フォーラム事務局

香川大学瀬戸内圏研究センター

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お知らせ&イベント

「ヘルスケア・イノベーション・フォーラム」
第24回事例研究部会議事要旨

1.開催日時・場所

【日時】平成28年2月19日(金)13:00〜17:00
【場所】高松サンポート合同庁舎 アイホール
【出席】45名

 
2.開会
3.議事概要
(1)ご報告

大家副座長より挨拶。
原座長より挨拶。

 

(2)事例研究

 

  • 1.「在宅医療と介護の為のアラームアドバイザー支援システムの研究開発
    −直面している問題について−

    福井大学医学部 地域医療推進講座 講師 福井大学医学部附属病院 神経内科
    山村 修氏より、「在宅医療と介護の為のアラームアドバイザー支援システムの研究開発
    −直面している問題について−」の発表があった。

    【質疑応答】
    Q.

    転倒の検出に苦労されているようが、カメラで撮っておいて自動的に画像解析をし、アラームを出すというような装置を作られた方が手っ取り早い気がするのだが、ご意見をお聞かせいただきたい。(上野氏)

    A.

    それが一番確実で最も良い方法だと思う。問題はプライバシーに関して利用者がどう感じられるかという一点に尽きる。実際、私はこのようなセンサーを使いたいのだが、在宅医療に携わっている方々にとっては、(画像を撮ることは)人権侵害ではないのかと常に叩かれたりすることもあるため、その問題がクリアになるのであれば、ネットワークカメラが一番魅力的だと思う。(山村氏)

    Q.

    要するに、カメラを人が見るから問題になるわけで、コンピューターで見ると。画像解析して転んだ際に警報を出すといった考えはいかがだろうか。(上野氏)

    A.

    その方法が良いと思うのだが、ニーズが皆様色々とあり、床振動のニーズもあるのかなということで考えている。(山村氏)

    Q.

    高齢者が転倒した時に加速度センサーの利用というのはよくあるのだが、それに比べてこちらもいいなと思ったのだが、そのあたりの違いというのはどういった点にあるのかお聞かせいただきたい。(原座長)

    A.

    加速度センサーが確かに最もいいデータの一つだと思うのだが、日常認知症の患者さんを見ていて、確実に着用していただけるのか、ということが一番問題だと考えている。しかも、着用させるために、そこに人がいて毎日着せるのを確認しているのではいったい何のためのウェアラブル端末かわからなくなってしまう。加速度センサーも使いながら、一緒に床振動センサーもつけるというのが一つの方法かと思う。もう一つの方法としては床振動センサーは自宅設置であるため、外出したら使えない。外で使うといった意味ではウェアラブル端末の方が非常にいいのかなと思う。ただし、認知症の方は段々外出する機会が減っていくため 家の中のセンサーが基本的に大事なのではないかと考えている。(山村氏)

    Q.

    音だけなら非常に小型のマイクロフォンをつけておけば転んだ時の音も特徴的になるのではないだろうか。(原座長)

    A.

    ウェアラブル端末としてのマイクセンサーというのは気づいていなかった。スマホにつけたりしても良いかもしれない。(山村氏)

    Q.
    人の判断を置き換える、中継業務というのが大変だということだが、その際にセンサーの信号を何らかの特徴で抽出してという部分について、単一の信号で行うのか、最近だと信号そのものを取り込んで、「それが転倒です」と正解の情報がいっぱいあるとするとその間機械学習でつなぐというAIの研究、アプローチもあるのだが、先々そういったことも取り入れていきたいというお考えはあるかお聞かせいただきたい。(大家副座長)

    A.
    そういった研究をされている方と組ませていただきたいといつも思っている。(山村氏)


  • 2.「G7香川・高松情報通信大臣会合開催記念 K-MIX+利活用推進フェアに関して

    香川大学瀬戸内圏研究センター 特任教授 原 量宏氏より、「G7香川・高松情報通信大臣会合 開催記念 K-MIX+利活用推進フェアに関して」の発表があった。

  • 3.K-MIXのクラウド化について」
    香川大学瀬戸内圏研究センター 特任教授 原 量宏氏より、「K-MIXのクラウド化について」 発表があった。

    【2.3への質疑応答】
    Q.

