいので、糖尿病のマッピングシステムなど様々なシステムを重ねていくということが重要。ぜひテスト的 にでも香川で実施していただきたい。清元先生どうお考えだろうか。(原座長)
医者がこういうことを知った上で患者さんに接していくのが非常に良いと思った。一番最初に感染の予防をオーストリアで行ったのは産婦人科の領域で、分娩後の産褥熱等、医者が関与している部分が多かった。逆にこういう情報をフィードバックすることで先手を打つと。特に老人ホームのような場所において、冬はロタウィルスによる院内感染が非常に問題になっている。流行の状況を早めに教えていくというのは大変大事なことだと思う。ぜひ良い実証をやっていただきたい。(清元氏)
パナソニック ヘルスケア株式会社 メディコム事業部 主席 古川 善朗氏より、「診療所用医事一体型電子カルテシステム「Medicom-HRV」と地域医療連携の取り組みのご紹介」についての発表があった。
医療におけるIoTというのは一般的に何を指すのかお聞かせいただきたい。(大家副座長)
電子カルテというと診療した内容を記録する、さらにどういったことができているかというと例えば会計的な部分では請求チェックがある。だが、IoTといった部分である意味、患者さんは色々な健康器具を持っておられる。そういった情報を自宅にいる病気の患者さんのことを先生がモニタリングできること、それがIoTを使ってその先生の電子カルテの画面に出てくれば患者さんの状態の変化に気づくことができる。色々な情報を有効に使える。場所は離れていても瞬時に確認できる、そういったところを指している。(古川氏)
ビッグデータと言った時にどのあたりまでをどの時期に使うのか。(大家副座長)
具体的なところまではないが、現在一部の医療機関等で人工知能 (AI) を使った取り組みをされているが、いわゆる診断支援、診療支援、そういったところでディープラーニングなどのAI技術を使えば先生方のお役立ちができると考えている。(古川氏)
技術的な質問になるのだが、K-MIX+の場合、あるいは他の地域医療ネットワークもそうだが、中核病院の大きな電子カルテは各自SS-MIXのゲートウェイサーバーを置くが、診療所の場合、ひとつひとつの電子カルテのシステムをそうしていくのは大変だと思う。例えば、パナソニックは地域連携用のサーバー、ゲートウェイをひとまとめにして更に地域連携システムを推進していくのか、あるいは他の考え方があるのかお聞かせいただきたい。(原座長)
現在どうしているかと言うと例えば診療所が地域医療連携に参加するとなった場合には弊社だけではなく色々な会社が参加しているので、結局、県、医師会、薬剤師さん等色々な方々に入ってもらいながら協力して作られていく。またそういったところが主体的になって動かれていて、例えば病院のIT室のような場所にサーバーをたてて利用したりして、診療所の方は、そちらの方にデータをあげるという形をとられているのが多いと思う。(古川氏)
なぜ質問したかと言うと、香川の場合K-MIXのデータセンターとVPNで接続しているが、例えばパナソニックが接続すると、受け側にパナソニック以外のSS-MIX等、他のシステムも見えるようにする、他の自治体が作ってくれればいいということだろう。さらにウェブ型のシステムを販売しているところもあるが、そういうところだともっと一気に広まると思う。パナソニックの場合、その点の方針が少し明確でないような感じがしたため質問した。(原座長)
実際に診療所のことを考えた時に、これは個人的な意見だが、例えば診療所の中に地域医療連携とつながるサーバー、あるいはパソコンでもいいが、今だと電子カルテの端末で患者さんの検査結果を見るということはできる。しかしながら、電子カルテは診療が終わったらだいたい電源を落とすので、そうすると地域医療連携網にあげるデータをどこに蓄えるのかという話になる。多くの場合は医療機関の中にもう一台、ノートパソコンであるとか一時的にゲートウェイ、ストレージ的な役割をするパソコンを置いてもらう。そこに一旦データを蓄えると。それは24時間電源が入っているが、そこから地域医療連携のサーバーにアップしていく。それぐらいの使い方であれば診療所の中でも十分、そのシステムに対するメンテナンスはできると思うが、病院のようにいわゆる24時間コンピューターのメンテできるような診療所まずない。そうすると、それに対する責任などの話が出てくると、診療所に対して負担となってくる部分があると思う。そういった事例が複数例出てくるので弊社や他社においても色々なサービスをしていかなければならないと思う。更に今の話は医療機関の中にサーバーがある形だが、ASPになったからと言って大きく変わるものではないと思う。医療機関の中から地域医療連携ネットワーク網に、例えばK-MIXなど、色々なところに繋がるところは、確かに医療機関内で回線を触らなくてよくなるので、ウェブ型、ASP型の電子カルテのクラウドとK-MIXのクラウドとつなぐと、そういったメリットは発生してくる。確かに原先生が仰るように今後はウェブ型、ASP型が進んでいくので、少しでもクリニックの先生方のコスト等の負担も軽減しながら地域医療連携で患者さんに対して質の高いサービスをしていければと思っている。(古川氏)
