フォーラム事務局

香川大学瀬戸内圏研究センター

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お知らせ&イベント

「ヘルスケア・イノベーション・フォーラム」
第13回事例研究部会議事要旨

1.開催日時・場所

【日時】平成24年7月19日(木)13:00〜16:00
【場所】産業技術総合研究所 臨海副都心センター 別館11F第1〜2会議室

2.開会
3.議事概要

(1)開会挨拶
原座長より開会の挨拶があった。


(2)新規参加団体等の紹介
堀口副座長より、新規参加団体の紹介。これを受けて新規参加団体(株)アスティス代表者、東北大学 東北メディカル・メガバンク機構 清元秀泰教授より挨拶。
【新規参加団体】(株)アスティス、(株)キャリアプランニング、ハイテクシステム(株)、フォーティネットジャパン(株)、独立行政法人 産業技術総合研究所知能システム研究部門東北大学 東北メディカル・メガバンク機構 清元秀泰教授

 

(3)事例研究
【地域活性化総合特区】
1.「「かがわ医療福祉総合特区」について(行政の立場から)」
香川県健康福祉部医務国保課 副主幹 塩田 広宣氏より、「「かがわ医療福祉総合特区」について(行政の立場から)」について発表があった。
2.「香川医薬連携情報共有システム(K-CHOPS)」
徳島文理大学 学長 桐野 豊氏より「香川医薬連携情報共有システム(K-CHOPS)」について、発表があった。
3.「再考−処方情報等の電子化」
一般社団法人日本病院薬剤師会 副会長、国際医療福祉大学 土屋 文人氏より、「再考−処方情報等の電子化」について、発表があった。
【質疑応答】