    研究組織的には、人の血液の情報や行動の情報等、計画書を出して倫理委員会の審査を受けなくてはならないとか、人間工学実験だと、工学実験の計画書を出して審査を受けなさいとなるわけだが、そういった手続き等に関してカウンターパートとしての香川大学の場合はどちらに相談すればよろしいのか。(大家副座長)

    A.

    内容にもよるが、基本的に臨床試験だとまず大学の倫理委員会に理解があり、現在の担当は医療情報部の横井教授なので、横井教授と相談されるのが望ましい。(原座長)


  • 4.K-MIXおよびK-MIX+と多目的サーバーとの連携について
    および地域包括ケアに向けた取り組みの最新状況のご報告 」

    富士通株式会社 ヘルスケアビジネス推進統括部 第二ヘルスケアビジネス推進部 田中宏明氏・橋 唯氏より、「K-MIXおよびK-MIX+と多目的サーバーとの連携について および地域包括ケアに向けた取り組みの最新状況のご報告」の発表があった。

    【質疑応答】
    Q.

    K-MIX+がHuman Bridgeで運用されているとおっしゃっていたが、他のベンダーの電子カルテ等も同じ形で見えると理解しており、例えばNECや他のベンダーでも独自のシステムと聞いているので説明の仕方がおかしいのではないか。(松岡氏)

    A.

    Human Bridgeというエンジンを使って香川県内の中核病院にある富士通の電子カルテだけではなくてNECさんや様々なベンダー様の電子カルテと連携して共有できる仕組みを構築させていただいている。(田中氏)

    Q.

    ということはHuman Bridgeではないということで理解してよろしいのか。全国各地でHuman BridgeやNECのID-Linkなど、色々な形でネットワークがあって、それぞれのベンダーの電子カルテの連携ができていない。そういう意味合いから考えると香川のK-MIX+の連携は、一つのシステムとして運用されていると理解している。そのため、Human Bridgeを全面に出すということはおかしいのではないかと思う。(松岡氏)

    A.

    説明の仕方が至らず申し訳ない。例えば、岡山県では弊社のHuman BridgeとNECのID-Link二つのグループがあって、おっしゃられていたように、どちらかを見なくてはいけないというところがあるが、香川県のK-MIX+においては一つのビューアーに揃えたネットワーク構築ができている。そういった意味では県内の情報共有が進んでいる地域だと認識している。(田中氏)

    Q.

    今後もそのような説明が正しいのではないかと思う。あと、もう2、3点確認したいのだが、アップロードシステムについて、SS-MIXとしてのデータを取るのではなく、その情報は全く違った形で見れるというものなのか。(松岡氏)

    A.

    現在、15の病院および構築中の小豆島中央病院、計16の医療機関はそれぞれ各病院にサーバーを置いて電子カルテの情報をオンデマンドで見ることができるような形にしているのだが、このサーバーを構築するとコストの負担がかかるため、やはり診療所や専門病院ではなかなかサーバーの投資までは難しい。そのため、共有した患者さんのデータだけをデータセンターにアップロードしていただき、共有できる仕組みをご提案したいと思っている。こういったものを使って16以外の医療機関も情報を出せるような形で・・・(田中氏)

    Q.

    その情報を出す形だが、SS-MIXでの同じ画面で同じ様に見えるような仕掛けにはならないのか。(松岡氏)

    A.

    同じ仕掛けで、同じ画面で同じ様に見える。アップローダーで上げた所もゲートウェイサーバーを入れている所も同じ様に見えるようになる。(田中氏)

    Q.

    ということは原先生がおっしゃった医薬連携の際にも情報として取れるということで理解してよろしいのか。(松岡氏)

    A.

    そういった形でもお役立ちいただけると考えている。(田中氏)

    Q.

    医薬連携、介護連携にしてもそうだが、K-MIX+で見ることができる画面はあくまでも医療機関だけのネットワークによるものしか見えないが、連携をすることによって患者情報や個人情報、調剤薬局の情報等も画面上で見ることができるようにするのは可能なのか。(松岡氏)

    A.

