フォーラム事務局

香川大学瀬戸内圏研究センター

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お知らせ&イベント

「ヘルスケア・イノベーション・フォーラム」
第22回事例研究部会議事要旨

1.開催日時・場所

【日時】平成27年7月16日(木)13:00〜17:00
【場所】産業技術総合研究所 臨海副都心センター 別館11F 第1会議室
【出席】40名

2.開会
3.議事概要
(1)ご報告

大家副座長より挨拶。
原座長より挨拶。

 

(2)新規参加団体の紹介

大家副座長より株式会社ティーエーネットワーキング 代表取締役 谷保 茂樹氏の紹介。
これを受けて、谷保社長より挨拶。

 

(3)事例研究

 

【電子母子健康手帳関連】

  • 1.「瀬戸内圏研究センター多目的サーバーによる電子母子健康手帳と周産期電子カルテ連携 ―多言語化に向けて―」

    香川大学瀬戸内圏研究センター 特任教授 原 量宏氏、およびインターシステムズジャパン株式会社 西日本支店 営業部 アカウントマネージャー 南部 茂樹氏より「瀬戸内圏研究センター多目的サーバーによる電子母子健康手帳と周産期電子カルテ連携 ―多言語化に向けて―」についての発表があった。
    *RSK(山陽放送)の原先生テレビ出演 放映

    【質疑応答】
    Q.

    標準化に対するご見解を教えていただきたい。(榑松氏)

    A.

    標準化がなぜ重要かということは、電子母子健康手帳標準化委員会ができて2年近くなるのだが、様々な企業からモバイルで母子手帳的なものを発表しているものの、肝心要な妊娠中の胎児の発育の状態やあるいは母体の貧血状態、疾患等、電子カルテに入るようなデータが反映されていない。しかし、そういうデータを企業が開発しているシステムに個々の電子カルテを連携していくというのは至難の業。これは介護のシステムでも同じ。(患者さんのバイタルのデータや検査情報が反映されていない。)
    日本産婦人科医会、電子母子健康手帳標準化委員会で取り組んでいるのは、数値情報や、どういった時にどういった製品のワクチンを打ったかなど、きっちり記録して、それを各企業に利用していただき、その標準的なデータベースを開発・運用していこうというのが今日の発表の一端。なかなかそのあたり、電子母子手帳と称している製品を開発している会社の人自身がいくら言っても理解してくれない。明日の読売新聞の朝刊に、そういったところを優秀な女性記者からインタビューを受け、2時間くらい話しをしたので、 頭がすっきりするような新聞を明日ぜひご覧いただきたい。(原座長)

    A.

    諸外国の話について、これは個人的に思っていることだが、単にデータの標準化だけではなく、地域連携がなぜ進まないのだろうと色々と現場を回っていて思う。例えば電子カルテを作る時にデータベースやデータの設計は標準化というよりもまず現場のSEや会社としては、どうやったら電子カルテがうまく動くようになるかということに着眼して設計をしている。医療の世界はどこでもそうだと思う。それは日本ではまだ標準化されていなかったから。諸外国はどうかというと、アメリカでも同じように電子カルテデータが60くらいあって、それをまとめたということで、事情は日本とよく似ているのだが、若干違うのは、日本よりはおそらく連携に対するインセンティブ、繋ぐことによって診療の成績を上げてコストを下げる、それは働きやすい環境になるため、ではデータを標準化しましょうというモチベーションが起きやすい。実際、IHEなど標準のデータ形式も決まっていて、それに沿って設計していくということが多い。元々医療と介護の境がなかったので、その標準的なデータのモデルがあって、連携しましょう、一つのデータを作りましょうということになっているのが日本と諸外国の事情と違う点だと個人的に感じている。(南部氏)

     

  • 2.「成人病対策における周産期データと電子母子健康手帳 ―生活習慣病胎児期発症起源説の視点から―

    早稲田大学 理工学術院理工学研究所 教授 福岡 秀興氏より「成人病対策における周産期データと電子母子健康手帳 ―生活習慣病胎児期発症起源説の視点から―」についての発表があった。

    【質疑応答】
    Q.