ユーザビリティ以外にどこかで独自性を出そうすると、独自性の部分がローカル規格になってしまったり、それが完成を阻害したりといった部分があると思うのだが、この世界ではそういったことはないのだろうか。(大家副座長)
それは心配ないと考えている。今、SS-MIXで標準化に対応していけないベンダーは淘汰されていく、そんな時代になっている。(古川氏)
そうなるとユーザビリティの部分で勝負をするということになるのだろうか。(大家副座長)
おっしゃる通り。そこで生き残りをかけていくことになる。(古川氏)
普及率が30%ということだが、ある時ぱっと普及率が上がるのではないか。(原座長)
1999年に電子カルテが出始めて、数年後厚労省が6割以上に普及(保健医療分野の情報化にむけてのグランドデザイン)という目標を示した。一般的に電子カルテ以外でも16%を越えると一気に広がりを見せると言われているので期待していたのだが結構時間がかかっている。原先生がご紹介されたように今回4月の改正で点数がついたり、国の方も非常に力を入れてきている。そういったところを含め、普及が加速することを期待している。(古川氏)
株式会社ヘルスケアリレイションズ コンサルティンググループリーダー 本園 明史氏より、 「次世代地域医療介護連携ネットワークについて」についての発表があった。
大変有用なシステムだと思う。接続利用料は無料なのだろうか。
現在利用料をいただいている。病院、診療所、開業施設によって料金は違うがそれぞれいただいている。(本園氏)
接続利用料によって稼働が継続しているということになるのだろうか。
佐渡の場合は行政の支援なく、完全自立で運用費をまかなっている。気仙の場合、今は2 市1町からの支援をいただきながらやっている。佐渡は特殊な事例だが、今回個々の診療 所の先生方からなど、小さく集めていかなければならないので、今のところは行政の支援 なく5年後とかを計画するのはなかなか難しい状況。 他地域への展開というお話しもしたが、気仙沼の患者さんやあるいは内陸部(盛岡、一関) への拡張も考えている。拡張すると参加施設が当然増えてくるため、利用料の収入が増え る。少なくともずっと2市1町に頼って運用していくような計画はない。(本園氏)
レセプトデータはどれくらい使えているのか。抜いているデータは?
病名、処方、処置、注射、要はお金に関わらないところ。医科、歯科、薬局もデータは入っていれば一通り抜いてくることになっている。気仙は4月に稼働したばかりなので、活 用状況というのは今調査中だが、佐渡は2012年稼働なので、そちらを見てみると、レセ病名であっても使われる。レセ病名は使い物にならないという声もあるが、先生が見れば、他の処方とか検査等の情報と総合的に、あ〜これはレセ病名だなと判断できると伺っている。佐渡のプロジェクトをリーディングしていただいた佐渡総合病院の佐藤先生は、今では紹介状だけでは不安になると。要は過去1年、過去3年等、他の診療所でどんな病名をもらってきたのか、どんな処方をされているのか、どのような検査結果だったのか、アレルギーの有無等、そういった情報を事前チェックするような目的で使われている。逆に、検索して患者さんがヒットしないと不安になるというようなことをおっしゃられていた。(本園氏)
医療機関としては受けるメリットが大きいということだが、自治体としてはこのシステム によるメリットはあまりないのだろうか。(大家副座長)
重複処方が見つかっただとか、こんな既往歴があったのか等、そういったデータは集まる のだが、行政側はそのような情報であると予算申請をしにくいといったところで、定量的 なデータが求められている。例えば、医療費の推移であるとか、その中の薬の占める割合、 ジェネリックに換えられた割合など、色々な定量的なデータを集めている途中である。た だ、医療費、介護保険の費用というのは他の要素が非常に多く、大きいのでなかなか相関 関係というのは今のところは難しい状態だが、将来的には行政がユーザーになっていただ く、そうすれば行政としてもただ単に費用負担というわけではなく、ユーザーの一人とし て利用料を支払っていただくと。そのためにはどういったものを行政に提供していけばい いのかといったところを詰めている段階。(本園氏)
患者さんがプラスアルファ支払ってもいいという現状なのだろうか。(大家副座長)