    そのように拡張することも可能だと考えている。(田中氏)

    Q.

    香川ではどこのベンダーも関係なく全部が同じビューアーで見ることができるようにするということ、日本全体の富士通の営業の方たちは香川大学の横井先生や皆様がご苦労されたことをご存知なく、Human Bridgeですと言うようなところがあるので、その点については香川のグループからすると不満に感じるところである。ぜひご理解いただきたい。(原座長)

    Q.

    この後ご講演がある日本光電さんの方で、こういった医療用のK-MIX+、今後多目的サーバーを介して機能が拡張されることが考えられているが、こうあってほしいというご意見があれば一言いただきたい。(大家副座長)

    A.

    まず、検査データの出力という観点で申し上げると、SS-MIXの拡張ストレージへの出力というところは実装させていただくということで現在製品としても提供させていただいている。その上で、おそらく今後になると、本日「SUKOYAKA」という製品の発表をするが、そういった検査以外の在宅等のジャンルについてはこれから挑戦させていただき、検討していきたい。(日本光電 鈴木氏)


  • 5.「 多目的サーバーとの連携によるポータブル電子カルテの
    検査データ連携機能の追加」

    福島県立医科大学 事務局研究推進課 ふくしま医療-産業連携推進室 山川 俊浩氏・朝日システム株式会社 ソリューションサービス部 佐藤 好幸氏より、「多目的サーバーとの連携によるポータブル電子カルテの検査データ連携機能の追加」についての発表があった。

    【質疑応答】
    Q.

    使う立場からするとダウンロードという操作をする作業がワンステップ余分なような気がするのだが、そのあたりはユーザー画面上マスクして、あたかも通常の一つのデータを扱うというように持っていくのは難しいのだろうか。(大家副座長)

    A.

    発想的なところで、施設の患者さんの情報一覧が取得できる形であれば、そういったことも可能だと思う。現状でそこまで作りこんではいないため、今はこのような形でデータを取るようになっている。(佐藤氏)

    Q.

    項目としては通常のSS-MIXの中に入っている項目となっていると思うが、最近、日本光電さんの新たなサービスやオムロンさんもそうだが、項目の範疇に入らないものというのがどんどん出てきている中で、その部分をどのように対応していくのか、拡張性についてお考えをお聞かせいただきたい。(大家副座長)

    A.

    SS-MIXの拡張ストレージにデータが置かれたものに関しても対応は可能になる。拡張ストレージのデータは元々HL7で定義のないコードとなるので、お互いの認識上、SS-MIXのサーバー上で、「このコードだった場合はこのデータになりますよ」というお互いの定義があり、そちらの情報が入ることによって定義は可能となるため、いつでもデータを見ることはでき、逆にテストでは既に行っているのだが、心電図の結果等はタブレット上に表示することが可能である。(佐藤氏)

    A.

    データの形式が共通的に標準化が決まっていないとなると、拡張ストレージには入るが表示するにはそこのやり取りをどうするのか決める必要が出てくる。それ以外は可能。(山川氏)

    Q.

    本日の福井大学、山村先生の講演のような、音のデータ、あるいは最近だとメンタル面の話で精神状態というのは眠りに反映されるということで、眠りの情報等も例えばセンサーで使いたいといった場合にどのように拡張していくのかお聞かせいただきたい。(大家副座長)

    A.

    普通の音声の標準のやり方があると思うので、例えば拡張サーバーに送ってもらっていただければ当然こちらの方でタブレット用でもアプリケーションはあるので、音を聴くというのは可能になると思う。(山川氏)

    A.

    介護系のシステムは全国で色々な企業が作っているが、やはりそこに携わっているSEの方や、特に看護師さん等、多職種の方々と相談して作っているのが多いために、我々が長年作ってきた医療系のシステムの連携がなかなかうまくいっていない。まずはこのHCIFに参加していただいている積極的なグループで両方のデータが連携できるというのをお見せすることによって、他の介護系の企業の方々もやらなくてはいけないのではと思うようになると思う。福島県立医科大学と香川大学はハワイすばる天文台の研究者の方々の健康管理をしているが、そこでも血圧や心電図等のデータを送れるシステムについて、スマートフォンを使って簡単に送れるシステムの方が良いので、今回オムロン社とも連携してということを考えている。(原座長)

    A.