    先月、医療情報学会で東北大学 東北メディカル・メガバンクのスーパーコンピューターの施設を見学してきたのだが、3世代15万人のゲノム、コホート分析をしているToMMoについて、どのように評価されているか。(岸田氏)

    A.

    疾病発症機構を考える時、一つは遺伝子の変化があって、それが疾病発症に直接かかわっているという疾患感受性遺伝子が存在するという考え方、また疾患感受性遺伝子がなくても、遺伝子の機能を調節するメカニズム、いわゆるエピジェネティクスの変化により疾病が発症するという考え方、それと、二つが重なり合って疾病が発すると考える考え方がある。今、世界中で、疾病発症と遺伝子の関連を求めて、全ゲノムが大掛かりに分析されている。これをGWAS(ジーバス)と言って、色々な遺伝子が疾患発症にどう関係しているかという分析である。しかし残念ながら、多くの特殊な遺伝子と疾病発症との関係をみるとあまり高い相関性は認められていない。多数の遺伝子を総合して特殊な疾病発症との関連をみると、関連性は高くなると思われているが、特殊な遺伝子の配列のみで疾病発症機序を理解するというのは現況では難しい。そこで、まだ生み出されていない疾患感受性遺伝子がある(Missing Heritability)と考えて、それを見出すべきとして積極的な研究がなされている。しかし、残念ながら明確なMissing Heritabilityを思わせる遺伝子構造は今のところ発見されていない。もう一つ、エピゲノムという遺伝子発現調節系の変化が注目されている。それは遺伝子、ヒストンたんぱく質を三次元的に変化させて、遺伝子発現を調節する機序である。その分析・解析には、生体サンプルの採取法、抽出法、保存法、分析法が非常に難しいというのが今の現状。すなわちDNAのメチル化(CpGのメチル化)の分析、DNAの周りにあるヒストンタンパクの修飾状況やmiRNAの解析を行う必要がある。これはなかなか難しいところがある。胎生期の環境特に低栄養や過量栄養はエピジェネティクスを大きく変化させて、出生後の疾病発症に大きく関連していると考えられている。〔成人病胎児期発症起源説〕。これらを解析する目的で進んでいる東北大学の3世代ゲノムコホートに私は期待している。(福岡氏)

    Q.

    東北大学の方では福岡先生がご指摘された問題点も含めて研究しようとしている。遺伝子と疾病という関係、また母子手帳にあるような体重といったバイタルデータなどリアルなライフスタイルのデータの部分を含んで解析するところが重要と感じた。(岸田氏)

    A.

    私も全く同じ考えを持っている。(福岡氏)

    A.

    現時点で、岩手県ではほぼ全例の妊婦さんがネットワーク化された周産期電子カルテによって管理されており、日赤医療センターでは毎年3000人以上のデータ、あるいは東京医科歯科大でも情報が集積されていて、それを電子母子健康手帳にどれくらい運用するかという時に個々の病院が連結するのはなかなか難しいということで、多目的サーバーを稼働させ始める。ゆくゆくは色々な地域のデータが集まってきて(小児科も含めて)、それを分析できるような方向を考えている。せっかく先進7か国が来られるので、来年、少しでもモデル的にエピゲノムまで関係していきたいので先生にご支援をお願いしたい。(原座長)

    Q.

    低体重出生児の出生率が1980年くらいまで下がって、それからぐっと上がったということだが、なぜ1980年を境に変わったのか、その理由をお聞かせいただきたい。(南部氏)

    A.

    ひとつ言われている事に、当時ツイッギーという有名なモデルさんが来日された際に、女性の美しさというのは痩せることだというような考え方を一気に日本の女性に広めた。今、女性に痩せるということがいかに怖いことかということを言ってもほとんど聞いてもらえない。女性の「美」という意識が日本ではどんどん偏った方向に行っている印象がある。(福岡氏)

    Q.