例えば患者さんに一日10円でも負担いただければ大変運営が楽になる。ただ、そうなる と集金の方法等、逆に色々とコストがかかってしまう。そういった面から、患者さんから集金する方法は確立されていないが、患者さんにどういったところでメリットを感じて いただけているかというと、例えば救急搬送で意識がない時にも既往歴等を見てもらえる ことができる。そういった安心感があると考えている。先ほど、周産期のいーはとーぶの 話をしたが、あちらは生まれるまでのシステム、生まれた後の経過フォローについてもお 母さん方にとっては自分の子供のことなので非常に関心が高く参加率も高い。そのような メリットを追求していきたいと考えている。(本園氏)
このシステムの企業体はどなたが中心となって事業を行っているのかということと、この 医療システムによって具体的に誰がメリットを受けているのか、何を主体として運営され ているのかお聞かせいただきたい。(榑松氏)
最初の質問について、運営主体は一般社団法人を作っており、地域の医師会長、県立病院院長、医科、歯科、介護、それぞれの代表者といった方々が理事となって協議会を立ち上げ、そちらが運営主体となって進めている。2番目の質問について、誰にどういったメリットがあるのかというところだが、正直申し上げると、施設プロモーションで先生方に説明する時に、どういった観点でメリットを言えば先生方が納得していただけるのだろうかと考えるのだが、実際にあった事例として、先ほども申し上げたが、重複処方が見つかっただとか、自分が知らないうちに他の診療所にかかっていたであるとか、医科と歯科、口腔ケアの連携ができていなかったので非常に安心で要は歯科からしてみれば、この患者さんは抗凝固剤を使われていないのか等、わざわざかかりつけ医に確認する必要がなくなる。もう一つ大きな点としてはコミュニケーション効果が高かったことが挙げられる。具体的に、介護から見て、医療は心理的にもハードルが高く、問い合わせもしづらいといったような面がある。そういった部分をこのシステムで問い合わせをすることによって医療と介護間のハードルが下がってきた。診療所の先生も、これまで日に何回かは介護従事者の方 から問い合わせがあったものが1件もなくなったりといった実際のメリットを伺っている。ただ、このシステムを入れたから経営的に良くなったといったところはまだまだ予測ができていない。佐渡や気仙は医療崩壊の危機にある地域であるので、先生方にはお金の面だけではなく、地域の医療を守る、という観点で検討いただきたいと説明申し上げている。(本園氏)
協議会が強いリーダーシップを取っているというのが圏域住民の約8%という同意書取得数につながっているのだろうか。
佐渡も気仙も共通しているのは、強いリーダーシップを持ち、目的意識の高い先生がい らっしゃること、その点が大前提になると思う。(本園氏)
患者さんから同意書を取得するにあたりこの地域だからこそできるという点はあるのか。
単一のやり方でうまく取得できるということはないが、佐渡の場合は佐渡総合病院が中心になって取っていただいている。気仙の場合は、パートを雇って一定期間まわしてもらうだとか、あるいは行政を巻き込んで、各役所の前にパンフレットを置いてもらったり、また、医療側ではなく、介護の方から同意書を取得するといった場合もある。医療側だと忙しい診療の合間にシステムの説明をして先生が患者さんから同意書をもらうというのは非常に難しいと考えている。介護を利用する場合、最初に誓約書等書かれると思うが、そのタイミングで一緒にサインしていただくといった方法や行政が協力していただけるのであれば公民館で介護に関する勉強会等行っており、地域地域の取り組みやイベントを調査して、システムの話をさせていただくといった地道な草の根活動をして今の数字になっている。(本園氏)
福島県立医科大学 併任研究員 山川 俊浩氏、朝日システム株式会社 ソリューションサービス部 システム開発グループ 佐藤 好幸氏 およびオムロンヘルスケア株式会社 学術渉外担当部長 鹿妻 洋之氏より、「多目的サーバとの連携によるポータブル電子カルテの在宅計測データ連携機能の追加(オムロン ヘルスケア社計測機器)」についての発表があった。
従来オムロンのシステムはオムロン内のサーバーから外にデータを出さないと長い間言われていて、G7サミットで展示するからとお願いをしたところ、最近ようやくデータを出すことができるようになった。なぜそれが重要かと言うと医療と介護の連携では在宅の患者さん、あるいは特別養護老人ホームの患者さん方のデータを医療機関でチェックできる、それが一番重要なポイントである。在宅での心拍数や脈拍、不整脈の間合い等のデータを随時チェックできる体制が整うと大変役立つ。それをK-MIXのフィールドでやっていただけたということに感謝している。今日発表していただいている他のメーカーの方で自分たちもこのシステムを使わせてほしいという場合が出てくると思う。ぜひ多目的サーバーをどんどん使っていただけたらと考えている。(原座長)
BHNテレコム支援協議会 理事 榑松 八平氏より、「日本遠隔医療学会国際交流委員会の活動について」の発表があった。