    このHCIFという集まりは元々医療の情報から出発して健康の方に拡張していきましょうと。元々の医療系の標準というのは全く考えずに標準という議論をしている。一つの動きとしては産業界の集まりの中でヘルスケアの情報をいかに取っていくか、標準化していくかという議論があるので、そういった部分とうまく突き合せて連携していくというのが必要になってくると考える。(大家副座長)

    A.

    一点付け加えさせていただくと、医療系の標準化はどうしてもHL7、画像などを併せて大きな括りではSS-MIX、治験関係ではCDISCという標準フォーマット、形式があって、医療関係者と薬剤関係者と全然違う風に作ってきてしまったのだが、中を見るとほとんど同じ内容。それをいかに一致させるかということでHL7とCDISC、あるいはSS-MIXとCDISCの連携ということが非常に重要なテーマになってきている。厚労省が研究班を作って、香川大学 横井先生が役割を果たしている。そういった意味でも香川は世界でのHL7とCDISCの事務局的な役割を担っている。いかに標準化が大事かということを日本CRO協会、渡辺氏より一言お願いしたい。(原座長)

    A.

    日本HL7協会ではずっとCDISCの検討をしており、CDISCというのは日本だけの規格ではなく、グローバルで今、薬に関して標準化している。元々はHL7とCDISCは一応連携はしているということになっている。確か、HL7の枠組みの中にCDISCが入っていると思う。当初から意識はされているので、今後検討課題になっていくと理解している。(日本CRO協会 渡辺氏)


  • 6.「在宅データ収集における課題と多目的サーバー連携の方向性について」

    オムロンヘルスケア株式会社 学術渉外担当部長 鹿妻 洋之氏より、「在宅データ収集におけ る課題と多目的サーバー連携の方向性について」の発表があった。

    【質疑応答】
    Q.

    私共日本CRO協会では臨床試験をやっており、治験の分野ではデータが欲しいというニーズが大変高く、欧米だとかなりこのようなことをされていると聞くのだが、オムロン社では治験への応用といった引き合いなどはあるのだろうか。(渡辺氏)

    A.

    記録しないというのが一番問題になったため、初期にあったのは個人ではメモリーが消せないので本体を持って来てもらうということはあった。本体を持ってこない方には、血圧計の中に実は携帯のモジュールが入っていて、計った瞬間にサーバーに送信されるシステムを組んだ。このシステムは製薬企業にとても喜ばれた。本人認証をどう組み合わせていくかということ が今後の課題になってくると思われる。(鹿妻氏)

    Q.

    それでは、そういうアプローチそのものがあったということになるのか。(渡辺氏)

    A.

    治験で活用されている事例はある。皆さん色々考えていると思う。データ自身の信用性をどこまで高めていくかということを議論していく必要があり、先生方が後で解釈に困られるのはなるべく最小にしたい。少なくとも疑われないデータを出すというのがメーカーサイドの責務として進めていければと考えている。(鹿妻氏)

    Q.

    JSONの話が出たが、これがデータベースという形からすると検索の速度、汎用性が構造化するのかしないのか、本体のデータ以外にも議論があってなかなか統一されないが、方向としてはJSONということなのだろうか。(大家副座長)

    A.

    研究会の中での話であるが、実は資料ではXML形式を用いてはとの記載があった。情報システムベンダーではなく、機器ベンダーにこれを本気で求めると誰も手を挙げない可能性があるという意見が出た。ただ、CSV形式はCSV形式で怖いと思う。となると、あとはビッグデータ系、元々PHRでビッグデータ解析を前提に組まれているケースが多いので、落とし所がJSONになるのではないかという声は複数の会社から出ている。(鹿妻氏)

    Q.

    産総研からこれまでの発表でも、四国八十八カ所巡りで心と体の健康を計測することができるという話があったが、オムロン社で例えば八十八か所巡りの方たちを対象にソフトを考えて、お遍路さん方がだんだん健康になっていくということを、既に考えているかもしれないが色々なパラメータを組み合わせて、様々な動きの中で考えていただければと思う。(原座長)

    A.