    非常に興味のあるお話しを聞かせていただいた。出生時の低体重による生活習慣病罹患と、成人となってからの生活習慣(環境)とのバランスについてお聞かせいただきたい。(産総研)

    A.

    胎生期のエピゲノムの変化が疾病発症の原因だということは世界的にほぼ一致した考え方になりつつある。大きな研究がなされ、それを支持する結果が出ている。しかし疾病発症機序の研究に加えて、新しい研究のテーマは、ハイリスクで生まれた人たちをどうやってレスキューするかということ。2〜3、最近の知見を申し上げると、一つは小さく生まれた赤ちゃんを急激に大きく育てない。小さく生んで大きく育てるということは、体脂肪細胞を急激に増やしてしまうということが明らかとなり、生後急激には体重を増やさない事が予後をよくする。望ましい育児としては、小さく生まれた場合でも、成長チャート曲線に従い、そのチャート曲線内での体重増加の管理が大切である事がわかった。もう一つは、母乳保育である。母乳保育がハイリスクを相当下げるということがわかってきた。さらに、母乳保育の時に行われるスキンシップ、これが脳の海馬に存在するグルココルチコイド受容体のエピゲノムを相当変えるということがわかってきた。またリスクがある子どもの場合に、薬剤的なもので治療ができるかどうかにも興味がもたれている。低栄養を負荷する動物実験では、すい臓β細胞の形成を制御するPdx-2遺伝子にエピゲノム変化が生じて、β細胞の体積減少、形成抑制が生じてインスリン分泌が低下することが明らかとなった。
    しかしそのエピジェネティクス変化は、出生後よりインクレチンを投与すると、Pdx-2のエピジェネティクス変化が阻止され、β細胞の体積、数の減少が阻止されることがわかった。
    これはハイリスク群のエピジェネティクス変化がレスキューされる可能性を示す知見といえる。創薬のひとつの方向ともいえる。
    またスペインでは、小さく生まれた女児で、急激に肥満傾向が出てきている場合にはメトフォルミンを使う事が試みられている。そうすると肥満が抑制され、同時に初潮年齢の早期化が阻止される。日本では初潮年齢が早くなる傾向があるが、それはまさに小さく生まれて大きく育って肥満傾向になることから生ずる減少である。なお初潮年齢の早期化は将来糖尿病発症のリスクが高い。このスペインの治験結果は、ハイリスク群でもメトフォルミン投与により、肥満発症が阻止され、初潮年齢の遅延化が生じる、その結果、糖尿病のリスクが小さくなる。このような人体への応用すらすでに行われつつある。胎生期のエピゲノム変化が、疾病発症に大きく関与していることが少しずつわかってきている。逆に疾病の予防には、エピゲノムのこの変化が生じないようにしっかりと栄養を摂取することが大事である事がより明確になってきている。また治療についてもこの変化をターゲットとして治療していけばよいという考え方が新しく出てきている。ハイリスク児は最早、救えないのではとの悲観的な考えもあったけれども、そのリスクを下げることが可能である事が明らかとなってきている。この考え方から新しい医学の芽生えが生じつつある。(福岡氏)

     

  • 3.「小児科診療所における電子母子健康手帳の利用状況

    あきやま子どもクリニック院長 秋山 千枝子氏より、「小児科診療所における電子母子健康手帳の利用状況」について発表があった。

    【質疑応答】
    Q.

    今までの何件かのお話しの中で、データをうまく使っていかなければというご発表が多かったと思うのだが、それと、患者さんの方のデータの漏洩が問題になるというのは相反するところを感じる。使うためにはデータを提供しなければならない、そういったところに関して、まだまだ患者さんの理解度が進んでいないように思うのだが、そのあたりの取り組みについてお聞かせいただきたい。(大家副座長)

    A.

