フォーラム事務局

香川大学瀬戸内圏研究センター

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お知らせ&イベント

「ヘルスケア・イノベーション・フォーラム」
第5回事例研究部会議事要旨
日時
平成22年7月15日(木)15:10〜17:00
場所
産業技術総合研究所 臨海副都心センター
    別館11階 第1〜3会議室
出席者
約100名
議事概要

(1)開会挨拶・新規参加団体の紹介

堀口副座長より、開会の挨拶と、新規参加団体の紹介。


(2)事例研究

事例1:PHR標準化の現状について
(株)STNet 原田顕徳氏より、PHR標準化の現状について説明があった。


事例2:香川県における糖尿病地域医療連携パスと診療情報の連携について
日本版EHR研究班 香川大学医学部附属病院医療情報部 特命助教 山肩大祐氏より、香川県における糖尿病地域医療連携パスと診療情報の連携について説明があった。
(Web TV会議システム使用)


【主な質疑応答】

Q. クリティカルパスを使う際のデータの表示をCSV形式で行うとのことだったが、データの標準化はパスレベルではすでに出来ていると考えてよいのか。
A. データの基本情報はHL7でカバーできているものの、必要なデータの中には欠けているものもある。
Q. データが欠けている部分については独自標準を作ろうとしているのか。
A. 欠けている部分については、専門の学会なり団体が標準を作成すべきだと考えているが、それらの団体へ提案するようなモデルについては明らかにしておく必要があると考え、研究を行っている。
Q. 国内外で、学会や団体等が標準を作った例はあるのか。
A. 標準はISOやHL7に準拠したものはあるものの、国際標準となると、やはり国ごとの差異があるため、ある程度その地域の状況に即したものを作る必要があると考えている。

 

事例3:健康サービス事業者におけるPHR関連情報処理の現状について

オムロンヘルスケア株式会社 志賀利一氏、インテル株式会社 田上伸介氏、株式会社ミトラ河野弘就氏より、それぞれの健康サービス事業におけるPHR関連情報処理の現状について説明があった。

 

【主な質疑応答】

Q. 家庭での健診データと、大学病院、医療機関との連携はどの程度まですすんでいるのか。
A. 新薬の治験など様々な分野において、家庭健診データは、様々な論文や研究に用いられており、医療の発展に寄与している。

 

事例4:在宅データの信頼性について

香川大学瀬戸内圏研究センター 原量宏氏より、在宅データの信頼性について説明があった。

 

【主な質疑応答】

Q. 測定データは、きちんと外気温に連動しているのか。また、高血圧の患者は測定対象に入っているのか。
A. 被験者は自宅にエアコンのない人ばかりなので、外気温に連動している。高血圧や服薬中の人は対象になっていない。
Q. 就寝時点でのデータは取っていないのか。
A. 残念ながらとっていない。ただ、測定した時間は全てサーバーに記録されているので、このデータを分析すれば、有意な分析結果が得られるかもしれない。

 

事例5:健康サービス事業者におけるPHR関連情報処理の現状について
インテル株式会社 田上伸介氏より、それぞれの健康サービス事業におけるPHR関連情報処理の現状について説明があった。


【主な質疑応答】

Q. 標準化されている測定機器はどれくらいの種類があるのか。健康状態を測定するための機器が今後いろいろと出てくると思うが、それらを標準化するにあたっては、どのような手段を考えているのか。ISOなどを通して承認を得ていくのか、それともコンティニュアのグループの中で、独自の標準化委員会などをつくって対応していくのか。
A. コンティニュアに対応している機器でいうと、商用では国内においてオムロンやA&D,タニタなど、体重計や血圧計、歩数計などのラインナップがある。コンティニュアは世界的に展開しており、海外のメーカーを含めるとロッシュの血糖値計やノニの血中酸素濃度計がある。今年末までには50種類の機器あるいはサービスが出揃う予定である。コンティニュアの対応機器の範囲は広げているところである。標準化については独自に行うのではなく、ISO等に準拠したものを使っている。

事例6:健康サービス事業者におけるPHR関連情報処理の現状について
株式会社ミトラ 河野弘就氏より、健康サービス事業におけるPHR関連情報処理の現状について説明があった。


自由討議:PHR/EHRに必要なデータ項目とその構造について

堀口副座長よりPHR/EHRを取りまく状況と、今後のプラットフォーム構築に向けて検討すべき論点について説明があった後、参加者間で自由討議を行った。

 


【主な意見】

  • コナミスポーツクラブでは会員の運動履歴が自動で記録される仕組みを構築しており、これは個人の将来の健康状態予測に役立つと考えられる。ただ、スポーツクラブの会員は健康で元気な人が多い。自身の健康状態に関心が低いためか、このシステムを活用しないケースも多い。閲覧端末の閲覧履歴データからは、見る情報に偏りがあることがわかる。家や携帯から情報を見れるようにしたり、エンタテイメント性のあるコンテンツを加えることで、会員が本システムに記録を蓄積するための工夫をおこなっている。
  • この件については「誰が何のためにするのか」をまず初めに考えるべきだと思う。健康情報データを取るだけではなく、ターゲットとビジネスモデルを明確にしないといけない。おそらくそのターゲットは高齢者になるだろう。2050年の日本においては、人口は現在に比べて3割減る一方で、生活習慣病患者数は現在の水準から変化しないものと予測されている。PHR/EHRの構築は、自身の健康情報を切実に必要としている層をケアするという考えのもとで、進めていくべきではないか。
  • 個人の健康情報を蓄積していくことは、今後の医療の発展や社会的コストの低減、産業的利用に寄与するものと信じている。年に数回だけ、病院で取るデータに精度があるかというと疑問を持たざるをえない。自宅で毎日データを取って情報を蓄積していけば、データの平均値が求められるようになり、精度が上がる。なお、PHRは、個人の健康の向上だけでなく、ビジネス(摂取カロリー情報と飲食店検索システムの連携など)にも活かせる可能性があるとも考えている。
  • EHR/PHRについては、誰が作るのかというのが一つの論点になっている。自律的にシステムが出来ないのであれば、誰が出資してEHR/PHRを成立させるのか。仮にビジネスモデルが明確になれば、そのモデルに従って作られることになると思うが、EHR/PHRとビジネスの間には相互関係があり、一方が誕生するにはもう一方が既になければならない。今後もHCIF参加者と議論をしながら検討していきたい。
その他
次回のHCIFは9月頃開催予定。

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