    関連する情報を考えると、購買情報なども含まれてくるため、どこまでの情報を対象とするかというところが悩みどころではある。デバイスとしては活動量計の一部には気圧センサーが入っているので、階段をどれくらい上がったかという間接指標でお示しすることはある。実は活動量計はあれだけ数があるが、JIS規格はない。歩数計はJISがあるが、1993年から全く更新されていない。ということは何を計っているかわからない、着ける場所によっては全くあてにならないデータが発生することも十分ありうる。弊社だけ説明していってもおそらく他のメーカーさんの方が評価基準を合わせていただけないと思うので、まずはデータのルール作りを進めていければと考えている。(鹿妻氏)

    Q.

    精度の話の時に、それこそ目的によって精度どこまでを高めるのか、必ず議論があるが、例えばそれを医療目的に使う、医療機器だとすると常識的な精度はこれくらいでしょうという先入観がまずあったりする。特にヘルスケアに関して言うと、どちらかというと何歩歩いたかというよりも、どのくらいやる気になって前向きに歩くようになったかという方が重要だったりする。情報の絶対性というよりもいかに簡単に取れるかということに重点が置かれると思うのだが、オムロン社としては生活習慣と、健康増進という2つの議論に参加されているが、その中のお話しをもう少し詳しくお聞かせいただけないか。(大家副座長)

    A.

    個人的にいつも思っていることは、値の正確さよりも、持って行くことを忘れない活動量計の方が売れると考えている。だいたい持って行くのを忘れられるか、不幸なことに洗濯機の中で発見されることがある。このようなことを防ぐために、別の形で計れないかと考えた時に靴というモデルをされている別のメーカーもある。まず、値よりもデータの欠損が減る方を選ぶべきか、精度を選ぶべきかと言った場合に、弊社のスタートが血圧計など医療的な精度のものを家庭に持ち込むという発想から進めているので、精度側の方を追いたいという思いがある。(鹿妻氏)

    Q.

    オムロン社の場合は以前から活動量計、特に血圧計は圧倒的に世界シェアを持たれているが、段々都市の機能が発達してくると人の移動というものを環境の方で計っていく、そういった場合、持ち忘れということがなくなる。例えば1階から3階まで階段を通過して上がったとすると、その人の元々の体重がわかるとカロリーがわかりますといった形の環境型のセンサーというものが増えていく可能性があると思うが、その点に関して中での議論は行われているのだろうか。(大家副座長)

    A.

    私が参加しているJEITA(一般社団法人 電子情報技術産業協会)の中で、ヘルスケアITイノベーション研究会を作っており、在宅予防データや見守りの話をしている。必ずテーマで出てくるのが環境センサーとの組み合わせについて。その中では警備会社等も特例で入ってこられて意見を言われるのだが、皆さんおっしゃるのは誤報でもいいから通報してもらわなくてはならないということ。その時にアラートで出す条件をどうするかという話があった。しかし、各社その中で検出するノウハウだけは絶対に言ってくれない。それが悩みの種なのだが、絶対にしてはいけないことだけは教えてくれる。それを見ながら議論をクローズで行っている段階。(鹿妻氏)

    Q.

    現在、高血圧学会では医療機関へ行って血圧計で計るよりも、家庭で計る値の方が信頼できるということでかつてと逆転してきている。また、医師や看護師のイメージとして昔は水銀血圧計があったが、今は国が水銀血圧計は日本中から全部引き上げるということを大きなテーマにしている。体温計も水銀はだめとなっている。オムロン社にとっては大変なチャンスであると思う。だからこそ医療系のシステムと連携できるということをお話ししてくださいとお願いした。あと、八十八か所巡りで特に今年はうるう年であり、逆打ちでお遍路さんが多く香川に集まってくるので、ぜひチャンスを生かしていただきたい。(原座長)

    Q.