Q.特区として認定されると即座に規制緩和が進むものと思っていたが、規制緩和の時期は秋ごろとのこと。このまま何もないまま終わってしまうこともあり得るのか。それとも、いつか緩和されるものなのか。堀口副座長)
A.今回の総合特区については、規制緩和を中心として財政支援と金融支援を総合して行っていこうというもの。ただ、昨年12月に受けたものは地域の指定となり、その後は、国と地方で協議をしていく形となり、内閣府ではなく所管の省庁ということになると、規制緩和への安全・安心といった部分に関しては理解を得ていくのに時間を要する。ただし、財政支援なり規制緩和がセットになっている部分と、切り放せる部分がある。例えば、今回「オリーブナース」の財政支援を受けることが出来たのはナースの育成は個別に進めてもいいだろうということ。その他に、「ドクターコム」自体の機能拡張を目指して財政支援を求めているのだが、それについては規制緩和と離し、実際に遠隔に手をつけることで、例えば診療報酬あたりの話へ行くのに実証として何かつめるのではないかと申し上げながら、実際にはバラバラな動きをしていて、最終的には全ての項目での実現を目指しているのだが、取りかかったところから順番に日程が決められていく手順になっていて、少し規制緩和に時間がかかっているのが現状である。(塩田氏)
Q.「オリーブナース」が看護師の権限が増やすのであれば、大きく規制を変えることになると思う。育成とともに看護師の権限を高めていくこともセットになっているのか。(堀口副座長)
A.当初の構想の段階では、「オリーブナース」というものに特定行為をつけていこうと検討していた。ところが、現在、厚労省で特定看護師の議論がなされているところで、つまり、看護師が行う行為の整理をおこなっており、その議論が同時に進んでいるため、「オリーブナース」には特定行為、看護師の補助行為の拡大、あるいは独自で考えて行う処置行為の拡大というところまでは、少し踏み込みかねるのが現状である。「ドクターコム」を利用して、在宅で医師への判断を求めるタイミングの学習や、腹部エコーの操作の習得、インフルエンザの検査行為の習得を最終的に委託要項に加える方向で検討中。(塩田氏)
Q.医師には病名などを第三者に伝えてはならないという守秘義務がある。処方せんを電子化し調剤薬局に病名などを伝えると、薬剤師が病名などを知ることになるが、これに守秘義務を課す法律はあるのか。(堀口副座長)
A.個人情報保護法を遵守するということになる。薬剤師には当然のことながら、守秘義務がある。個人情報保護法というのは医薬連携を知ろうとした時に薬局がもし医療提携施設となっていなかった平成18年以前の場合では問題が生じたかもしれない。現在、調剤薬局は医療提供施設となっているので、逆にいえば医療機関と医療提供施設が連携をしないということはあり得ない。むしろそれができていないところが、最大の問題であるということである。(土屋氏)
Q.総務省の事業の中で、新しいやり方として処方指示引換証ができたが、処方箋は紙でなければならないという規制が残っていると思う。これを処方箋の代わりに使用することを想定しているのか。(堀口副座長)
A.処方箋の代わりではなく、処方箋に加えて使用する。処方箋の紙はいくのだが、薬局に行った時に薬剤師が電子的に処方・患者情報が入ったサーバーにアクセスするために提出するために使用するもの。文科省事業の時は、病院を出る時に、患者がこれから行く薬局を先に指定するような方式だったが、病院を出た後、別の薬局に行くのは自由である。それを保障するために引換証というものを発行して、どの薬局にも行けるようにしている。(桐野氏)
Q.情報の粒度についての考えから、一日量、一回量を記載するとの発表がなされたが、文理大学が行う事業にも活かそうとしているのか、また、今後どのような展開を考えているのか。(堀口副座長)
A.内服薬処方箋の記載の在り方では二年前の1月29日に報告書を提出している。現在、保険の関係で1回量のみを記載することは許されていない。一日量と一回量を併記するということとなっている。現在、ベンダーでは、そういう対応をした処方箋を出しているということになる。将来的には一回量に持っていくという話になっている。その点は現在過渡期でしかし、だいたい薬の6割は1日一回服用となっているので、残り4割に一日量で書かれていればいい。データベースと構造が変わるので、ベンダーが今、作業をしているところ。(土屋氏)
Q.処方箋の電子化のプロジェクトで、今後取り組んでいきたいことは、なるべく多くの調剤薬局のレセコンベンダーと接続するということ。ベンダーによって積極性に差があるのだが。(原座長)
A.外に出す情報を共通コードで出せばいいので、内部で使用するコードまで全てHOTにする必要はない。ただし、外に流通させる情報としては標準的なコードを使うことによって、翻訳をきちんとできるという仕組みを持っていれば、困らないだろうと思う。ただし、これから先は処方情報をきちんと記録しておかないと、自分のところが、処方情報と調剤情報が内容的に間違っていないということを証明しないといけないとなると、お薬手帳は調剤情報だけを記載しているが、これからは処方情報を書いた上で調剤情報を書くことによって、その両者が間違っていないことをどこかで担保をとらないと、書かれたものと物の情報が違ってくるというのが当たり前の時代になっているが、物としては一致しているということがこれから必須になってくるだろうと思われる。(土屋氏)
4.「小豆島の事例−オリーブナースのイメージ−」
内海病院 院長 久保 文芳氏より、「小豆島の事例−オリーブナースのイメージ−」について発表があった。(DVD使用)
【質疑応答】
質疑なし。
5.「NPO法人e-HCIK事業
NPO法人e-HCIK 理事、(株)ミトラ 代表取締役 尾形 優子氏より、「NPO法人e-HCIK事業」について発表があった。
【質疑応答】
Q.遠隔医療の場合、診療報酬との関係整理が重要だと思う。患者と対面の場合の診療報酬は、どのように求められるのか。また、ドクターコムの紹介では、大学病院の医師と地元の医師と患者の3者での診療となるが、診療報酬はどういう形で、大学病院の医師に支払われるのか。(堀口副座長)
A.遠隔医療の診療報酬に関しては、厚生労働省の考えでは、一貫して、遠隔医療を行った場合でも診療報酬は患者が来た医療機関の収入になるということになっている。(原座長)