    残念ながらまだその取り組みはないが、電子母子健康手帳があるというところからのスタートであるので、まだ保護者への押しが弱いところがある。(秋山氏)

    A.

    データをどこのサーバーに記録するかということだが、今回マイクロソフト、インテルにも協力いただいている。まずスタート時点では先ほどお話しした多目的サーバーにもこのシステムを導入して、周産期電子カルテとも連携していくことによって、選んだデータを行政や厚生労働省、PMDAにも送れるようなシステムを目指している。ゆくゆくは非常に大きなデータベース、年間100万人のお産が日本にはあるのだが、その全部を香川のサーバーでやれるかと、そういう時が来たら、日本産婦人科医会として、あるいは厚生労働省として大きなサーバーを動かすと。できたら香川のSTNetのデータセンターに置いてほしいのだが、その時代になったら考えたい。そういった目的の多目的サーバーであるので、ぜひとも皆様からのご支援をいただきたい。また、サミットの際に、日本はワクチンをデジタル化して、副反応を全部国に集めているんだよというところを見せたいと思っている。(原座長)

    Q.

    コメントだが、先週新聞で発表があったのだが、ある医療機関でワクチンの有効期限切れを接種してしまったという記事を読んだ。まだ不幸な事故が起こっているので、ぜひ先生にこのシステムをどんどん使っていただき、先生の地域の患者さんに不幸な事故が起こらないように進めていっていただきたいと思っている。(十川氏)

    A.

    おっしゃる通り、誤接種を防ぐには非常に良いシステムだと思っている。(秋山氏)

    Q.

    インドネシアで周産期医療のプロジェクトに携わっているのだが、インドネシアテレコムによると、妊婦さんが病院までなかなか健康診断に来られない方が多いとのことで、電子化し、最初に妊娠されると妊婦さんのスマホに登録され、助産師さんから「健診に来なくてはいけませんよ」といったアラームを出してあげるというシステムをついこの間トライアルで実施したところ大変好評だった。これがおそらくアジアの中で広がってくると思う。少なくともインドネシアはインドネシアテレコムと保健省が一緒になって広げようという動きが出ている。妊婦さんからスタートして電子母子手帳までおそらく広がっていくと考えている。インドネシアではすでに紙の母子手帳があるので(日本のJICAが一生懸命広めている)現実問題、インドネシアテレコムが独自に日本の母子手帳の電子化を進めようとしており、結構早い時期に広がっていくと考えている。(榑松氏)

    A.

    日本でもぜひワクチンのシステムと妊婦さんが近い将来つながってほしいと考えている。(秋山氏)

     

【電子母子健康手帳関連】

  • 4.「K-MIX+と訪問看護・介護業務支援システム Careluxl(ケアラクスル)・ドクターコムによる医療と介護の連携

    社会福祉法人 敬世会 総看護師長 福田 美枝子氏より、「K-MIX+と訪問看護・介護業務支援システム Careluxl(ケアラクスル)・ドクターコムによる医療と介護の連携」の発表があった。

    【質疑応答】
    Q.

    実際に現場の介護士とドクターとのやり取りがあったのだが、画像情報に関して現状は十分満足されているのか、もしくはもう少しこうしたいといった要望は出ているのかお聞かせいただきたい。(大家副座長)

    A.

    今のテレビ会議システムで、動画だけでいくと不十分だと言われる場合もあるのだが、どうしても必要な場合は静止画像にして送るということで、問題なく行われている。
    また、香川県は総合特区になっているので、このシステムを使って30時間以上研修を受けたオリーブナースであれば、ドクターがすぐそばにいるのと同じように注射や検査をしたりしてもよい特別な地域になっている。医師と看護師が離れていても、全く同じ処置ができるようなこのシステムをサミットでも宣伝したいと思っている。(原座長)

    Q.

