お知らせ&イベント
第3回事例研究部会議事要旨
- 日時
- 平成22年3月24日(水)14:00〜17:30
- 場所
- 産業技術総合研究所 臨海副都心センター 別館 多目的室
- 議事概要
(1)フォーラムの概要について
堀口副座長より、資料に基づきフォーラムの概要説明があった。
(2)新規参加メンバー等の紹介
新規参加団体等の紹介と、これを受けた各団体の代表者より挨拶があった。
【新規参加団体】日本光電工業(株)、日本CRO協会
【当日参加者】
農林水産省、農業食品産業技術総合研究機構、医薬品医療機器総合機構、第一三共(株)
(3)事例研究(統一テーマ:「治験のIT化と電子処方箋ネットワーク」)
①病院と調剤薬局とを双方向に連携する電子処方箋ネットワークシステムの開発
−電子お薬手帳から日本版EHRへ−(徳島文理大学香川薬学部の飯原なおみ准教授)飯原准教授らが開発した電子処方箋ネットワークシステムについて講演が行われた後、実際にそのシステムを用いたデモが行われた。
【主な質疑応答】
Q. EDCとの連携を進めるべきではないか。
A. そのように発展させたいと考えている。実際に診療所・病院と調剤薬局間で診療情報を電子データでの共有が進んでいけば、EDCの連携を含め、様々なことができるようになると思う。そのためにも、まずは地域社会の理解を得て、病院・薬局・患者間で情報共有ができる仕組みが必要ではないかと考えている。
Q. 院外との電子情報共有を進める中で、患者自身が投薬等を自分で確認したり、業務フローに作業の漏れがないようにするためのワークフローエンジンを作製する予定はあるか。
A. 電子カルテが実際に運用されるようになれば、病院でも検討が進んでいくと思う。ただ、取り扱いが微妙な情報もあるため、ワークフローエンジンを作製する中で、患者に開示しても構わない情報とそうでない情報を明確に区別しておく必要がある。
②治験IT化の現状と今後の課題について
−電子カルテのデータをCDISCに変換してEDCへ伝送する実装実験−
(香川大学瀬戸内圏研究センター原量宏特任教授)
平成20年度、香川大学医学部附属病院医療情報部と日本CRO協会IT化WGは共同で、電子カルテの情報をEDCに取り込む実験を実施した。この実験をもとに、「原資料及びその複写物」の伝送実験の実施と治験の効率化の検討について講演があった。
【主な質疑応答】
Q. このシステムを用いて、実際に治験を行ったことはあるか。
A. 今のところはまだないが、いろいろなシステムがCDISCで取り込められるようになれば実現する。木内先生が推進するUMINとK-MIXが一体化すれば、日本の標準になると思う。
③CDISC標準の世界の動向と日本における今後の展開
(東京大学UMINセンター木内貴弘教授)
平成21年より東大病院(UMIN)をサーバ、福島県立医大病院をクライアントとして、CDISCODMを用いた世界初の実際の臨床試験がアカデミックな研究として開始された。CDISC標準について、また、今後日本がCDISC標準の実装・実運用で世界をリードする可能性について講演があった。
④K-MIXを介した、医用波形記述の標準化と実装実験
−MFER(医用波形記述の標準化)による心電図波形の伝送−
モデレーター:財団法人 医療情報システム開発センター(MEDIS-DC) 山田恒夫 氏
パネリスト:
(産業界)日本光電工業(株)平井 正明氏、ネットワンシステムズ(株)戸倉一氏、
日本CRO協会 小川 武則氏、十川 正吾氏
(大学) 香川大学 原 量宏氏
(研究機関) 新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)
各パネリストよりMFER(医用波形記述の標準化)による心電図波形の伝送に関するそれぞれの取り組みについて発表があった。
【主な質疑応答】
Q. 紹介のあったアメリカの会社の場合は、どのような心電計を使用しているのか
A. 企業が提供する機器を使用し、クローズなデータ形式で送信し、判定する仕組みになっている。
Q. 治験データの標準化に向けて、MFERが治験データにおいて最後の障害となっているのか、それともまだ他にも超えるべきハードルは他にもあるのか。
A. 標準化に向けたハードルは多く、CDISCもその一つであるし、治験の効率化(IT化)も図っていかなければならない。
Q. 標準化の施策について、NEDOからの支援はどのようなものか。委員会の開催費用やジュネーブへの旅費も補助対象になるのか。
A. プロジェクト事業(MFER標準化のためのフォローアップ事業)として支援を行っており、委員会開催にあたっての旅費や会議費も補助対象になる。
Q. MFERで標準化すればデータを取り込めるようになるのか。
A. 取り込みについてはIHEの心電図のワークフローで解決しようとしている。この仕組みが採用できれば、データの取り込みをうまく出来るようになると思う。
Q. MFERの活用における二次利用の可能性について飯原先生から意見を伺いたい。
A. 治験では薬が世に出た後の情報収集が重要で、それによって適切に薬が使用されるようになる。病院や地域の薬局等から二次利用可能な情報を収集できる仕組みが出来れば、それらの情報を収集・解析することで、新薬の開発に活かせられるようになると思う。
Q. MFERの二次利用を検討する分科会を作ってもらいたい。
A. フォーラムの中に事例研究部会部会と別にMFER部会を作る、もしくは、部会の下に個々の専門的な部会を作ることで対応したい。
(4)その他
次回のヘルスケア・イノベーション・フォーラムは、日本医療情報学会の開催に合わせ、高松にて5月27日(木)に開催する。(詳細はあらためて事務局より連絡)
Copyright © 2009 Healthcare Innovation Forum All Rights Reserved.