A.遠隔医療はまだ進んでいないのが現状。診療報酬の問題は非常に大きい。若干規制緩和された部分もあるが、まだ全体に対する緩和には至らない。ゆえに、医師側にも遠隔医療に対してのモチベーションが上がっていない。NPO法人としては、いただいた寄附金から遠隔医療をすすめていく医師に対する費用負担も考えている。(尾形氏)
Q.国際遠隔医療学会の開催の話があるが、遠隔医療の海外での状況はどのようになっているのか。(堀口副座長)
A.シンガポールなどの学会での発表では、一般論が大部分を占めているように感じる。(原座長)
A.日本は保険制度がしっかりしているので、安価で医療が受けられる。海外ではそうでなく、そのため、予防することによって、医療費を安くできるという考えから、EHRに投資するという考えがあるようだ。日本では医療費が安いことから、予防に対し、意識が低いのではないか。(尾形氏)
Q.NPO法人が出来たことによって、K-MIXの使用料などについてはNPO法人と契約するということなのか、NPO法人経由で仕事をすると様々に展開できるということなのか。(榑松氏)
A.香川県医師会は医療機関からの利用料の窓口となっている。今後、EHRの利用が広がり、利用機関に企業や個人が増え、医師会として運営が難しくなるとNPO法人の業務となっていくことになる。(原座長)
【事例紹介】
6.「東北メディカルメガバンク機構による地域医療再興計画と遠隔医療ネットワーク」
東北大学 メディカル・メガバンク機構 清元 秀泰教授より、「東北メディカルメガバンク機構による地域医療再興計画と遠隔医療ネットワーク」について発表があった。
Q.産業振興に寄与とのことから、企業との共同研究を検討されていると思うが、今後どのように進めていく予定なのか。(堀口副座長)
A.創薬の分野となる。個人情報を連結データとしてメガバンクのデータサーバに入れ、参加者全員の全ゲノムの配列をスーパーコンピューターにおいて病気と遺伝子の解析を行い、クレンジングした状態で二次利用という形で創薬メーカーに入っていただき、個人の特定できない非連結型データとして利用いただき、無駄のない創薬をしていく。日本人の力で開発コストを下げることにより、薬代が下がる可能性がある。また、創薬が出来ることにより、日本人に近いゲノムを持っているモンゴロイド、中国、韓国などの市場に向け、新産業の復興につながる。(清元氏)
Q.データベースを利用した計画の場合、ハードとなるデータベースセンターのバックアップのシステムの構想はどのようになっているのか。(国分副座長)
A.震災後、われわれが提案し、文科省から計画検討会が開催されている。内容としては、ミラーサーバーを置く方法。地震だけでなく風水害、テロの可能性も踏まえ、第一に大学内にサーバーを置く、もう一つのミラーサーバーはMMWINという医師会の方のサーバー。こちらにはクリーニング前のデータがある。また、もう一つのサーバーの候補地として、電力圏が近い北海道にミラーサーバーのバックアップシステムを考えている。汎用で使用する病院のICTデータに関しては、メガバンクはゲノムの情報が入っているので、基本的には外に出さないのだが、大きな震災があった時にだけMMWINに流す方法がある。このようにダブルミラーサーバーの構想で臨む予定である。(清元氏)
Q.医療の電子カルテを県で共有するという話をしていただいたが、ITベンダーがクラウドという形で行うサービスも増えている。医療データについては、自分たちで持つ必要性がどの程度あると考えているのか。医療データについては特別だとするのか、あるいはクラウド化するのか、どのように考えているのか聞かせていただきたい。(堀口副座長)
A.非常に難しい問題で、総務省側はMMWINと言う形でクラウド化すると言っているが、メガバンク事業は文科省の事業であるために、研究目的以外の使用はできない、というように、省庁の壁があることにより、フットワークが悪くなっているように感じる。質問の主旨から逸れてしまうが、予算の使用については行政側にも考慮いただきたいと思う。メガバンクに限らずEHRを進めていく過程で、ハードルとなってしまうので、時間的にもファイナンシャル的にも無駄のないサポートができる体制を作っていただくよう、行政にお願いしたい。(清元氏)
7.「地域新成長産業群創出事業における健幸支援情報基盤の構築
(株)STNet 営業本部 医療IT推進部 医療IT推進チーム 細井 吉彦氏より、「地域新成長産業群創出事業における健幸支援情報基盤の構築」について発表があった。
8.「総務省「処方情報の電子化・医薬連携実証事業」
(株)STNet 営業本部 医療IT推進部 医療IT推進チーム 細井 吉彦氏より、「総務省「処方情報の電子化・医薬連携実証事業」」について発表があった。
【質疑応答】
Q.健幸支援情報基盤は今後どのように展開していく予定なのか。(堀口副座長)
A.プレスリリースを行い、広く募集していく。経済産業局と医療・介護の周辺サービスの取組みで検討会を本年度立ち上げている。その中で、現場からの意見を聞きながら具体的なサービスモデルを決め、事業の普及促進に努める。(細井氏)
Q.各地域で総務省の事業を行っているが、システム概要を作成する段階で、香川・島根・福島などそれぞれの機関が独自で行っている印象があり、インターフェースなどは合っているのか教えていただきたい。(榑松氏)
A.総務省の今回の事業において、香川・出雲・尾道の各地域で検証している分野については若干違っている。香川と出雲で重複している処方情報の連携については、香川で規定したデータフォーマットを情報連携した上で実装を行っている。他省庁の事業については、おそらく統一できていないのではないか。実証の段階では、規格を一つに定めず、複数種試したうえで、最終的に標準規格を定めるべきと考える。(細井氏)
Q.様々な事業が行われたが、標準化が進んでいないのが現状。標準化を進めていく最近の動きはあるのか。(堀口副座長)
A.JAHISにも提案しており、処方情報の電子化については、このフォーマットが標準化の予定。全国展開を目指し、香川と東北、高知の連携をすすめ、システムを広げていきたい。(原座長)

 

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