    大変素晴らしいご診療を画像で見ることができてありがたく感じている。日本独特の贅沢病的な質問かもしれないが、例えば、香川で行われている治療や訪問看護のデータを東京にいる息子のスマホにデータが飛んでくるような連携システムを今後お考えかどうか。また、高齢者だけでなく例えば小児や難病の患者さんなどへのこのシステムの展開についてお聞かせいただきたい。(十川氏)

    A.

    医療対象の訪問看護ということで、実際、職員で香川大学で小児科をしていた看護師がおり、小児科で医療的なニーズの高い方からの要望がある。そういった要望については直行直帰のパート職員ということで何人か採用している。また、家族への報告等については、今の時点ではそういったシステムはないが、介護、施設も含めて家族との連携を視野に入れて今後はスマホなどとの連携ができるシステムを考えていきたい。(福田氏)

     

  • 5.「Careluxl(ケアラクスル)とポータブル電子カルテシステムとの連携」

    福島県立医科大学 研究推進課 医療-産業連携推進室 併任研究員 山川 俊浩氏より、「Careluxl(ケアラクスル)とポータブル電子カルテシステムとの連携」について発表があった。

    【質疑応答】
    Q.

    訪問看護ステーション同士の情報共有がなかなか難しいのだが、このシステムを使うと情報共有ができるようになるのかお聞きしたい。(秋山氏)

    A.

    管理端末が複数あれば、おそらく可能だと思う。(山川氏)

    A.

    将来的には可能になると考えている。(倉岡氏)

    A.

    多目的サーバーを介して、色々な介護のシステムをいかにうまく有機的に連携するかということに尽きるのだが、先ほど、Careluxlで永井先生と相談している際に、田淵看護師が説明をしていたが、バイタル10個か20個以内のデータをきれいにグラフ化できればいいので、データベースを管理しつつ、色々なソフトを使ってできるようにしようということ。そのモデルとして何故このようなことをやり始めたかというと、2年間国交省のプロジェクトとして、香川のシステムと福島県、あるいは福島県立医大とで開発してきたソフトを連携して、それをハワイのすばる天文台従事者の健康管理など色々なことを実施してきた。Careluxlとこういったシステムをどう連携するかの手始めにやっている。各地域で色々なソフトが開発されているが、一つの考え方でやっていけば、各地域で使いたいものを再利用できるということなので、これをサミットの時に見栄えを良くしていきたいと思っている。(原座長)

     

    *K-MIX+ 啓発用DVD上映*

     

  • 6.「K-MIX+の更なる拡充について」

    富士通株式会社 ヘルスケア・文教システム事業本部 パートナーシステム事業部 斎藤 幸夫氏、および富士通株式会社 ヘルスケアシステム事業本部 ライフイノベーション事業部 EHR・PHR開発部 渡辺 響氏より、「K-MIX+の更なる拡充について」の発表があった。

    【質疑応答】
    Q.

    K-MIX+の拡張という話だったが、このようなシステムで、あらゆるところからこういった機能はできないかなど要望があがってきていると思うが、その中で比較的共通で見出されるもの、特にこのような診療科にはこんな要望があるといった特殊な例があればお聞かせいただきたい。(大家副座長)

    A.

    同じようなシステムは全国で30地域くらいで導入させていただいているが、救急時での利用シーンだと、同意を後で取るという前提で患者さんの情報を見る機能として提供するという使い方もできる。事前に患者さんの基本的な情報(既往歴・緊急搬送先等)を登録していて救急隊員がその情報を参照したり(カードを配っている)といった使い方をしている所がある。(渡辺氏)

    Q.

    神経科や精神科といったメンタル面に関して特殊な例というのはあるか。(大家副座長)

    A.

    今のところ、一番多いのは、精神科とはいえ、飲み合わせ等々もあり、お薬の情報だけは共有しておきたいという話はよく聞く。カルテ記事自体は避けておこうという場合もある。また、大学病院など、診療科ごとに色々な特性があったりする。そのあたり柔軟に対応できるようにしている。(渡辺氏)

    Q.