    かかりつけ医から自宅で血圧を毎日計りなさいと言われ、毎日計っている。以前は病院で計ってくれていたのだが、最近は自宅で計ったメモを持って行けば、こちらの方が正しいとかかりつけ医に言われる。ただ、計る時に毎回値が違ってくる。日によっても、計る度に違う。そのため、たまには血圧計を病院へ持って行って更正し、チェックしていただけたらいいなと思うのだが。(上野氏)

    A.

    まず血圧計は計量法の対象であるので、全機検査を行っている。確か3万回くらい計ってOKということが規格上あり、そこまでは保証している。実は血圧そのものは一拍一拍全部値が違う。緊張した瞬間、安定している状態、姿勢をちょっと変えただけでも変わってくるため、そこを完全にコントロールして計測できない状態の中で言うと、ある程度幅が出ることは実は臨床的にもやむを得ないと先生方はおっしゃっている。問題は、病院に行った時だけ低いが、家で計ると血圧がすごく高いと言う方で、夜寝ている時、特に明け方。サージが起きて血管が切れたり、血栓が飛んで詰まることがある。そのようなイベントを少しでも減らせないかと、我々は夜間測る市販の商品を提供しているところ。まず血圧は一拍一拍が違うという背景をご理解いただければと思うし、逆に先生方から、これだったら一拍一拍を計れるというような原理についてご指導いただけるととても面白いのかなと考えている。(鹿妻氏)


  • 7.「ひとり暮らし高齢者向けみまもりテレケアシステム「SUKOYAKA」

    日本光電工業株式会社 ウェルケア事業推進部 事業推進課 リーダ 工藤 利和氏より、「ひとり暮らし高齢者向けみまもりテレケアシステム「SUKOYAKA」」についての発表があった。

    【質疑応答】
    Q.

    家庭において家族が別に住んでいる状況は確かに多くなっているが、市場はどれくらいありそうなのかお聞かせいただきたい。(大家副座長)

    A.

    ひとり暮らしの高齢者は2035年までに800万人〜900万人とも言われている。万が一をどうやって知ろうかということを子世代は心配をしている。ただ、つけようとすると親が嫌がるというのが今の環境なのかなと思うが、市場としては、確かに800万人というところを目指しており、やはりそこが最終的な目標になってくると考えている。(工藤氏)

    Q.

    初期投資として89,800円というのはどういった議論の中で出てきたのだろうか。(大家副座長)

    A.

    89,800円の内、実は2万円が設置調整と保守費用になっている。そのため、本体自体は活動量計を含めて69,800円となる。現状販売していて少し高いと感じる部分も正直ある。(工藤氏)

    Q.

    産総研として色々な研究をする中で、ユーザー側にとって、親にいくらくらいだったら買って送るかと質問をする時がある。産総研にもパロというメンタルロボットがあり、2〜30万円する。さすがに2〜30万円は高いと。4人子供がいたら4で割ってよしとすることもあるかもしれないが、一人っ子の場合、高いかなという計算をしてしまうのだが。(大家副座長)

    A.

    まさにそれを計算して、今、兄弟3人で買うパックをヤマダ電機で作ってもらっている。確かにそういった形で購入される方もいる。(工藤氏)


  • 8.「電子母子健康手帳と胎児モニターの開発

    メロディ・インターナショナル株式会社 代表取締役 尾形 優子氏より、「電子母子健康手帳 と胎児モニターの開発」について発表があった。

    【質疑応答】
    Q.

    社名が可愛らしく優しい名前だが、謂れや経営目標、理念などが関係しているのかお聞かせいただきたい。(上野氏)

    A.

    メロディという名前はこの会社をちょうど設立しようとした時に観ていたテレビドラマに出てきていた主人公の名前を取った。また、赤ちゃんの心音をお母さんが聴けたらメロディみたいに聴けるのかなということもあって社名とした。(尾形氏)

    A.