日本医療研究開発機構バイオバンク事業部 調査役 清元 秀泰氏より、「日本医療研究開発機構におけるバイオバンク事業と今後のゲノム研究の展望」についての発表があった。
バンクの血液に分娩時の臍帯血などもかなり割合が多いのだろうか。(原座長)
ナチス時代にオランダが封鎖され、妊婦さんが400〜800?の栄養しかとれず非常に低出生児が生まれてきた。その方が40歳くらいになると心筋梗塞になって亡くなっていったということがあった。DOHaD仮説、Barker仮説と呼ばれている。東北メディカルメガバンクでは被災地を中心に3世代、7万人のデータを集めており、現在、妊婦さん2万人のリクルートが終了している。その方々の胎児の臍帯血を全て集めており、ゲノム解析の準備ができている。祖父、祖母からの病気がどのように世代を越えて、病気のなりやすさに移ってくるのか、仮に60歳にお父さんが脳卒中になる家系、非常に強い遺伝子が見つかった場合には、お子さん、お孫さんに予防方法だったり、早期介入できるようなシステムでこの7万人がエピジェネティックも含めて検討対象として登録されている。こういったものについては東北と岩手だけでは到底無理である。多くの幅広い公募研究として研究者を募ると。質の良い研究についてはAMEDで資金のバックアップを行うという仕組みになっている。(清元氏)
国立研究開発法人 産業技術総合研究所 人間情報研究部門 デジタルヒューマン研究グループ 研究員 中嶋 香奈子氏より、「健康管理のための歩行・足部機能定量評価に関する研究とその応用」についての発表があった。
500例の歩き方をデータベース化されているということだが、疾患をお持ちの方のデータはどれくらいあるのだろうか。
歩行データベースに関しては、産総研のラボに来ることができる方が限定になっており、詳細なデータを取るのにも2〜3時間くらいをかけて計測をしている。一度着衣を着替えていただいて全身に57個のマーカーを取り付けて、何往復も歩いていただいてという負担を考えると、やはり元気な方を対象に基本的なデータを取るのというのが我々のミッションだと思っており、400名のデータを集めているが、もちろん疾患の計測や、何か特徴づけるということに関して我々も関心を持っている。そのための簡易センサーから深いところに落とし込んでいく、またその関係性というのも興味があり、整形外科の医師の方たちから意見を聞くことによってこれから連携を進めていこうという話も出ている。非常にその 点は大事だと考えている。(中嶋氏)
子供の生活習慣、成長の環境で裸足でいることも少なくなっている。これからデータベースを蓄えていただき、20年後、30年後の健康管理を公開していただければと思う。
子供の足部に関しては靴の影響も関連していると言われているので、様々な観点からこれからの分析を進めていきたいと考えている。(中嶋氏)
個人的な経験からだが、整形外科の先生によると、お腹に力を入れて歩くことが大切だと教えられた。そうすると自然に腰がまっすぐになって、つま先が上がり、つまづく頻度が大変減った。高齢者の転倒防止には歩き方のコツと腰の曲がり具合がリンクしているのではないかと思う。(榑松氏)
高齢者の転倒の要因に関しては3つあると報告されており、それは歩行機能とバランス機能、下肢筋力であるとされているが、なかなかブラックボックスの部分が多く、人の動きというのは全身運動で様々な要素を含んでいる。お腹に力を入れて、どこの筋肉を使うかということも関係していると考えられ、またそれが日常生活の中でどのように変化しているのかということも重要。そのような観点からも引き続き研究を進めていきたいと考えている。(中嶋氏)
歩行距離は何mくらいなのだろうか。もし少し長い距離を計測できるのだとすると、人間 ドックなどで歩行計測をオプションとするといった形をとることで実験データが集まるの では。今そういう試みはされていらっしゃるのだろうか。(清元氏)
通常、研究室では約10mの歩行計測を行っている。違うチームでは実際に市区町村との連携で健康診断の中にオプションとしてすでに加速度センサーの装置を使って簡易的に歩行機能診断を行っていると聞いている。我々としては診断の段階ではまだ見込んでいないところなので、大変面白いアイディアだと思う。(中嶋氏)
国立研究開発法人 産業技術総合研究所 イノベーションコーディネータ 三宅 正人氏より「ヘルスケア・サービス効果計測コンソーシアム−その狙いと活動内容−」についての発表があった。
この取り組みは産総研だけで行っているのかお聞かせいただきたい。(清元氏)
そうではなく、新しく作ったという理解ではある。産総研 臨海副都心センターHPからコンソーシアムの詳細が掲載されているのでご興味のある方は一度のぞいていただければと思う。(三宅氏)
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