    原座長、K-MIX+をこういう風にしたいという希望がありましたらぜひ。(大家副座長)

    A.

    なぜ富士通にお願いしたかという理由は、香川のK-MIX+の機能部分はSTNetと富士通にお願いして、仕様書は横井教授、あるいは岡田先生と相談して作ってきた。K-MIX+の特色は富士通だけではなくてNECやソフトウェアサービス等、国内でかなりシェアのある電子カルテベンダーを説得してできたというところ。他の地域では、同じ画面で処方情報や検査情報を見ることができない。もちろん検査情報が連携することもできないし、処方情報も時系列に並べることができないというのが日本中の大部分のシステム。香川県では各病院からJLAC10コードを用いて標準フォーマットを出すことになっている。K-MIX+と様々なシステムを連携すれば世界に冠たるEHR/PHRになるということ。(原座長)

     

  • 7.「医療・健康・コミュニティをつなぐモノ・コト・ヒトと情報との関わり

    国立研究開発法人 産業技術総合研究所 人間情報研究部門 人間環境インタラクション研究グループ 佐藤 洋氏より、「医療・健康・コミュニティをつなぐモノ・コト・ヒトと情報との関わり」についての発表があった。

    【質疑応答】
    Q.

    研究者の役割について、社会の関係性変化を計測、指標研究するというご指摘があったが、今の段階で、関係性変化の指標は例えばどんなことが考えられるか。(十川氏)

    A.

    経済指標が今の時点では一番わかりやすいと思う。お金に変換できるものを計ってしまう。利益を得る人と利益が欲しい人が払って、それがどれだけ経済効果を生み出したかというインデックスが一番簡単だが、それと直交する事項を見つけたいと思っている。それがお金ではない価値でやり取りされる関係、その関係性が第2の軸として、経済的な価値を超えてお金を払う人の判断を促すようになるのではないか。要素分解すると色々なことが起きてくるだろうし、例えば笑顔、血液データからのビフォアアフターのような話で、細かい活動の範囲はそういうもので説明を積み重ねていって、最後にその要因を総合的に判断できるようなインデックスが出てくればいいかなというアプローチになると思う。(佐藤氏)

    Q.

    eヘルスケアバンクの資料をありがとうございました。5〜6年前、経済産業省がそういった方面にかなり研究開発費を出していた頃で、香川でeヘルスケアバンクというコンソーシアムを作った時の資料であろうかと思う。もちろんデータを集めて、それをビッグデータとして分析するという考えは持ったのだが、そういうことを強く言うと当時のマスコミはあまり好意的に扱わないということもあり、そのあたりを明確にしていない。しかし、この5年間に取り組んだ、電子処方箋等、様々なことをやってきて、その中のコア部分を今回多目的サーバーでさらに動かしてグローバル展開にも行こうというところ。これは6年前の資料であるということで、この5年間頑張ってきていると考えている。今後も皆様からのご支援を賜りたい。(原座長)

    A.

    原先生のご尽力はもちろんなのだが、県の医師会と県がバックアップしているというのが非常に強いと感じている。他の地域で大変だなと思うところはみんな、ある病院が抱えて、ある先生が頑張っている姿で、病院がダメになるとなくなってしまうと。そうではなくて、行政が支えて中心となるプレーヤー、その地域の先生方、ベンダー、それぞれ皆さんが役割を持っていて、バックアップされているというところが、素晴らしく成功する秘訣なのかなと思っている。(佐藤氏)

    Q.

    30数年前に香川県に赴任した時のミッションが(ミッション・インポッシブルと皆から言われていたのだが。)、まず医師会と行政の方と仲良くして、その中で倉本副主幹と出会ったことで県庁とのつながりができた。幸い、香川県の知事は3代に渡って非常にご理解があり、医師会長や大学の学長、学部長、病院長も理解をしてくださっている。(原座長)

     

    *原座長より紹介を受け、香川県政策部情報政策課 副主幹 倉本 幹也氏挨拶。

4.閉会

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