    私が医学部を卒業した際、産婦人科は一番大変だからやめた方がいいと言われる方が多かったが、その当時、胎児が元気かどうか検査する方法がなかった。私自身、電子工学が好きだったこともあり、一番始めに超音波を医療に導入したのが産婦人科である。その後、心臓のエコー等が登場した。私より先輩で東大の産婦人科に入局した方は超音波や電子回路が分からなくて眼科医になったりして辞めた方もいたが、私はこのテーマは非常に面白いなと思い、これを使って胎児の心拍を連続的にモニターできれば胎児の自律神経系が分かるということが想像できたので、世界の胎児を救うことができるだろうと考えた。前回のHCIFで発表された鹿児島大学の竹内教授に香川大学瀬戸内圏研究センターの客員教授になられたのだが、一緒に開発した、リアルタイムで胎児心拍を検出する自己相関システムが世界中の標準となり、日本は世界で一番胎児の死亡率が低くなっている。他の先進諸国は妊婦さんにずっと機械をつけるということ自体があまり人間的でないという考えがあるが、日本の成績を見せたことで世界中に普及した。それが、当時一台の装置が500万円くらい、最近は100〜150万円くらい。それを一気に尾形社長は10分の1くらいの価格で売りたいと思っているようだが。(原座長)

    A.

    価格はこれから決めていきたいと考えている。(尾形社長)


  • 9.「緊張ストレスを可視化する唾液NO代謝物計測用プロトタイプチェッカーの開発」

    国立研究開発法人 産業技術総合研究所 健康工学研究部門 総括研究主幹 脇田 慎一氏よ り、「緊張ストレスを可視化する唾液NO代謝物計測用プロトタイプチェッカーの開発」につい ての発表があった。

    【質疑応答】
    Q.

    ストレスが限界を超えた値について最近の研究動向をお聞かせいただきたい。(大家副座長)

    A.

    最近は劇的な研究進展はないと思われる。(脇田氏)

    Q.

    ストレスと言った場合に、色々な種類のストレスがあり、その種類によってご発表されたように特徴的な結果が得られるのだろう。特に自律神経系だと最近は心拍数のゆらぎ、特に私は45年ほどずっと胎児心拍のゆらぎについて取り組んでいるが、物質やゆらぎのパターンと交感神経、副交感神経の比率が最近言われている。物質との相関が非常に強いと思うが。(原座長)

    A.

    ストレス刺激には色々な種類があるが、何れも脳で感じて生体応答しているので、例えば、痛い、寒いなど物理的なストレスも精神的なストレスも同じ視床下部を介して、同じようにストレス生体応答する。それがストレス学説のユニークな点である。逆に考えれば、同一のストレス生体応答のメカニズムなので、どんなストレスも測れるということになる。もう一つの質問ですが、原先生が言われたポイントは非常に大事なところで、自律神経系を測るストレスマーカー値と心拍ゆらぎで得られるパラメータが一致するかという実証研究は、NASAや軍で精力的に研究され、たくさんデータを得ているが、民生用や大学レベルでそのような研究成果はあまり報告されていない。元々ストレスの研究は、第一次世界大戦で空中戦を終え、パイロットが地上に降りてくる際、胃の中が真っ黒に焼けることがあったので、軍事研究から始まり、NASAの宇宙飛行士、も同じ様な状況になるので、自動的に血を抜きながら心拍ゆらぎを計るなどの研究データがあるようだ。我々一般人がその報告を見ることはないため、研究報告例もあまり多くない。(脇田氏)

    Q.

    遠隔医療との関係において、最近産業医がメンタル面でちょっと落ち込んでいる方などに対して遠隔でのカンファレンスがOKになったというのが非常に大きなテーマとなっている。同じ様に精神科医が遠隔での診療という方向に向かう予定があるのだろうか。また、最近はSSRI等が非常に売れているが、一方で社会的な問題にもなっている。もっと客観的にマーカー等でしっかりと調べることが必要で、それを遠隔で測ることができればと思う。(原座長)

    A.

    おっしゃる通り、そこまでできれば非常に大きな市場が見えてくると思う。頑張りたいと考えている。ぜひご支援をお願いしたい。(脇田氏)


  • 10.「経済産業省平成27年度補正予算及び28年度予算関連事業に関する
    情報提供

    四国経済産業局 地域経済部 ヘルスケア産業室 室長 千谷 敦則氏より、「経済産業省平成27年度補正予算及び28年度予算関連事業に関する情報提供」があった。

4.閉会

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